プロレス/プロレス関連情報

最終回~プロレスとの出会いと別れ(4ページ目)

本コラムも今号の掲載で最終回を迎える。奇しくも、プロレスに関わる最後の機会。今後はどのようなスタンスでプロレスと向き合えばよいのだろう。その最後は思いのままに書かせて頂いた。

執筆者:川頭 広卓

先の見えない業界

こんな簡単なことができずして、世間に何を発信しようというのか。本当に懐疑心ばかりが増すプロレス界との関わりだ。

その後に誕生したGPWA=プロレス連盟も、そんなプロレス界を如実に反映していた。コンセプトは今でもよかったと思うが、自分が知る限り、興行以外に連盟で実施が成されたのは、興行日程のバッティングを避けるために用意された共有カレンダー機能くらいのもの。だが、これも一抜け、二抜け、最後には誰も使わなくなった。

その他にも、“アイツがいるから”、“あの団体があるから(加盟しない)”といった個人的な感情に、「加盟しているノアが、加盟していないドラゴンゲートと提携しているのが許せない・・・」といったような陰口も聞こえてきた。

メディアとして、WEB業者として、たかだか数年ちょっと関わりを持ったくらいで、これほどまでに稚拙で無責任、利己的な内面ばかりが見えてしまうのは、何とも寂しい思いであった。

また、プロレスには当然メディアという側面でも関わりを持っていた。

だが、ここでも異様な業界文化と欠落したプロ意識が顔を覗かせる。

ある会見で、対戦を予定している選手と選手が舌戦を繰り広げ、最後は取っ組み合いになった。会見場が騒然とする中、片方の選手は他のスタッフやレスラーたちに押さえつけられ、何かをわめきちらしながら会場から追い出された。

しばらくして会見が終わると、さっき会見場から追い出された選手が、ひょっこり戻ってきては、「おつかれさま」と話しマスコミと談笑する。当然、さっきやり合った相手選手もその場にいるのだ。

一体、メディアはどっからどこまでを記事にすればいいのだろう。

「空気を読め」と言われるのか?

「暗黙の了解だよ」と鼻で笑われるのか?

当時の自分は、疑問に思いながらも空気を読んだことになるわけだが、これを今記事にするならこうだ。

「次回の大会で王座を懸けて激突するAとBは、会見の席上で互いを罵倒し、最後は取っ組み合いとなったが、スタッフ、レスラーらに分けられ、怒号が飛び交う中、Aは会見場から追い出された。

だが、会見終了後、笑顔で戻ってきたAは、そのままマスコミ陣と談笑。いつの間に和解をしていたのか、Bとも積極的に会話を交わしていた。複雑な感情を内に秘めているのか、心理戦なのか、運命の王座戦まであと○日をきった」


無茶苦茶だ。何度も目にした、こうした馴れ合いの業界文化はとにかく鼻に付いた。

なぜプロとしてレスラーを演じてくれないのか。なぜ専門メディアはこんな茶番を迎合するのか。

人気が低迷し業界復興を謳っている割には、外部の参入を拒絶する土壌を形成し、小さな村で仲良しゴッコを続けている。暴露本も出され、プロレスのからくりというものが公然の事実となっている昨今。いったいこの先に何があるのだろう。
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