公的制度も支えに! 子育て中でも仕事をしやすい「プチ起業」のコツ

興味や経験をもとに、少額資金で事業を始める「プチ起業」は、出産前や子育て中の女性にも多いのだとか。子育て後まで復職を待つ以外に、子育てしながらマイペースでの仕事もアリ。そんな身近な創業のやり方を、「起業・独立のノウハウ」ガイドの中野裕哲さんに聞きました。

提供:日本政策金融公庫

お話をうかがった方

中野 裕哲

All About「起業・独立のノウハウ」ガイド:中野 裕哲

多数の経験と複数資格で起業準備から経営までまるごと支援する専門家。起業コンサルタント、税理士、行政書士、特定社労士。年間約200件の起業無料相談受託。起業準備から経営までまるごと支援。

暮らしの変化、仕事のやりがいなどが開業動機

著名な起業コンサルタントである中野さんのもとに、最近は「出産を控えているので自宅でできる仕事を始めたい」「子育て中に創業して仕事をしたい」と、暮らし方の変化に合わせて、少額資金で「プチ起業」を考える女性の相談が増えているそう。

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中野:「先日、子どもが小学生になり、遅くまで預かる施設がないといった『小1の壁』問題で、自宅での創業を考える方の相談を受けましたが、それも私は大賛成です。もともと働く意欲や能力のある方が、それを眠らせておくのは社会の損失ですから」
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女性だけのデータではありませんが、「2015年度新規開業実態調査」では、「収入を増やしたい」「自由に仕事がしたい」「経験などを生かしたい」が開業動機の上位(複数回答)となっています。それ以外の回答では、自分の技術やアイデア、趣味や特技をもとにといった「自分を生かす手段」として、ゆとりを持って働きたい、性別や年齢に関係なく働きたいといった「多様な働き方の実現」などが多いようです。

中野:「確かに女性の『プチ起業』でも、趣味を生かして教室を開く、経験をもとに美容系で創業するといった方は多いですね」

そう考えると、「プチ起業」は決して縁遠いものではなく、今までのキャリアや趣味の延長線上にあって、自分や家族の暮らしとマッチさせながら始められるビジネスのようです。

経験や特技を生かして「プチ起業」した女性はどんな人?

では実際に「プチ起業」をした女性の例をいくつか紹介を紹介しましょう。

・庄野 真愛 さん(東京都) 「Makana Cooking Salon」主宰

イタリアンレストラン等に従事した経験後、植物性の食材を使うマクロビオティックやヴィーガンとの出会いから、オリジナルレシピを教える料理教室を立ち上げ。結婚や子育ても視野に、自分で時間のやりくりができる事業として創業。

・石田 すず さん(大阪府) 「あっぱれ☆ダンスクラブ」主宰

愛娘に習わせたい理想のダンススタジオを自ら立ち上げ。長年エンターテインメントの世界に従事した人脈をもとに、現役のプロダンサーを講師に迎えるなど実践的な指導を行う。少人数のクラブ活動として開始した後、生徒の増加を受けて事業化。

・土谷 久美子 さん(福井県) 「ima management」主宰

美容クリニックや結婚相談所でのカウンセリング経験をもとに、ビジネスマナーを主体としたイメージコンサルティングを行う。

中野:「女性が創業するなら女性の視点、自らの経験を生かした事業を検討することで、その人の強みを生かせるケースは多いのではないでしょうか」

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確かな情報をもとに創業を検討。政策金融機関も利用可能

ここで改めて、中野さんに「プチ起業」を検討するときの流れ、その注意点をアドバイスしていただきましょう。

中野:「漠然とでも『こんな仕事をやりたい』と考えたなら、まずは情報収集です。ビジネスや創業について書かれたWebサイトを見たり、書籍を読んだり。その後は無料セミナーなどで創業した先輩やアドバイザーの話を聞くことですね。ただし、十分に注意してほしいのは情報の鮮度と精度。国や自治体の支援制度は年ごとに変わりますから、数年前の情報では役に立たないことがほとんど。そして質の悪い情報、怪しい情報をうのみにしても良い結果は生まれません」

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その後はより具体的な個別相談になり、中野さんのような専門家からアドバイスを受けるなどしてビジネスのアイデアを練り上げ、事業計画書を作っていきますが、そうした情報収集や相談相手として頼れる窓口の一つが、政策金融機関の日本政策金融公庫(以下、日本公庫)です。

日本公庫は国の政策をもとに創業支援に力を入れていて、日本公庫のホームページでは「創業者のためのお役立ち情報」として、創業のポイントやQ&Aなどのノウハウ集を掲載。また先輩創業者の事例なども豊富です。このほか各地域で無料の創業セミナーを開催するなど、地域での「プチ起業」を考える人にも役立ちます。また中野さんも執筆に参加している、日本公庫のメールマガジン「起業家応援マガジン」もお勧めとのこと。

中野:「私が相談を受けた中には、『日本公庫は自分とは縁遠いところ』と思っている方もいるのですが、私は是非利用してほしいと考えています。数々の創業支援を行ってきたプロ中のプロが事業計画などを丁寧にチェックしてくれます。自己資金だけでは難しいビジネス展開も見込めるなど利点は多いのです。全額自己資金にしようと頑張ってお金を貯め続けるより、一定額は融資を受けて早くスタートするのも一つの方法。日本公庫を上手に利用すれば、事業成功の可能性はより高まるでしょう」

このほか日本公庫では、全国152支店に「創業サポートデスク」を設置。全国15ヵ所に創業支援センター、全国6ヵ所に土日も相談できるビジネスサポートプラザがあり、気軽に相談にのってくれます。

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女性の「プチ起業」にお勧めの少額融資制度

そうした女性の「プチ起業」にピッタリな融資制度が、日本公庫の「女性小口創業特例」です。女性の創業を後押ししようと生まれた制度で、前段で紹介した3人の女性も利用しています。
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「女性小口創業特例」とは、300万円以下の融資金で創業する女性が対象で、創業者向けの無担保・無保証の融資制度である「新創業融資制度」を利用する要件のうち、勤務経験や雇用創出等の対象要件の一部が緩和されるというもの。自己資金が創業資金総額の1/10以上という要件はありますが、ほとんど全ての業種で利用できるため、子育てでしばらく仕事を離れていた人や自宅等で独りで創業を考えている人にも利用しやすい制度です。また金利は全期間固定金利で総返済額が分かりやすいといった安心感もあります。

中野:「これまで資金が足りず、意欲や能力はあっても創業できなかった女性の皆さんには朗報です。しかも創業時には国や自治体の補助金などの適用も考えられます。融資や補助金を活用して『プチ起業』することで、やりたい夢を実現させることができるかもしれません」

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