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【引きこもる子供たち・1】ネット社会と子供 ネット引きこもり・親の対処法(2ページ目)

ネットに病的なまでに依存し、問題を引き起こす子どもの出現。彼らはどうしてネットの世界に「引きこもった」のか。心理学者、生田倫子先生の実際のカウンセリング例から、それをひも解いてみましょう。

河崎 環

執筆者:河崎 環

子育てガイド

ケース2:掲示板・チャットにのめりこむ中1女子


《状況》
A子はネットの掲示板に書き込みをしたり、ネット友達とチャットを行うことに熱中し、学校から帰ってから寝るまで、また休日は朝から晩までネットばかりして過ごしています。
次第に、家族が話しかけても聞いているのかいないのか、心ここにあらずといった感じで反応が薄くなり、心配した母親が家族療法のカウンセリングに訪れました。

《生田先生のカウンセリング・アプローチ》
母親に詳細な聞き取りをした結果、いくつかのことが分かりました。

・ 姑と同居しており、姑は母親にいやみやいじわるを言い続ける。
・ 母親が父親に愚痴を言い、喧嘩になるため、夫婦はいつも険悪。
・ 兄は全寮制の中学に入りたいといい、家を出ている。休日も帰宅せず。
・ A子がネットをしていないときは、母親がA子に姑や夫の愚痴をこぼしていた。
(⇒「知っておきたい、女性の『うつ』」

これでは、A子が家庭にいて楽しいことはなにもありません。

父親も面接に呼び、話し合った結果、
・ 姑からの攻撃を避けるため、またストレス発散のため、母親は趣味やパートなどで昼間なるべく外出するようにする。
・ 母親の外出のことなどは、父親から姑に説明してもらう。またなるべくA子の前では母親を責めないよう、姑に父から話す。
・ A子の前ではなるべく夫婦喧嘩をしないようにし、楽しい話題にするようにする。
・ 休日は、父、母、A子だけで外食や遊びに行く。

こうした、家族関係への「介入」を検討しました。

《その後の経過》
この介入では、特にストレスを受けていた母親が外に出るようになり、発散し始めてから、家の雰囲気が格段に良くなりました。その結果、A子も今ではネットに引きこもることはありません。ネットは趣味の範囲で適度に行っています。

[追記] 佐世保の加害女児の家庭も、多世代の葛藤が多い家庭であったということがわかっています。学校でいやなことがあったとしても家庭で受け止めることができず、学校のストレス発散として、そして家庭からの逃避としてもネットが機能してしまったのかもしれません。(⇒佐世保ショック「長崎・小6加害女児の心の闇」


【生田先生よりアドバイス】
 お子さんがネットにのめりこみ始めた兆候が見られたとき、保護者の方ができる、具体的な対処方法についてお話します。

●インターネットはさまざまないい情報も探すことができるが、一方で危険な情報に触れてしまう危険があること、機械に向かっているように思えるが相手は人間であることなどを、子どもと話し合う。
→ 「子どもと話し合う」というのは一見簡単すぎる事のように思えますが、やはり一番大事なことでしょう。子どもは例えまじめに聞いていないように見えても、親の考え方をベースにしていくものです。

●インターネットの有害な情報を物理的に遮断する。
→ これは、「インターネットオプション」というところの、有害サイトのチェックレベルを高くしておくことです。以下インターネットエクスプローラーの場合。

インターネットの上のバー「ツール」→「インターネットオプション」→「コンテンツ」→「コンテンツアドバイザ」→「設定」→「規制」→「セックス・ヌード・暴力・言葉のつまみを調節」

また、子供がはまっている特定のサイトで、親としてふさわしくないというサイトがあれば、そのサイトを見ることができないように設定することができます。

ゲーム等の特定のサイトを制限したい場合は、「コンテンツアドバイザ」→「承認したサイト」→「サイトアドレスを打ち込み」→「(承認)しない、をクリック」

これらの操作の最後には必ず「コンテンツアドバイザ」→「全般」→「ユーザーオプション」→「規制していないサイトを表示する」のチェックボックスをクリック

●定期的に履歴チェックを行う。(事前に子どもに知らせてオープンに行う)
→ やはり、親が責任を持ってネット使用を管理するということが必要です。

●時間制限をする。

●パソコンをおく環境を考える。
→できるだけ、リビングや親の個室等の親の目が届く環境が望ましいでしょう。

●家庭環境を安定に保つ。
→あたたかな家族のコミュニケーションがあれば、子どものネットへの逃避は防ぐことができます。家に帰ってからの時間が苦痛だから、パソコンに向かってしまうということが無いようにしましょう。



以上のように問題を解決していく方法には、「短期/家族療法(ブリーフセラピー)」という手法が使われています。このやり方では、上記のような子どもの問題や家庭内のトラブル、また職場のトラブルなども具体的に解決していきます。

問題の解決の仕方には、一定のセオリーというようなものがあります。
その際の、具体的なカウンセリングの手法を学んでいくのがこの講座です。
この講座で取り上げるのは「人間関係」に関するもの。
夫婦の問題、子供の問題、親戚、ご近所、勤め先、等々、問題には様々な種類がありますが、「人間関係」にまつわる問題が一番やっかいで、あなたの心を痛めているのではないでしょうか。
この際に、これまで気になっていた問題の解決を目指してみませんか?
ご自分の働きかけ次第で、このような問題を解決に導けるのなら。ぜひ、自分でできるカウンセリングの手法を学んでみてください。


西武 池袋コミュニティカレッジ 【心と身体の健康】 カウンセリング (3)16817
お問い合わせは、03(5949)5487 

実践的な心の問題解決手法
家族/短期療法
(ブリーフセラピー)の技法


【曜日・時間帯】第4火曜日   19:00~20:30

【開講日】 7月26日・8月23日・9月27日
【回数】 3ヵ月3回
【受講料】 3ヵ月 11,025円
     
【講師】 武蔵野大学 通信教育部 人間関係学部講師
生田倫子
 
東北大学大学院教育学研究科博士課程修了。教育学博士、臨床心理士、家族相談士。家族心理学、心理面接過程におけるコミュニケーションを研究。
臨床活動として、病院臨床・児童養護施設・スクールカウンセラー・被害者支援などを行ってきた。


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