気になる、自分の将来の年金受給額
「消えた年金記録」など何かと気になる年金。自分自身の年金記録は自分で確認することが一番
ところが、ここ数年の年金支給額は予想できますが、数十年後などの支給額はわからないというのが実情。ならば、現在年金を受給している人たちはどれくらいの年金を受け取っているでしょうか?
老齢年金は65歳から支給される
はじめに、公的年金制度のおさらいをしておきましょう。公的年金は「3階建て」といわれており、下の図で水色の部分が基礎年金となる「国民年金」です。自営業者などは、この「国民年金」に加入しており、「第1号被保険者」と呼ばれています。
また、サラリーマンや公務員などは「第2号被保険者」と呼ばれ、厚生年金(公務員は共済年金)に加入していることになります。また、この第2号の人は国民年金にも同時に加入していることになっています。
次に、サラリーマンや公務員の扶養配偶者(年収制限あり)は、「第3号被保険者」として国民年金に加入しています。
■日本の公的年金制度のイメージ
そして、65歳以上(厚生年金では生年月日によって60歳以降から一部受給)になると、受給要件を満たせば、加入していた年金から老齢年金が受け取れるということです(国民年金基金、厚生年金基金からも支給されますが、この記事では国民年金と厚生年金の部分のみを紹介します)。
平均受給額は国民年金が5万4544円、厚生年金が14万5596円
現時点で年金を受給している人の平均を見てみましょう。平成25年度で国民年金が5万4544円、厚生年金が14万5596円となっています。厚生年金が国民年金の約2.7倍となっており、厚生年金として9万1000円程度が上乗せされているのがわかります。■国民年金・厚生年金受給権者の平均年金月額の推移
(平成25年度末現在、単位:円)
平成25年度の国民年金受給権者の平均年金額は5万4544円だが、厚生年金の受給権をもっていない人は14万5596円 ※( )内は厚生年金保険の受給権を有しない基礎年金受給者 (出典:厚生労働省年金局「平成25年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
また国民年金のカッコ内は、厚生年金の受給権を持たない人の平均です。一般的にずっと自営業だった人などが当てはまります。平均が4万9869円と、さらに低い水準となっています。
年金だけで老後の生活を考えるのは難しいようですね。次に、男女別の受給額などを詳しく見ていきましょう。
国民年金の月額支給額、最多層は6万円台
下の図は、国民年金受給権者の受給金額(月額)を男女別にまとめたものです。全体では、月額6万円台を受給している層が一番多く、平均は5万4544円となっています。全体の半分以上が5万円以上の支給となっています。■国民年金受給権者の男女別の平均受給月額
(平成25年度末時点、単位:円)
ところが、女子だけを見ると様子が変わってきます。女子の最多層は月額6万円台で27.6%となっていますが、5万円台も22.5%あり、3万円台から7万円台まで散らばっているのがわかります。月額3万円台はもちろん、6万円台でも生活費としては厳しいところです。
国民年金は、単純に年金を納めた期間(もしくは、免除などの期間)に比例して年金受給額が決まるものです。女性の場合は、年金の加入期間が少ない人が多いということですね。専業主婦が任意加入だった時代に加入していたかどうかで年金額の差が出ているのでしょう。
厚生年金の月額支給額は男子が16万6418円、女子が10万2086円
次に厚生年金について見てみましょう。厚生年金は、国民年金の基礎年金に加えて厚生年金部分が支給されています。厚生年金の受給額は、平均で14万5596円となっており、国民年金の約2.7倍になっています(もちろん支払った保険料も多いわけですが……)。月額15万円弱だと、生活の基本的な部分はある程度まかなえる、といったところでしょうか。
■厚生年金受給権者の男女別の平均受給月額
(平成25年度末時点、単位:円)
平均年金額は月額14万5596円と、国民年金の受給額よりはるかに高い。男子は16万6000円、女子は10万2000円と、男女間での受給額の差が大きくなっている (出典:厚生労働省年金局「平成25年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」)
今回は、現時点で年金を受給している人の平均像をご紹介しました。 この支給額を見ても、老後の生活は年金だけに頼れないということがわかったでしょう。将来的には、さらに年金の受給額が減っていくことが予想できます。老後のための資金計画を真剣に考えないといけないようです。
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