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新日退団 成瀬昌由、その沈黙を破る(2ページ目)

新日本プロレスは、2006年1月の契約更改で例年以上となる多くの退団選手を出した。成瀬昌由もその一人。依然として沈黙を守っているが、今、成瀬昌由は何を考え、何をしているのだろうか?

執筆者:川頭 広卓

「結局、なるようにしかならない」

インタビューのあとに、使える護身術を教えてもらった
成瀬選手:人にいわせると、「フリーになって、焦っていませんか?」とか、「なんで試合しないんですか?」とか。

ガイド:ファンの方からは、試合をしないと動きが見えにくいのかもしれませんね?

成瀬選手:自分の中で、現状の捉え方っていうのは“なんて贅沢なんだ”になるんですよ。独り身ってのもありますけど、目指していることや、好きな格闘技に思い切り打ち込むことができる。練習に関していえば、自分の根本にあった「強くなりたい。プロになりたい」という志を思い出すというか、強くなるためだけの生活ができているんですよね。実際、格闘家だけでは食えない選手は多いと思いますから。

ガイド:それらに集中できているのは、素晴らしいことですね。

成瀬選手:だと思います。将来に向かってのモチベーションが継続できてますし、たまに色々考えますけど、すぐ寝ちゃうんで。「なるようにしかならないな」って。そういう意味では、何事にも囚われず、自由人だけに自由に過ごしている、一人と猫一匹で(笑)。

ガイド:ちなみに、最近では子供達に空手を教える機会もあったそうで。

成瀬選手:先日、杉並区の小学校の土曜学級があって、地元で空手を教えている先輩と一緒に講師として参加してきたんですよ。講師には、色んな分野で一芸に秀でている人を呼んで、それを子供達に体験させようという。中には手品師の方なんかもいたみたいでしたね。

ガイド:どんなことを教えたのですか?

成瀬選手:武道の講師というのは初めてで、道着着て、子供達を並ばせて「返事は押忍だ」って。授業では“殴られれば痛いし、殴っても自分の拳が痛い”しかも暴力を振るえば心も痛む。まずは痛みを知ることで、簡単に人に対して手を出さなくなるという思いや、他人に対しての慈しみの精神を教えて、ミットを蹴らせたり、色々やりました。

ガイド:実際の教育現場はいかがでした?

成瀬選手:土曜学級が終わった後、そこの学校の校長先生やお偉いさん達が、一回も休憩を取らないで終らせた事に凄い驚いてるんです。2時間くらいだったんですけど、普段は2時間の内に3回も4回も休憩取らないと子供達の集中力が続かなくて収拾がつかないらしいんです。なんでかっていったら、多分怖いじゃないですか、武道家って。武道の持つ怖さとか、迫力が、子供にとっても「ここでふざけたら怒られるな」みたいな抑止があるんでしょう。体罰ではないけど、そういうのも必要なんじゃないですかね。

ガイド:礼節を学ぶところがなくなっている上、縦関係をもナアナアになってしまっていますからね。

成瀬選手:今は模範となる大人がヒステリックになり過ぎてるんですよね。少子化で子供が宝というのもあるんでしょうけど、昔は子供が万引きとかしても、「うちの子に限って」だったのが、最近では「うちの子だけでしょうか?他にもいて、うちの子は無理矢理やらされたのでは?」って。先ずはしっかりと大人が子供を叱らなければならないのに。

ガイド:過剰ですね。

成瀬選手:大人がまずは襟を正さないとということも多々ありますけどね。

ガイド:健全な精神は、健全な肉体に宿ると?

成瀬選手:武道っていっても、世界中でこんなに武道が盛んな国はないですからね。柔道、空手、剣道……。細かくいえば日拳(日本拳法)まで。武道を通じて節度と覚悟を身につける必要もあるのかなと。
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