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2005全日本卓球男子シングルス 吉田海偉「あたりまえの初優勝」(2ページ目)

平成16年度全日本卓球選手権大会の男子シングルスで、昨年日本に帰化した吉田海偉(日産自動車)が初優勝を飾った。驚異的なフットワーク、強力なフォアハンドドライブを武器に、前評判どおりの強さを見せつけた。

執筆者:壁谷 卓


斎藤清の最高成績は

その斎藤清は全日本選手権でシングルス優勝8回という歴代最多優勝回数を誇る名選手だ。ちなみに今大会でも1勝をあげ、通算91勝とした。その斎藤が世界選手権に初出場したのが1983年東京大会。それは僕が初めて世界選手権を観戦した大会でもある。

当時、明治大学の学生だった斎藤は、いまにして思えば「若武者」という形容がぴったりの活躍で、団体戦では19勝2敗という最多勝をあげた。シングルスに入ってもその勢いは衰えず、ベスト8まで進出。優勝候補ナンバーワンの呼び声の高かった中国の蔡振華と対戦した。

両面同色のラバーを使用できた時代、「アンチ」ラバーを巧みに駆使する蔡振華に対し、激しい打撃戦を展開。ラリー戦では優位に立っていたものの、惜しくも敗れた(蔡は結局2位)。そして、そのベスト8が、斎藤清にとって世界選手権における最高成績となった。

初出場での優勝が多い日本

初出場で最高成績を収めたのは斎藤に限らない。国際卓球連盟会長を務めた荻村伊智朗をはじめ、田中利明、松崎キミ代という2回の世界チャンピオン経験者3人は、いずれも初出場で初優勝を遂げている。ほかにも、現在最後の世界チャンピオンである小野誠治を含め、日本が生んだ世界チャンピオンは初出場で優勝したケースが多い。

吉田海偉2
「荒削りな強さ」を、吉田海偉は世界選手権でどこまで発揮できるか
経験も大切だとは思う。しかし、恐いもの知らずともいうべき「荒削りな強さ」は、勢いのある旬の時期にしか持ち得ないものだ。そして、それは経験を積むごとに失われていくものでもある。

記者会見で吉田に尋ねてみた。「世界選手権ではどのくらいの成績を目標にしているのか?」と。彼は「ひとつでも多く勝ちたい。いつかは世界でも優勝したい」と話した。それまで勢いのよかった彼の口調がややトーンダウンしたようにも聞こえた。

23歳に手向ける言葉としては酷かもしれないが、卓球人生の頂点はいつ訪れるのかわからない。もしかすると、「いつか」は永遠にやってこないかもしれない。今回の全日本に臨んだときの「優勝はあたりまえ」というギラギラした闘志を、彼が4月に故郷で開幕する上海大会でも持ちつづけていることを期待したい。

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