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教育系ソフトで変わる日本の「ゲーム」観

脳トレのみならず、受験や資格試験の勉強までできる「ゲームらしくないゲーム」も最近急増してきました。この背景にはいったい何があるのでしょうか。そして、これらのソフトがもたらす影響とは……?

執筆者:川島 圭太

DSで急増する「教育系ソフト」

『脳を鍛える大人のDSトレーニング』(任天堂)

ニンテンドーDSのソフト発売スケジュールを見てみると、『もっとえいご漬け』や『正しい日本語DS』、『山川出版社監修 世界史B』といった、いわゆる「教育系ソフト」がこのところ随分と増えていることに気づきます。ほかにも『大人の女力検定』や『資格検定DS』、『ソムリエDS』など、教育というよりは「教養」系のソフトも続々とスケジュールに名を連ねています。

これらの、いわゆる「ゲームらしくないゲーム」がニンテンドーDSの幅広い人気の原動力になっていることは、『脳を鍛える大人のDSトレーニング』の空前の大ヒットが証明しています。

……と、こういう論調は、自分もいろんな媒体で幾度となく書いたり読んだりしてきました。そこで今回は、「教育系ソフトが増えること」の意義について考えてみることにします。

「教育系ソフト」が何を変えたのか

先日、Gpara.comさんにて“「教育系ソフト」はゲームか? 否か?”という記事を見かけました。「教育系ソフト」はゲームと言えるのか、教育系ソフトが大ヒットしたからといって「ゲーム人口が拡大した」と言えるのかを、わかりやすく考察しておられました。

わたくしも、「ゲーム機を持っている人が増えた」という意味では、ゲーム人口は確かに拡大していると思います。ただし、「拡大した」という事実そのものよりも、「拡大した」ことによってゲーム機に対するユーザーの認識が「変わった」ことにこそ、大きな意義があるように感じるのです。

そもそも「ゲーム機」には、テーブルゲームやボードゲームにおける点数計算やルール決めなどの面倒な処理を、コンピュータが代わりに処理してくれるマシンとして生まれた、という側面があります。たとえばロールプレイングゲーム(RPG)というジャンルは、本来は「一定のルールにのっとって架空の会話を楽しむ即興芝居」のことで、一種のテーブルゲームを指します。1960年代のアメリカで『指輪物語』(映画『ロード・オブ・ザ・リング』の原作)という長編小説がブームになり、指輪を滅ぼすという「目的」を持った登場人物になりきって会話する“テーブルトークゲーム”が、RPGの始まりとされています。

そして、ゲームの「目的」を用意し、「一定のルール」を処理することが、「ゲーム」におけるゲーム機の役割になったというわけです。

『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』(任天堂)

たとえば『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』なら、もっと脳を鍛えるという「目的」があり、最新の脳科学が実証する「一定のルール」に基づいたトレーニングを行うことができます。書籍などでは不可能な、ゲーム機だからこそ実現する効率的なトレーニングをこなせることに、教育系ソフトの存在意義があるのです。

ゲーム機をゲーム以外のことに使う、それがニンテンドーDSの人気の理由。……こんな風に書くと、DVD再生機能という「ゲーム以外」の機能で人気になったPS2と同じ状況のようにも思われるかもしれません。でも、PS2とニンテンドーDSのまったく違うところは、ゲーム機としての機能を「そのまま」ゲーム以外のことに活かしているかどうか、という点にあります。

つまり、ゲーム機に「ゲーム以外の機能を搭載」したのがPS2なら、ゲーム機の「機能をそのまま使ってゲーム以外のことを実現」したのがニンテンドーDSなのです。

もちろん、ゲーム機の処理能力を有効に使っているという意味では、『脳トレ』をはじめとした教育系ソフトも立派な「ゲーム」と言えるでしょう。こういった「ゲームらしくないゲーム」によって、「ゲーム機」に対する消費者の認識を大きく変えたことがニンテンドーDSの大きな存在意義であり、その結果として大ヒットしている現状があると考えるべきなのでしょうね。

「認識を大きく変えた」という実感について、最後に個人的な実話を。

わたくしの弟の学校の担任はキビしい人らしいのですが、学校に持っていったニンテンドーDSを見つけられても怒られなかったとか。ちなみに挿していたソフトは『DS楽引辞典』。ニンテンドーDSは、学校に持っていっても怒られない初めてのゲーム機になりつつあるのかもしれませんね……!

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(掲載日:2007年06月28日)

 

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