ステイホーム、テレワークetc.これからの時代の住宅選びとは?

新型コロナウイルスの影響により暮らし方や働き方が変わり、住宅の住み替えを検討している人は多いでしょう。家族の“暮らしの器”となる住まいは、このような変化を受け、何を重視して選ぶべきなのでしょうか。「最新住宅キーワード」ガイドの山本久美子さんに伺いました。

提供:住宅金融支援機構

お話をうかがった方

山本 久美子

All About「最新住宅キーワード」ガイド:山本 久美子

住宅の売買やリフォーム、住宅ローンなど幅広い取材経験を持つガイドが最新の住宅キーワードを読み解きます。

新型コロナウイルスの影響で住まいの希望に変化が

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2020年春以降、新型コロナウイルス感染性の影響などをきっかけに在宅勤務が導入・拡大され、働き方が変わった人は多いでしょう。また、外出自粛要請を受けた“ステイホーム”により、家で過ごす時間が長くなった人も多いはずです。

このような働き方や暮らし方の変化により、住まいに対する希望には変化がみられるのでしょうか。

山本久美子さん(※以下敬称略)「2020年5月にリクルート住まいカンパニーが行った調査(※1)によると、住み替えを検討するきっかけとして『在宅勤務になった』という回答が一定数ありました。また、新型コロナ拡大による住宅に求める条件の変化については『仕事専用スペースが欲しくなった』が最も多い結果となっています。在宅勤務やWebミーティングを行うようになった人は、家族の様子や音を気にせずに仕事に集中できるスペースが欲しいと思い始めたのでしょう。

家に仕事用のスペースが欲しいとなると、ある程度の広さと部屋数が必要です。マンションと戸建住宅を比べた場合、戸建住宅の方が広さも部屋数も確保しやすいため、戸建住宅のニーズが高まるのではと考えています」

また、在宅勤務が導入・拡大された時期は、感染防止のために学校や保育園などが休校・休園だった時期でもあります。そのため、家で家族全員が長時間一緒に過ごしたケースも多かったでしょう。その影響はいかがでしょうか。

山本「緊急事態宣言中に実施された複数の住宅メーカー調査結果(※2)には、『仕事とプライベートのON-OFFの切り替えが難しい』『気分転換できる場所が欲しい』などの声が多く見られます。今後、家の中で手軽に気分転換できるような、ちょっとした運動ができるスペースや、一人の時間を過ごせる個室が欲しいというニーズが高まるかもしれません」

※1 コロナ禍を受けた『住宅購入・建築検討者』調査(首都圏)/リクルート住まいカンパニー(https://www.recruit-sumai.co.jp/data/upload/b0448a3a71acd93d7c1ea8e02ad4f71c.pdf)
※2 新型コロナウイルス影響下における住まいの意識調査レポート/ミサワホーム総合研究所
(https://soken.misawa.co.jp/news/20200804/1604/)、在宅ワークに関するくらしの変化についての調査結果/旭化成ホームズ(https://www.asahi-kasei.co.jp/j-koho/press/20200605-02/index/)

これからの時代を見据え、どんな住まいを選ぶべき?

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変化した働き方や暮らし方に合うように、住宅の住み替えを検討している人も多いでしょう。では、これからの時代を見据えたとき、どのような住まいを選ぶべきなのでしょうか。

山本「在宅勤務が定着すると家にいる時間が長くなるので、快適に過ごすために必要な住宅性能を重視して選びましょう。例えば、感染予防のための換気性能、屋内外を出入りする音を遮る遮音性、冷暖房の効きをよくする断熱性などは、一定のレベルを求めたいですね」

住まいの性能を表す指標のひとつに、長期優良住宅があります。長期優良住宅とは、省エネルギー性やバリアフリー性、耐震性などの9項目について、国が定めた基準を満たしていると認定された住宅のことです。

山本「新築一戸建ての場合、注文住宅はもちろん、建売住宅でも認定を受けるケースが増えています。認定を受ければ、いずれの住宅も長期優良住宅として必要最低限の性能を備えていることになります」

家族が快適かつ安心して長く暮らすために、より高い性能を持つ家が欲しいと考える方にとって、長期優良住宅は有力な選択肢になるといえそうです。

長期優良住宅には様々なメリットがある

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長期優良住宅は性能が高い良質な住宅ですが、その分、建築コストが一般住宅より高くなる傾向があります。しかし、高性能な住宅を普及し、次の世代に継承するために、国は取得に際して様々な制度を用意しています。

