農業はクリエイティブ!公的資金等の強力サポートで夢を実現

これから農業を目指すなら今が好機!技術指導から無利子の融資制度まで、支援制度を活用した就農成功のポイントを農産業ベンチャー企業の経営者が教えます。

提供:日本政策金融公庫

お話をうかがった方

及川 智正さん

株式会社農業総合研究所 代表取締役CEO:及川 智正さん

1997年東京農業大学農学部農業経済学科卒業後、生産現場から販売現場まで実践した経験を活かし、2007年に農産業ベンチャー企業「農業総合研究所」を設立。ビジネスとして魅力ある農業を目指して、全国を飛び回っている。

農業を始めたい人にとっては好条件が整ってきた

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今から農業を目指す人にとってはいい時代。自らも農業を経験し、現在は農産物の流通事業および農業に関わる全業種のコンサルティングを行っている及川智正さん(株式会社農業総合研究所代表取締役社長)は、現状をそう見ています。

及川:「国からの補助金や技術支援なども充実しましたし、農業への熱い思いを持って農業を始める方も増えていると感じます。私の取引先でも、農業を始めてビジネスとして大きく成功されているケースもありますね。農業は非常にクリエイティブな分野で、農産物や畜産物を育てる現場はもちろん、流通や販売も含めて消費者に食べてもらうまでを農業と捉えると、市場規模は一気に広がります」

確かに農林水産省の調査を見ても、2015年、2016年の新規就農者数は連続して6万人を超え、うち49歳以下の人数は2万3,030人、2万2,050人とここ数年の中でも高くなっています(農林水産省『平成28年新規就農者調査』による)。

では、農業を始める際にはどのような心構えが必要なのでしょうか?

及川:「有機農法にこだわりたいとか、ビジネスとして成功したいとか、農業を始める目標はさまざまでいいと思います。ただ、早いうちに自分がやりたい農業が何かはっきりさせることが重要。『なぜ農業をやるのか』『なぜその場所でやるのか』といった部分が明確でないと、あれこれやりたいことだけが広がって、結局うまくいかないことがよくあるのです」

実際にどのような考えで就農した人がいるのかは、各種融資制度や情報提供で就農を支援している日本政策金融公庫(以下:日本公庫)のホームページの「ご融資先の事例」なども参考になるでしょう。

社会人経験で培ったコミュニケーション力や経営感覚も役立つ

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しかしながら「就農」という言葉から受けるイメージと、実際の就農者が目指す姿には少しズレがあるかもしれないと及川さん。

及川:「個人的には『就農=農業という仕事に就職する』ではなく、『農業起業家』という意識がとても大事だと思います。前述したやりたい農業を明確にすることは、起業家が自らの経営理念を固めることと同じ。さらに社会人として培ったコミュニケーション力や経営の知識やセンスも、農業に大いに生かせるはずです」

確かに技術指導を受けたり販売先を拡大したりと、コミュニケーション力が役立つ場面は多いでしょう。また、この農地の収穫量と売り上げはこれくらい、農産物の原価と適正価格はいくら、前期と比べてこれだけ伸びたと、農業を経営の視点で考える農業起業家は成功する可能性が高いと及川さんはいいます。

及川:「残念ながら業界全体では、こうした考えの人は少数派のようです。社会人経験をもとに農業起業家を目指す人は、経営感覚が強みになる点でチャンスといえるでしょう」

もちろん農業への情熱や経営感覚に加え、ある程度の技術や資金が伴っていなければ成功は難しいのも事実。そのためには十分な準備が必要になります。

公的資金、無利子での融資など資金面の支援も充実

では農業を始める準備の一つとして、どんな資金制度が利用できるかを考えてみましょう。国の制度としては「農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)」があり、就農前の研修を後押しする資金(準備型・期間は2年以内)と、就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始型・期間は5年以内)が交付されています(交付は市町村で行っています)。このほか市町村が独自に補助金を交付している例もあります。

加えて日本公庫では無利子で融資される「青年等就農資金」が利用できます。利用者は20、30代が約2/3を占め、非農家出身が約7割となっています(平成28(2016)年度時点での状況:日本公庫調べ)。

「青年等就農資金」の主な特徴は

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など。ただし、融資には市町村から青年等就農計画の認定を受け、「認定新規就農者」になることが必要です(詳しくは日本公庫のホームページで)

及川:「農業で収入を得る機会は基本的に年1回しかなく、新たに農業を始めてから収入に結びつくまでに数年かかることもあります。国の制度以外にも、設備資金や運転資金が必要なら日本公庫が無利子で行う融資も検討するといいでしょう。もちろん借りられるから借りるのではなく、『目指す農業のためにこれくらいの資金が必要。そのうちこの部分は融資で』と計画的に考えるのが大前提です」

特に「青年等就農資金」の融資の際は、就農希望者が5年間の収支計画(経営改善資金計画)を作成するため、事前に5年後までの見通しを把握する機会になっています。さらに就農後の実績を計画と比較することで、達成できた点や未達成の点を確認して経営改善に役立てることもできます。

就農前からじっくり準備することが、成功への第一歩

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また、就農に関してさまざまな形で情報が提供されているのも、農業を始めたい人にとって心強い点です。例えば農業経営に関して詳しく知りたい場合には、日本公庫の「新規就農の手引き」が役立つでしょうし、農産物を育てる技術の習得や就農後の技術相談などは都道府県が設置している「普及指導センター」(名称は都道府県によって異なります)で支援を受けられます。

及川:「それまで農業とは縁がなかった人もいるはずですから、経営面でも技術面でも相談相手を見つけておくといいですね。普及指導センターでは『同じ土地でより多く収穫するには』など、その人が抱える課題に対して具体的な指導が受けられると思います」

まだ就農について考え始めたばかりという人には、全国農業会議所にある新規就農に関する相談窓口「全国新規就農相談センター」の利用、農林水産省の補助事業として全国各地で定期的に開催されている「新・農業人フェア」への参加などもお勧めです。

及川:「私は、農業は"世界の心と胃袋を満たす産業"と捉え、世界から農業がなくならない仕組みを目指して今の会社を作りました。これから農業を始める人と力を合わせて、『ビジネスとして成功できる』『魅力的な人間に成長できる』農業を目指したいですね」