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二子玉川から行く:古民家の縁側で

二子玉川からバスで10分。あのにぎわいがウソのようなのどかな景色が待っています。江戸時代の古い民家にさす日差しは暖か。そして小山の上には美術館、昔の家も待っています。

執筆者:妹尾 みえ

二子玉川、通称ニコタマ。玉川高島屋(通称タマタカ)を中心とするショッピングゾーンが広がり、世田谷の中でもマスコミ注目度の高いエリアです。
今日は、そんなニコタマからバスでわずか5分足らずの古民家へ小さな旅に出かけます。
最近では世田谷といえば、世田谷マダムを想像する人もいるようですが、かつて江戸の外だった世田谷は意外にのんびりした所。まだまだ畑もたくさん残っているんですよ。
タカシマヤとは駅をはさんで反対側の駅前ロータリーで、成育医療センター前行きか、美術館行きのバスを待ちましょう。

●ニコタマから20分の囲炉裏端「岡本公園民家園・・・1
●ユーミン縁の燈籠がある神社・・・2
●川沿いの道・急な坂・・・2
●残された邸宅と庭園・・・3
●三菱財閥ゆかりの静嘉堂文庫・・・3

二子玉川園の面影を探して

2009年をめざし、大開発が進められている東口。以前、ここは遊び場への入口でした。いぬたま・ねこたま、ナムコワンダーランド、もっと遡れば、大正11年の二子玉川園(二子児童園)があったのです(駅もそういう名前でした。

閉園は昭和60年ですから、今の40代以上の人たちには、二子玉川園のジェットコースターに乗った思い出のある人もいるでしょう。多摩川で泳いだ、なんていう人もいるはずです。昔話は野暮・・・というのは、若い頃の話。齢を重ねると、昔はこうだった・・・そんな話が、2人の関係をより近しくさせることもあるような気がします。

ひざし暖か。古民家の春



1 0分ほどバスに揺られると「民家園」。岡本公園民家園の入口です。
公園の一画に、まるで昔話の絵本から抜け出たような藁葺き屋根が。区内の瀬田にあった、江戸時代後期の民家と、土蔵が移築されているのです。

「こんにちは」と足を踏み入れると、土間の上にしつらえられた「かまど」から、湯気があがっています。見上げると、黒光りした梁の太くてしっかりしていること。囲炉裏には火が焚かれ、係の方がお茶を入れてくださいました。

冬至から畳一目一目、陽が伸びると言われますが、座敷に差し込む光のまぶしさ、そして暖かさ! カップルで来たなら、肩を並べて腰をおろしてみてください。年をとったら、こうして縁側で並んで日本茶を飲みたいね、そんなセリフを言ったこと、思い出したりしませんか。(もちろん、今からでも十分、間に合いますよね!)

裏に回ると、農具が置いてあり、軒先には藁が干してありました。大きな井戸を少し怖々のぞき、鶏小屋に向かってコッコッコ、もうすぐ春だねぇと話しかけてみたりして。田舎暮らしの経験がなくても、どこか懐かしい気持ちになるのはなぜでしょうか。

庭の畑の青々とした葉っぱは、おおくら大根です。世田谷に伝わる幻の大根。青首大根と違い、硬めで煮くずれしないのが特徴だそうです。白い花のように見えるのは、和紙の原料となる椏(ミツマタ)。まもなく春の訪れを待ちかねたように、黄色い花をつけるはずです。このほか、花壇には、貝母(ばいも)百合、時鳥(ほととぎす)といった調子で、和名で丁寧に札が付けられていました。花には疎いので形状はわからなかったのですが、心の中を明るく彩ってくれるような名前ばかりだなぁと思いました。

民家園では年間を通じ、ひな祭り、五月の節句、お彼岸など、年間を通じ、昔ながらの行事も行われています。公園内ではホタルの飼育も行われているんですよ。
世田谷区にはこのほか、「次太夫堀(じだゆうぼり)公園民家園」(世田谷区喜多見)もあります。二子玉川から成城学園前行きのバスに乗ってもOKなので、民家園めぐりをすることもできます。

●URL:ようこそ民家園へ
●住所:世田谷区岡本2-19-1
●TEL:03-3709-6959

→ 裏山の神社にはユーミン縁の燈籠が。

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