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俊寛ってどんなドラマ?2(2ページ目)

今月は、国立劇場で松本幸四郎、新橋演舞場で中村勘三郎が『俊寛』をつとめています。上演される頻度の高いこの『俊寛』。いったいどんなドラマなのでしょう。

執筆者:五十川 晶子

●上使 丹左衛門の人間性。

もう一つ、是非ともご紹介したいのが、船に乗って俊寛たちに赦免状を持ってくる、そう斬られる瀬尾の方ではなくて、見るからに善玉風の丹左衛門です。つまりお役人ですよね。
鮮やかに俊寛の島流しを解き、正義の味方これにありといった風情です。同じ役人でも瀬尾は見るからに赤ら顔で悪者タイプ。同じ役人なのにこの対比をつけるところまではいい。

ですが、瀬尾と俊寛との争いになると、全くノータッチ。止めようともしないし、同僚なのに瀬尾を助けようともしない。
「それは私が命じられた仕事ではないから」ってことです。

今も昔も、「お役人様」ってこういう人なんでしょうか。少なくとも今月、演舞場と国立劇場で観た際、いずれにおいても明らかに苦笑が客席にひろがりました。社会保険庁の年金のずさんすぎる管理はもちろんのこと、いろいろな局面で役所に悔しい思いをさせられたことのある我々からすれば、だんだん瀬尾よりもこちらの丹左衛門の方が小憎らしくなってくるから、面白いものです。
作者近松の人間洞察力におそれいります。
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