台風4号が日本を直撃した7月の連休、私はちょうど京都を訪れていました。大好きな夏の京都。「アレもしよう、コレもしよう」と、あれこれ計画を立てていたものの、私を待ち受けていたのは暴風雨の渦中にある京都。予定していた物事はすべて中止・延期になってしまいました。でも旅とは元来こういうもの。独り身なので予定変更も気楽なものです。気を取り直して向かった先は、初めて訪れた場所ながらすっかりお気に入りの場所になりました。
京都にはこれまで何十回となく訪れてきましたが、今までその存在を全く知らなかったのです。おそらく首都圏の方々には、あまり知られていない穴場スポットでしょう。本当はあまり人に教えたくないのですがこの際ご紹介しちゃいますね。その名は「アサヒビール大山崎山荘美術館」です。
建築美と収蔵品の数々、そして美しい睡蓮池を鑑賞
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長い坂を登り切ると現れる本館。玄関部分に加賀氏の設計した名残が見られます |
京都駅からJR京都線快速利用で約14分、山崎駅下車。徒歩10分ほどで到着します。少し高台にあるため、坂道をきつく感じる方もいるかもしれません。山崎駅からは無料送迎バスがあるので、こちらを利用するのもいいでしょう。山崎といえば清冽な水が湧き出ずる場所。ウイスキーの醸造所があることでも知られています。
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本館1階の展示室。山荘の名残として暖炉も見受けられます |
天王山の南麓に佇む美術館は本館と新館に分かれ、本館は欧州帰りの実業家・加賀正太郎自らがチューダー様式をもとに山荘として設計したもの。大正時代初期から昭和初期にかけて建てられました。その後、加賀氏の手を離れ、荒廃が激しかったものの、アサヒビールが修復・整備して美術館として生まれ変わりました。
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2階から3階へと続く階段の踊り場。天井にはシャンデリアが灯ります |
建築家・安藤忠雄により本館は修復され、新館「地中の宝石箱」が新設されました。本館は既存の木材や建具などをそのまま利用しており、建築当時の姿が偲ばれます。階段途中のステンドグラス、シャンデリア、手すりの意匠など、洋館としての見どころも充分。館内には安藤氏による設計図も展示されていて必見です。
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庭園にある睡蓮池。睡蓮は朝咲いて閉じてしまうので、見頃は午前中です |
美術館の中庭には睡蓮池があり、夏になると睡蓮が花開き、人々の目を楽しませてくれます。
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睡蓮の見頃は9月初旬までです |
鑑賞の途中、テラスのアーチ型の柱越しに望む睡蓮池。誰もが足を止め、しばらくうっとりと見入っています。まさに、フランスのノルマンディー地方にあるクロード・モネの愛したジヴェルニー庭園を思い起こさせます!
次ページでは、現在開催中の企画展についてご紹介しますね。あのクロード・モネの名作「睡蓮」にも出合えます。詳しくは
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