男の靴・スニーカー/ドレスシューズ

ジョンブル魂が残るロイドフットウェアの靴(3ページ目)

多くの方からのリクエストにお応えすべく、行ってまいりましたよロイドフットウェア銀座! 今回ご紹介するマスターロイドの新モデルの中にも、多くのブランドが失ってしまった質実剛健さがしっかり残っています!

飯野 高広

執筆者:飯野 高広

靴ガイド

シンプルだけど、要望を完璧に満たす鞄

ミュージックケース・表面
ロイドフットウェア の鞄シリーズ”Lloyd’s Luggage”のミュージックケース。荷物があるようなないような…… のような時に丁度良い容量の、持ち歩きしやすい鞄です。


ロイドフットウェアといえば、靴だけでなく「ロイズラゲージ(Lloyd’s Luggage)」のブランドで売られている鞄も、紹介し忘れてはいけない逸品揃い。ブリーフケースやフレームトップ(ダレスバッグ)などと並び、ここの代表的な作品として長年多くの顧客から愛されているのが、この「ミュージックケース」です。

名前からもお察しの通りこの鞄、もともとはイギリスの音楽学校に通う学生や先生が用いていた、それこそ楽譜とペンの類をサッと入れるための伝統的なもの。確かにタテヨコの幅は、今日主流のA4相当のスコアを納めるのには丁度都合の良いサイズです。革のベルトと真鍮の棒で出来た輪の中に片方だけのハンドルをくぐらせて蓋部をロックする独特な仕組みも、一緒に持ち運ぶ楽器入れ(並びに楽器そのもの)に、錠前の金具で万が一にも傷が付かないようにするため考え出された、まだジッパーが存在しなかった頃の大いなる発明です。

下の写真のように裏面を見ても大変美しいのが特徴です。同じヨーロッパでもフランスやイタリアの製品のように、初めから「美しいもの」を目指したのではなく、用途・機能を突き詰めていった結果としての、素朴でありながら非常に洗練されたスタイルと申せましょう。マチ幅の薄いシンプルな一気室構造なので、本当は手ぶらで歩きたいのだけど、書類とペンだけちょっと持ってゆきたい…… みたいな際には打ってつけなんですよ、コレ。この種の鞄、一時期別のセレクトショップや日本のメーカーでも随分手がけてくれていたのですが、現在国内で容易に入手できるのは、実質ここだけになってしまいました。

素材はもちろん、鞄用の革としてこのお店が日本に初めて広めてくれたと言っても過言ではない、蝋を十分に染み込ませた厚くて張りのあるブライドルレザー。しかもこの革独自の経年変化を楽しんでもらいたいがゆえのアンラインド仕様を、ずっーと維持し続けてくれる姿勢がまた泣けてきます! ライニング付きの方が一見丈夫で高価にも思えるのですが、不要な装飾にはコストをかけず革の厚さ自体で丈夫さを出し、そちらにコストを廻そうとする道具の本質重視の姿勢、頭の下がる思いです。

【Lloyd Footwear/Lloyd’s Luggage ミュージックケース】
■色・素材 : 黒・ハバナ(こげ茶)・チェスナット・ニュートン(薄茶)。全てブライドルレザー
■サイズ : 縦28CM*横38CM*マチ5CM
■価格 : \37,800(税込み)


今のイギリスよりも「ジョンブル魂」が残っている店

ミュージックケース・裏面
ミュージックケースの裏面です。イギリス的な「用の美」を日本で完全に理解している数少ない店が、ここロイドフットウェアなのです。


そうそう、改めて思い出してみると、靴にせよ鞄にせよ他のアイテムにせよ、ロイドフットウェアはこの
「イギリスから日本に初めて紹介」
を、素知らぬふりでそれこそ数え切れない位やってくれた、非常に感謝すべき存在なのです。大手のセレクトショップで今日取り扱われている、或いは以前扱っていたイギリスの服飾品のうち、日本初の取り扱いが実はここで、しかも別の企業が本格展開する遥か前のことだったという実例、ブランドの名前は敢えてここでは挙げませんが相当あるんですよ。

それができるのも、このお店がイギリスの服飾を表面的な「ファッション」として捉えているのではなく、より深く「生活文化」として、自らの血となり肉となるよう追いかけているからに他なりません。時代を経て商品自体は少しずつ変化しても、基本的な方向性に乱れの全くないモノばかりなのは、ゆえに当然なのです。金勘定的な視点のみが先行する(=ブランドイメージを無理やり捻じ曲げ、売れなくなるとすぐに取り扱いを止めてしまう)多くの日本の店や商社・代理店とは、視野のレベルがまるっきり異なります。

今日、日本サイドのみならず、当のイギリスのメーカーやブランドまでもが新しいものばかりを追い求め、自らが築き蓄積した素晴らしい「文化」をないがしろにしているケースが、残念ながら暫し見受けられるようになっています。小生、はなはだ僭越ながら彼らにお願い申し上げたい。是非一度、銀座のロイドフットウェアを覗きに行っていただきたいと。消費者にとっては何の意味も持たない「リニューアルの羅列(賢明な消費者は、その本質をとっくに見破っているのですが)」に明け暮れている彼らが、鈍感にも完全に失ってしまった「母なる大地」がここにはまだしっかり残っていて、彼らより遥かに中身の詰まった実を育てているのですから。



【お問合せ先】
ロイドフットウェア 銀座
住所:〒104-0034 東京都中央区銀座3-3-8
地図: Yahoo!地図情報
Tel:03-3561-8047(直通)
営業時間:12:00~22:00 年中無休

ロイドフットウェア 青山
住所:〒107-0034 東京都港区南青山5-18-4 102
地図: Yahoo!地図情報
Tel:03-3409-9335(直通)
営業時間:15:00~22:00 年中無休
【編集部おすすめの購入サイト】
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