まず、税金の特例措置として住宅ローン減税があります。住宅ローンを借りて住宅購入やリフォームを行った場合、毎年末の住宅ローン残高に応じた一定額を控除できますが、一般住宅は最大500万円なのに対し、長期優良住宅は最大600万円となります。さらに、住宅ローン減税以外にも、登録免許税、不動産取得税、固定資産税の税負担が軽減される措置もあります。

住宅ローン関連では、住宅金融支援機構の【フラット35】Sがあります。【フラット35】Sとは、省エネルギー性、バリアフリー性、耐震性、耐久性・可変性のいずれか1つの基準を満たす住宅を取得する際に、後述する【フラット35】の借入金利から当初一定期間、金利の引き下げが受けられるものです。

取得対象住宅が長期優良住宅の場合は、【フラット35】の借入金利が当初10年間引き下げられる【フラット35】(金利Aプラン)が適用されます。

山本「これらの制度を利用すれば、コストをある程度抑えながら、質の高い住宅の取得を実現することが可能です。長期優良住宅を建てたい人は、各制度の適用条件や適用期限を事前にチェックしておき、賢く活用することをおすすめします」

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【試算例】借入額3,000万円(融資率9割以下)、借入期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なし、借入金利年1.24%の場合

(注)上記総返済額には、融資手数料、物件検査手数料、火災保険料などは含まれない(借入額に含めることができる場合もある)

【フラット35】なら返済計画の見通しが立てられる

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住宅取得を検討中の方なら、【フラット35】についてご存知かもしれません。【フラット35】は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する、全期間固定金利の住宅ローンです。2003年の提供開始以来、既に100万組以上が利用しています。

山本「【フラット35】の特徴は、全期間固定金利のため、資金受取時に確定した借入金利と返済額が変わらないことです。将来の返済計画の見通しが立てられるので、家計面で安心感が得られます」

【フラット35】には、前述の【フラット35】Sの他にも、様々な金利引下げメニューが用意されています。例えば、子育て世帯の住宅取得を応援する【フラット35】子育て支援型、地方移住等に伴う住宅取得を応援する【フラット35】地域活性化型、中古住宅取得に併せたリフォーム(住宅金融支援機構の定める要件に適合するもの)を行いたい人には【フラット35】リノベがあります。これらのメニューは組み合わせて利用できる場合があるので、興味のある方は公式サイトで詳しい情報をチェックしてみましょう。

【フラット35】公式サイト>>

【フラット35】にはこんなメリットも!

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【フラット35】には、全期間固定金利により返済計画の見通しが立てやすいことや、様々な金利引下げメニューが用意されていることの他にも、保証人や繰上返済手数料が不要といったメリットがあります。

山本「住宅ローンは返済期間が長いため、返済期間中に地震や台風などの天災や、病気や事故など不測の事態が生じる可能性があります。そういった場合でも、【フラット35】は返済方法の変更メニューが明確に提示されています。最近では、新型コロナウイルス感染症の影響により返済が困難になった人に対し、ホームページ上で変更メニューや手続き方法を発表していました」

このように、数多くのメリットがある【フラット35】ですが、取扱金融機関によって金利や融資手数料が異なるという特徴があります。

山本「【フラット35】を借りるなら、金融機関に借入希望額と返済期間を伝え、総返済額と融資手数料を試算してもらい、金額を比較したうえで選びましょう。

もし、試算のお願いや返済に困ったときの相談を対面で行いたい人は、家や職場の近くに窓口がある金融機関を選ぶとよいでしょう」

自分の希望に合う住まいを手に入れよう

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新型コロナウイルス感染症の収束には時間がかかりそうですし、収束しても、変化した働き方や暮らし方はこのまま定着する可能性があります。

山本「在宅勤務を導入する企業や職種は限られているので、働き方や暮らし方が以前と変わっていないご家庭も多いと思います。このようなご家庭は、これまで通り生活や交通の利便性を重視して住まいを選ばれるのもよいでしょう。

しかし、何となく利便性を重視していたご家庭では、在宅勤務をきっかけに住まいに求める希望とその優先順位を見つめ直しているのではないでしょうか。

ご家庭により事情や価値観は異なりますが、『Withコロナ』時代の日々を充実させるためにも、自分の希望に合った住まいを、住宅ローンや各種制度を上手に活用して手に入れてください」

ずっと固定金利の安心 【フラット35】>>