起業支援のプロと人気カフェオーナーに聞いてわかった! 今どきの店舗開業で大切なこと

「店舗、特に飲食店などでは『成功には立地が8割』と言われますが、働き方・暮らし方が大きく変わった今、立地選びに新たな視点を加えるべきです」。そう話すのはこれまで多くの起業支援を行ってきた中野裕哲さん。今どきの店舗開業で注目したい立地は、なんと団地内だそう。その理由を、中野さんに伺った物件選びのコツや、実際に団地で人気カフェを開業した方の体験談と共にご紹介します。

提供:UR都市機構

お話をうかがった方

中野 裕哲

「起業・独立のノウハウ」ガイド:中野 裕哲

起業コンサルタント、税理士、行政書士、特定社労士。起業準備から起業後の経営まで「まるごと起業支援」できる専門家として活動中。年間約200件の起業無料相談を受ける。業種を問わず、若手起業家への起業、経営全般にわたる全面支援が得意。創業融資獲得を意識した会社設立、事業計画書の徹底添削指導、融資担当者との面談のシミュレーションなどのノウハウにより、創業融資獲得実績多数。

お話をうかがった方

北島 勲

株式会社手紙社 代表:北島 勲

編集者として、趣味、ライフスタイルをテーマに雑誌を企画・編集。並行して、多様なジャンルの“つくり手”を集めたイベント「もみじ市」を主催。2008年に独立し、公私ともに重要なパートナーである妻と「手紙社」を設立。その後も「東京蚤の市」など数多くのイベントを主催し、オンラインでもイベントを展開する。2009年にカフェ「手紙舎」を神代団地内にオープン後、現在までに近隣に4店、台湾に1店を展開。

新しい生活様式に対応した、今どきの店舗開業3つのポイント

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"新しい生活様式"により、私たちの働き方・暮らし方は大きく変わってきました。そうした中で、「空き店舗も見つかりそうだし、以前から考えていた独立開業のアイデアを実行に移すチャンス」と感じる人もいるかもしれません。

中野さんによると、店舗の立地や営む業種は、従来の先入観を一度捨てて検討すべきとのこと。そのポイントは3つあるそうです。

(1)新しい生活様式でも集客が期待できる、人が住む場所に近い立地

中野さん(以下敬称略)「個人客を対象とする店舗の場合、人が多く集まる場所に店を構えるのが基本。今の時代もそれは変わりませんが、人の移動が大幅に減ったことで、人が住んでいる場所に近い立地の魅力が増したと考えています」

住宅地の近くや、気軽に行ける範囲の商店街などは、そうした立地の候補になるそう。そこに住んでいる人の年齢層や、近くにどんな業種の店舗があるか、その店舗がどれくらい賑わっているかも参考になります。

(2)憩いの場になるなど、地域に根ざした店舗運営

中野「遠くに出かけることが難しくなり、自分たちの生活圏に憩いの場を求める傾向も強まっていると思います。近所を散歩する中でふらっと立ち寄れるような、地域に根ざした店舗が求められるのではないでしょうか。

デリバリー専門で営業するスタイルもありますが、生活の潤いになるには実店舗は必須でしょう。それに個人店に注文するときは、多くの人がWebサイトだけより実店舗がある方が安心できると感じるはずです。加えて、『近くに新しいお店ができたね』といった、地域のクチコミによる宣伝効果も期待できます

(3)初期投資、運営コストが抑えやすい物件

一方で、実店舗を持てば、その分のコストがかかります。例えば、初期費用として保証金(敷金)、礼金、仲介手数料などを準備する必要があるほか、毎月のテナント料を払い、更新時期には更新料も払うことになります。

中野「店舗の候補に考えている物件の中には、初期費用の一部が無料だったり、テナント料の無料期間が設けられていたりと、コストを抑えられる物件があるかもしれません。そうしたチャンスを利用することも考えてください」

そんな3つのポイントを満たす物件を探すには?>>

開業の選択肢として今、注目が集まる「URテナント」とは

中野さんへの取材で見えてきた、今どきの店舗開業・店舗運営で重要な3つのポイント。こうした条件に合う物件が多く見つかりそうなのが、UR賃貸住宅の貸店舗URテナントです。

