歌舞伎/歌舞伎関連情報

花魁はなぜ心変わりを?『籠釣瓶』 その2(5ページ目)

惚れる男、恥をかかされる男、恥をかかせた女、殺される女・・・この一つの事件を描いた演目の現代性にも驚いた。また、歌舞伎の女形の役の中でも大役中の大役、吉原の傾城・八ツ橋に注目。

執筆者:五十川 晶子

一方で、栄之丞にしろ誰にしろ、誰かのいいなりになって傷つけなくてもいい人を平気で傷つけて、そんな自分が情けない、そんな境遇も哀しい。だから「いやになった」と八ツ橋が嘆いているととれることもある。この解釈では自分もろとも、栄之丞への気持ちもちょっとダウン気味である。

同じように、次郎左衛門の恐ろしい復讐も、もちろん振られたからという腹いせではなく、突然の、それも満座の中で恥をかかかされたことへの恨みと思えることが多い。これも、役者が変わればまたそこから想像されるものも変わることがある。役者によって見比べてみるのも歌舞伎の醍醐味の一つだ。
 
さて、この次郎左衛門のあばた面だが、初演の初代市川左団次の立派な顔を思い切って汚くしたのが売りのひとつだったという。初代中村吉右衛門が演じる際、孫である当代の二代目は、おじいちゃんの顔にあばたを描くのを手伝ったとか。
今月の歌舞伎座では次郎左衛門を松本幸四郎さん、八ツ橋を中村福助さんがつとめる。
ちなみに「籠釣瓶」というのは「水もたまらぬ=刀など斬れ味の良い」のしゃれだそうである。つるべがカゴ状になっていると水は確かにたまらない。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で歌舞伎関連の商品を見るAmazon で歌舞伎関連の商品を見る
【編集部からのお知らせ】
・「20代男性俳優」について、アンケート(2024/5/31まで)を実施中です!(目安所要時間5分)

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※回答上限に達し次第、予定より早く回答を締め切る場合があります
  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます