美白研究の権威に聞く! 秋冬は “シミ・リバウンド”にご用心

シミ対策ケアは春夏だけではダメ!!秋冬になると美白ケアを止めてしまう…しかし、実は秋冬こそ効果を実感しやすい!? そこで長年、美白関連研究に携わっているシミ研究のエキスパート・佐藤 潔さんと、All About「スキンケア」ガイドの大貫未記さんが秋冬の“シミ・リバウンド”を解説します。

提供:株式会社 資生堂

お話をうかがった方

大貫 未記

All About「スキンケア」ガイド:大貫 未記

美容ライター・気象予報士・健康気象アドバイザー。多くの化粧品メーカーやドクターを取材するうち、女性の肌や体が天気の影響を受けていることを痛感して、2003年に気象予報士の資格を取得。天気の観点からも美容を語れる稀有な存在。

お話をうかがった方

佐藤 潔

株式会社 資生堂 ライフサイエンス研究センター・皮膚科学研究グループ・グループマネージャー:佐藤 潔

入社後、シミ・ソバカスの原因であるメラニン生成に関する研究を担当。ニューヨーク大学皮膚科へも留学し、メラニン生成に関する研究を深める。帰国後は美白薬剤研究開発に加え、製品開発や美白に関する正しい知識の普及にも努める。美白関連の研究歴は23年。

秋冬の紫外線ってマイルド? 実は油断できない、秋冬の日差し

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Text: YUKI ISHIHARA Photo: HIDEHIRO YAMADA

佐藤さん(以下敬称略):資生堂の調査でも、約4割の方が秋冬になると美白ケアを止めてしまうというデータ(2016年資生堂調べ)が出ています。春夏は紫外線が強いと認識しているので、対策をきちんと行っている方が多いのですが、気温が低くなってくると、それに伴って紫外線量が少なくなったと思いこんでしまい、紫外線に対しての警戒心が解けてしまうのでしょうね。

大貫さん(以下敬称略):周りの女性と接していても、夏を過ごした後で、秋は紫外線に慣れてきてしまっているな、と感じます。日差しが降り注いでいても、多少涼しい風が吹いていたりすると心地良さを感じて、紫外線を避けようという意識が薄くなってしまいますね。

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佐藤:図のように、夏至から冬に向かって太陽の位置は下がっていき、日差しそのものは弱まっていきます。7月下旬から9月くらいまでは、鼻から頬骨の高い位置などに強い紫外線が当たりますが、影になる部分も多いです。さらに暑さを感じるため、私たちは顔をそむけるなど、紫外線を本能的に避けようとしますよね。しかし、10月頃になると暑さを感じなくなるため、日差しが顔に広く当たる角度になっているのに、紫外線を避けようとする意識が薄くなることが盲点ですね。

大貫:夏は、帽子やサングラス、日傘などで、ケアをしっかり行っている女性も多いですが、涼しくなるにつれて、そのような対策もおろそかになりやすいと思います。また秋は台風の発生も多くなります。台風後の秋晴れの日は、とくに空気が澄んでいるので、紫外線が肌に直接当たりやすくなります。実は気持ちの良い秋晴れが、シミやソバカスが気になるゾーンを明るく照らしているので、秋の日差しはあなどれないですね。

秋の肌状態の真実。紫外線の量が減っても、メラニンは蓄積している!?

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大貫:「紫外線量と肌内部のメラニン量」を示したグラフによると、紫外線量が減ってくる9月頃でも、肌の内部のメラニン量は減っていないのですよね。それはなぜでしょうか?

佐藤:それにはいくつかの要因があります。大きな要因としては、メラニンが作り出され、そのメラニンが排出されるまでに、“時間差”があるからです。メラニンが作り出されて増えていくと、そのメラニンが排出するまでに時間がかかります。メラニンは表皮と真皮の境界付で作られるため、表面に上がってくるまでに、約1~1.5ヶ月の期間がかかります。

大貫:紫外線を浴びてから、メラニンが作られて排出するまでに時間を必要とするため、紫外線が減っても、すぐにメラニンが減るというわけにはいかないのですね。

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佐藤:そして、もうひとつポイントとなるのは、“肌疲れ”です。夏はレジャーなど外での活動が多い時期ですので、肌の新陳代謝が滞り、ターンオーバーの周期が乱れ、メラニンの排出が上手にいかなくなっていまいます。ターンオーバーが遅くなると、そのメラニン色素が肌に沈着してくすみが生じます。