中野「UR賃貸住宅は、緑豊かな敷地に建つ建物同士の間隔が広く、まさに生活の潤いを感じられる空間です。子育て世代の姿もよく見かけますし、こうした環境なら、例えば自然を感じながら食事を楽しむなど、店舗のアイデアも広がりそうです」

■「URテナント」があるUR賃貸住宅の特色

UR賃貸住宅はUR都市機構により運営されています。同機構は日本住宅公団に始まり、全国の主要都市圏とその郊外を中心に60年以上も良質な集合住宅を提供・管理してきた独立行政法人で、信頼できる取引相手といえるでしょう。

また、UR賃貸住宅には一人暮らしからファミリー層までカバーする多様な間取りの物件があり、必要に応じて部屋のリノベーションも行われています。ゆとりある団地内の環境で子育てができる安心感などから、最近は若い世代の入居も増えています。

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■地域に根づいた「URテナント」

こうしたUR賃貸住宅の建物の一部に設けられたテナント物件がURテナントです。物件は下層階(主に1階)にあり、飲食店、小売店、クリーニングなどの生活密着型のサービスのほか、暮らしに役立つ業種・業態の店舗が営業しています。UR賃貸住宅の入居者はもちろん、近くの住民にも親しまれている店が多くあります。

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光が丘パークタウンゆりの木通り北(東京都板橋区)の団地商店街

■「まちづくり」にも力を入れるUR都市機構

UR都市機構では、管理する賃貸住宅を通じて「多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住まい・まち(ミクストコミュニティ)の実現をめざす」とし、UR賃貸住宅を軸とした地域の活性化にも力を入れています。その一貫として、URテナントで地域のニーズに応じた店舗、サービスを募集しています。

中野「人の移動が減ったことで、地元の店が注目されやすくなると同時に、自宅の近くに店舗を持つ職住近接、店舗と同じ建物に住む職住一致も進むと私は考えています。URテナントなら、近くのUR賃貸住宅や、団地によっては賃貸住宅と一体になった住宅付き店舗に住むという選択肢もありますし、今の時代に向いていると思います」

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団地のゆとりある屋外空間などを活用したプチマルシェ、ワークショップや子ども向けアクティビティなどコミュニティイベントが行われています(写真は埼玉県三郷市のみさと団地で開催された「STAY DANCHI in みさと」の様子)。

気になるコスト面も「URテナント」なら安心!

一般的な店舗賃貸借契約では、初期費用として保証金(敷金)、礼金、仲介手数料、前払い家賃などを払うことになり、契約には連帯保証人が必要な場合もよくあります。しかしURテナントでは礼金、仲介手数料が不要で、保証人も不要※1です。

中野開業前から開業直後までの資金繰りは非常に重要。賃貸借契約に関連する初期費用が抑えられれば、収入より出費がかさみがちなオープン当初の店舗運営がずいぶん楽になると思います」

さらにURテナントでは、内装等工事開始前の最大3カ月間は賃貸料も無料です。

中野店舗開業に非常に有利な条件だと思います。希望の立地に空き店舗が見つかったら、ほかの人が契約しないようすぐに契約して、家賃を払いながら内装等の計画を詰めるというのはよくあることですから。いわば申し込み予約期間があるというのはありがたいですね」

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さらにURテナントで開業する人を支援する「チャレンジスペース」では、内装等工事開始後の最大12カ月または最大6カ月は賃貸料無料で利用できます。もちろん、内装工事終了後はそのまま店舗をオープンして構いません。前述の工事前の最大3カ月無料と合わせれば、最大15カ月または最大9カ月の賃貸料が無料※2になります※3

「URテナント」のうれしい制度について詳しく>>

※1 URの申込み資格を有する場合
※2 毎月の共益費は必要です
※3 申込業種の経営経験が5年未満などの諸条件はURのホームページで確認を

経験者に聞く! 実際に開業して感じた「URテナント」の魅力とは?

