子育て事情関連情報

更新日:2007年12月21日

子どもを殺す母にならない為の「一線」とは

秋田の連続児童殺害事件で世間の注目を浴びた「畠山鈴香」。現代の「母親の闇の部分」を凝縮した事件を糸口に、子どもを愛せない母の心理を分析した猪熊弘子さんの新刊をご紹介します。

子育て中の母親たちに読んで欲しい「こころのテキスト」

子どもを愛せない
「自分勝手なエゴイズムで子どもを支配する親が多い中で、『子どもを愛せない』と一度でもつぶやいたことのある親は人間的です」(名越氏)
ガイド自身、畠山鈴香被告の事件には、何か触れてはいけないような心理的圧力を感じていた。それを表立って真剣に語るということは、自分自身の心理も掘り下げることを必要とする。振り返って自分はどうだろう、という内省なしには、同じ子育て中の母親としてスズカを語ることはできないからだ。

誰だって、自分の心の闇を覗き込みたくはない。できればそっとしておきたい。しかし子育ては有機的な、血の通った(通わせざるを得ない)作業を積み重ねることでしか進んでいかない。自分が親から受けたあれこれを無意識に子どもに返している、そんな連鎖もまた、子育ての特徴でもある。自分を見つめずには、子育てはできないのだ。

猪熊氏はこの本の後半部分で、「自分の娘を愛せない。娘を殴りつけている自分の姿を想像してしまう」というA子さんのカウンセリング風景を詳細緻密に追っていく。名越氏が緩やかに、しかし冷静で確かな足取りで寄り添い、導いていくカウンセリングからは、読み手も必ず何らかの糧を得るはずだ。「実際の事例を深くえぐっていくことで、普遍的な何かを抽出できる」という名越氏の言葉どおり、それは子育て中の母親たちが自分自身を見つめ、「自分の中の他人と出会う」きっかけを得られるテキストとなっている。

猪熊氏は、「自覚的に『親』を演じ、自らの親を見捨て、許す」ことで「十全な親になる」ことができると結論する。「今の世の中で、ちゃんと親を演じられたとしたら、それはすごいことだと思いますよ」とは、名越氏の言葉。親とは、意識して「なる」もの。その意識が、私達を「子どもを殺す母」ではなく「子どもを愛せる母」にしてくれるのだろう。



猪熊弘子さんがガイドを務めるAll About[幼稚園・保育園]

(執筆者:河崎 環)

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