大貫:代謝が活発であればターンオーバーのサイクルに伴って余分なメラニン色素を一掃できますが、ターンオーバーが乱れがちになると、メラニン色素を含む細胞がなかなか去っていかないのですね。

肌あれがあると、肌が黒くなりやすい! 夏の肌ダメージと色素沈着

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佐藤:紫外線は、肌の状態によっても作用が大きく変化します。写真の皮ふをご覧ください。こちらは、肌あれをしている肌と、していない肌に、それぞれ紫外線を照射して、3時間後と7日後の肌の状態を調べたデータです。同じ量の日差しを浴びた場合、肌あれをしていない肌は、照射3時間後にほんのり赤くなっているのに対し、肌あれをしている肌では強く赤みが出ているのがわかります。

大貫:肌あれの有り、無しによって、炎症の度合いが大きく異なりますね。

佐藤:次に、色素沈着を見ていきます。紫外線を照射して7日後を迎えると、肌あれ無しの肌ではほんのり色が濃くなった程度ですが、肌あれ有りの肌では、はっきりと色が黒くなっているのが分かります。ダメージを受けているところに、さらなる刺激が与えられることになり、すでに炎症のスイッチが入っている肌は、反応がでやすくなってしまいます。

大貫:肌あれをしていると、炎症も、色素沈着もしやすいことが判明しましたね。ダメージを受けていないうるおった肌であれば、メラニン量が増えにくく、黒くなりづらいのですね。

シミを悪化させる要因に…。乾燥とメラニン生成の深い関係とは?

佐藤:もともと“乾燥”は、すべての肌悩みにつながるものです。9月末頃から一気に湿度が下がることで、肌が乾燥しやすくなりますが、紫外線の影響が残っているのに肌が乾燥に傾くことで知らず知らずのうちに弱い炎症が起こってしまいます。紫外線、ホルモン、ストレス、大気汚染、不規則な生活とともに、シミの大きな要因として、乾燥が関連していることを認識していただきたいですね。

大貫:女性の肌や体は、天気の影響を受けやすいと思います。地域によって差はありますが、日本の秋冬は、湿度がグンと下がります。天気予報で乾燥注意報がでているときだけが乾燥しているのだと思ってしまいがちですが、普段から乾燥をしているという意識を持つことが大切ですね。

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佐藤:乾燥してからうるおいを与えるのでは、実は遅いんですよね。紫外線はしっかり予防するのに、乾燥の予防はしないというのは、美白ケアとしても効率が悪いんですよ。

大貫:すでにターンオーバーが乱れている肌に、乾燥のダメージが直撃してしまうのですからうるおいを与えることの重要性が分かりますよね。偶然にも、こめかみ周辺から鼻にかけてのバタフライゾーンなど、乾燥しやすいところとシミができやすいところは、重なっていますし。

佐藤:自分の肌の中で目立つシミがある部分のまわりには、実は小さいシミがあったり、隠れていることが多いのです。シミは乾燥がひどいところから生じることもあります。秋冬に美白ケアを中断してしまうことで、肌内部のメラニン量が再び増えてしまうことも大いにありますから、乾燥がハリを失わせるだけでなく、シミを悪化させることに繋がると知り、秋冬もうるおい力の高い美白ケアを行うことが重要ですね。


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大貫:夏は美白美容液をきちんと使っている方も、秋冬になると使用率が減っていきます。しかし、実は秋冬こそ、美白アイテムが最も効きやすく、美白ケアの手ごたえを感じられる時季です。最近ではうるおいのキープ力が高い美白アイテムがたくさん発売されていますから、涼しくなってきたからと言って美白ケアを怠らず、気になるところには秋冬に満足感のあるリッチなこくのあるテクスチャーの美白アイテムをたっぷりつけるのがおすすめです。

佐藤:紫外線が肌に良くない、肌を老化させるという事実が広く知られたことで、反対に紫外線が弱くなったら、一気に油断してしまう方が増えています。夏はきちんとケアをしていても、紫外線が強いため、メラニン色素を作り出しやすい状態なので、美白ケアの効果実感がしにくいもの。そこで、紫外線が弱まる秋冬こそ、うるおいをたっぷり与えながら美白ケアを取り入れることが必要ですよ。

大貫:秋から冬に夏の肌疲れを持ち越さず、これ以上シミを作らないようにするためには、うるおい&美白ケアを、先手必勝でスタートすることが大切ですね。


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