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実際にURテナントで開業した方は、どんな感想をお持ちなのでしょうか。

お話を伺ったのは、全国からファンが訪れる人気カフェ「手紙舎」を運営されている北島勲さん(手紙社代表)。今回はその1号店となった、URの神代団地(じんだいだんち・東京都調布市および狛江市)にある「手紙舎 つつじヶ丘本店」にお邪魔しました。

もみじ市、東京蚤の市などの人気イベントも手がけている北島さん。URテナントで初めての店舗運営にチャレンジした理由、URテナントの開業前のサポート、これからの計画などを伺いました。

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北島勲さん(株式会社手紙社 代表)

北島さん「雑誌の編集者だった頃から、自分が『これは!』と思った作り手に声をかけて出店してもらうイベントを、一種の趣味として続けていました。その後、出版社を退職して独立し、それまで事務所にしていた部屋を出ることになったんです。新しいオフィスに移るなら、以前からやりたかったカフェも始めたいと思って、インターネットなどで物件を探していました。そのとき、元の事務所に近い神代団地にURテナントがあることを知って、最初は賃貸料の安さにひかれたんです

駅前の物件などに比べると割安だったとのこと。さらにご夫妻で近くを通りかかったとき、せっかくだから物件を見てみようと神代団地の中まで入り、緑豊かな環境、物件のレトロな外観、掃除が行き届いた周辺環境を二人とも気に入って、一気に話が進んだそうです。

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北島さんご夫妻が一目で気に入ったという、緑あふれる神代団地の広場

北島さん物件がURテナントのチャレンジスペースだったことも後押しになりました。近隣の市場調査もそこそこに、自分たちの思いで開店を決めた店でしたから、開店して数カ月は賃貸料が無料だったのは助かりましたね。それにURテナントはすべて更新料が無料なので、安心して続けられます

カフェは手紙舎の店名で2009年にオープン。カフェと雑貨とイベントを運営する会社名が手紙社です。「最初は手紙社が主宰するイベントの世界観が好きな人が主なお客様でしたが、次第に近隣のお客様も来られるようになりました」と北島さんはいいます。

北島さん「ここ数年で、手紙舎の並びに当社が開催したイベントで知り合った方が店を開いて、相乗効果でお客様が増える好循環が起きています。それに手紙舎があるから神代団地に引っ越しましたという若い方もいて、地域の活性化の役に立てているのかなと感じています

新しい店の経営者は、店舗2階を自宅として使える点にも魅力を感じているそうです。「開業して体力的にも経済的にも大変な時期は、職住一致のメリットは大きいと思います」と北島さん。

北島さん「今はイベントが難しい時期ですが、落ち着いたら神代団地にお住まいの方に声をかけて、お手持ちの書籍を古本としてご提供いただく『一箱古本市』や、広場を使ったガレージセールなどをやってみたいと考えています。無理強いはしませんが、この団地に住んでいる楽しさを自然に共有できる"しなやかなコミュニティ"みたいなものを、URテナントとお住まいの方で一緒に作っていけるといいですね

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広場で遊んだファミリーも帰りによく立ち寄ってくれます

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レトロな雰囲気で懐かしさも感じられます


これからの店舗開業は、活気あふれる団地に根ざした「URテナント」で

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中野さんによれば、一時的に減った起業の相談は少し前から増え始めたそうで、これは世界的にも同じ傾向なのだとか。しかも"新しい生活様式"によって、改めて地元の店を大切にする人が増え、地域の憩いの場になるような店が人気を集めるなど、新たな立地選びの視点も必要になっています。

中野「商店街の中など、いい物件が見つかったから店を出したいという人も多く、思った以上に店舗開業のニーズは高まっています

そうした中でも、URテナントのように大規模住宅と一体になった店舗なら、地域に根ざした店づくりをしやすく、職住近接、職住一致のライフスタイルも可能です。UR賃貸住宅やその近隣に住む人が来店すれば安定した集客にも期待でき、礼金や保証人が不要、更新料が不要、所定の期間は賃貸料無料など、さまざまなコストを抑えた店舗開業・店舗運営ができるのも大きなメリットです。加えて、UR賃貸住宅では地域活性化を考えたイベントが行われることも多く、それを新たな集客のきっかけと考えることもできるでしょう。

中野「以前のように、仕事や遊びで都市部に頻繁に出かける生活に戻るとも思えません。これからの新しい生活にマッチした店舗運営なら、うまく波に乗れるのではないでしょうか」

URテナントは全国約450団地に約4,000の貸店舗物件があり、立地は駅近くから郊外の物件までさまざま。まずは希望のエリアにどんな物件があるのか探してみましょう。