食費1万円台のすごい主婦たち
「食費が月5万円って多いですか?」「やりくり上手は食費が月1万円台ってホント?」。みなさん、よそのお宅の食費が気になるようです
中でも、「ひと月1万円台」や「週3000円の献立」などの文字が目につきます。週3000円だと、ひと月1万5000円。見事に1万円台ですね。家計簿をつけていない人は、この1万円台というのが安いかどうかピンとこないと思いますが、すごいことなんですよ。
1万円台は、1万円から1万9999円まで幅があります。仮に、ひと月の食費が1万9800円だとしたら、1日わずか660円。3人家族だとすると、ひとり1食73円です。小学校の学校給食が1食250円くらいなので、給食費を頑張って押さえている、全国の小学校よりも頑張っているわけです。
<目次>
30代のファミリーの食費平均は4万円台?
ここで「月1万円台の食費=優秀な家計」という図式ができあがり、食費が4万円や5万円になろうものなら、「うちは食費が多すぎる」
「私ったら全然やりくりできていない」
と、特にまじめな人は悩んでしまいます。
では、ここで雑誌にはめったに登場しない、全国のご家庭の食費を見てみましょう。総務省家計調査(平成24年)から、2人以上の勤労世帯のデータをピックアップ。世帯主の年齢が25~39歳までの5才刻みの平均値をご紹介します。
- 25~29歳 月4万7404円(うち外食1万2637円)
- 30~34歳 月5万4450円(うち外食1万4768円)
- 35~39歳 月6万2891円(うち外食1万5936円)
ですから、30~40代で「食費が月5万円もかかっている」という家庭は、それは特別多くありませんよ!ということになります。
でも、やっぱり気になる「すごい主婦たち」のやりくり術。どんな食材を使い、どんな献立なのかを検証します。
食費1万円台の家庭で人気の食材は?
1万円台献立によく登場する食材を見てみましょう。ガイドの主観によるランキング形式でご紹介します。■人気のお肉ベスト3
1位 豚こま切れ
2位 ひき肉
3位 鶏むね肉
全て底値(近所のお店で一番安い特売価格)でまとめ買いするのがコツです。ひき肉、鶏むね肉や豚ブロックなどは1キロ買って下ごしらえ&小分けして冷凍するのが基本です。ベスト3には登場していませんが、鶏皮、モツ、レバー等はもっとお値打ち。でも、毎日は使い回せないという理由で、圏外になりました。
■人気の野菜ベスト3
1位 もやし
2位 キャベツ
3位 にんじん
1位のもやしは、食費を安く抑えるには欠かせないアイテム。メインのお肉や魚介が少なくてもボリュームアップしてくれるし、鍋の具、メンチカツなどの具にもなります。キャベツも丸ごと1個買えば、スープや炒め物、煮物などに毎日使えてお助けアイテムになります。にんじんやトマトは、食卓の色取りに欠かせない野菜です。一般的に、トマトよりもにんじんのほうがお値打ちなので、3位にランクインしました。
■その他の人気食材ベスト3
1位 卵
2位 とうふ
3位 ツナ缶詰
油揚げの中に卵を入れて煮るお宝煮なら、卵1つでも立派なメインになります。お豆腐も、煮てよし、炒めてよしのボリュームアップアイテム。ツナは、サラダだけでなく缶の油ごと炒め物に使ったり、肉の代わりに「ツナじゃが」「ツナコロッケ」「ツナそぼろ」のように使ったりします。
きっと、みなさんも普段よく買う食材ばかりですね。でも、違う点はその買い方と使い方です。底値でまとめ買いをするのは当たり前。それをムダにせず使い切るための下ごしらえと、調理方法のレパートリーが重要なのです。家族が飽きないための「リサイクルメニュー」という方法もあります。
食費1万円台主婦のお買い物リストに絶対入らないもの
食費1万円台の主婦のお買い物リストなどを見てみると、その中に絶対に登場しないものがあることに気づきます。■果物
バナナやりんごが手作りおやつに登場することはありますが、お買い物リストの中には滅多に果物は入ってきません。
■パン
5kg=1980円のお米なら、1膳およそ27円。食パンを100円以下の底値で買えば、1人あたり1食およそ30円でなんとかご飯に対抗できそうですが、菓子パン、調理パン、パン屋さんのパンは、なかなかお買い物リストには登場しません。
■牛肉、お刺身
オージービーフ切り落としが100g=100円台だとすると、国産牛はその3倍の300円程度します。お刺身も、たいていが少量のパックで高額。でも、お刺身を食べないわけではなく、刺身用のアジやいかを買って自分でさばけばいいのです。
■ジュース、お菓子、お酒
ペットボトルのジュースや紙パックの飲料、スナック菓子は、食費1万円台のお買い物リストには登場しません。飲み物は家庭で作り、外出時はおしゃれな水筒やペットボトルに入れます。お菓子も手作り。片栗粉を使ったわらびもちや牛乳もち、ホットケーキミックスを使ったパンやスコーンなどなど。もちろん、お酒も登場しません。お酒は別費目かお父さんのおこづかい、お菓子は子どものおこづかいから出ているのかもしれません。
いかがですか?だんだん「食費1万円台」の食卓が見えてきましたよね。食費=ご飯の食材のみ、と考えたほうがよさそうです。雑誌の企画の中には、お米代を抜いて1万円台というものもありました。実際、家計簿上は「食費1万円台」でも、お米を実家から送ってもらったり、休日は実家で過ごしたりという家庭も多いようです。
食費1万円台を実現可能な人
食費を、飲み物やお菓子を除き、ご飯を作るための「食材費」と考えれば、実現への道が開けそうです。でも、まだハードルは高いのですが、こんな人は向いているかもしれません。- 週末は実家でご飯を食べられる
- 実家からお米や野菜などが送られてくる
- 業務用スーパーや激安店が近所にある
- 閉店間際のおつとめ品が買える
- 見切り品も抵抗なく買える
- 食材の下ごしらえに時間がかけられる
- 残りものを上手にリサイクルして別の料理にアレンジできる
- 買った食材は腐らせない
- 主食はお米
- 魚がさばける(お店で無料でさばいてもらえる)
- 牛肉を毎日食べたいと思わない
- できあいのお惣菜は買わない
絶対に食費1万円台にはならない人
次に挙げるのは、もともと食費を1万円にするのは難しい人の特徴です。実現不可能なことにパワーをかけてストレスをためるよりも、違う費目でやりくりの方法を考えましょう。- パンを買うなら焼きたてパンがいい
- 晩酌は欠かせない
- 近所にスーパーがあまりない
- できるだけ新しい食材しか買わない
- 果物やスイーツを食べる習慣がある
- 献立のレパートリーが少ない
- 小分けして冷凍や下ごしらえをする暇がない
- 食材を使いきれず賞味期限が過ぎることがよくある
- 同じ料理を続けて出すと家族が食べない
- お惣菜、テパ地下が大好き
食べることはとても大切なこと。野菜が育つのに良質な土と水と太陽が必要なように、人にはちゃんとした食事が欠かせません。以前お会いした有名フレンチ店「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國清三シェフは、小さい頃に食べたいろんな食べ物の味や食卓の雰囲気が脳を活性化させ、人を思いやる、考える力を作る、と話してくださいました。人の体は食事でしか作れません。上手にやりくりして、工夫したいですね。
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