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庭園や自然もアート!山陰のオススメ美術館(2ページ目)

島根と鳥取の美術館に行ってきました。日本画を中心にした足立美術館と、鳥取出身の植田正治の写真美術館。テイストは異なりますが、いずれも自然を効果的に取り込むという意味では、共通するものを感じました。

塩田 典子

執筆者:塩田 典子

一人旅ガイド


鳥取が生んだ写真界の巨匠・植田正治写真美術館へ

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のどかな風景のなかに突如現れるコンクリート打ちっ放しの建物。時間の経過とともに印象も変わっていきます
もうひとつの美術館は隣の鳥取県にある「植田正治写真美術館」です。足立美術館からは電車を乗り継いで行くことができるので、2ヵ所ハシゴしてみるのもオススメです。JR安来駅からはJR山陰本線とJR伯備線を乗り継ぎ、岸本駅で下車。駅からは歩ける距離ではなく、町営バスも本数が少ないので、タクシーで向かうのがベスト。駅の隣にタクシー会社があり、万が一タクシーが待っていなくても、タクシー会社に電話すればまもなく迎えにきてくれます。4月下旬~11月中旬には米子駅からアクセスできる「大山るーぷバス」が運行するので、こちらを利用するのもいいでしょう。


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モノクロ作品が整然と並ぶ展示室。ほぼ3ヶ月ごとにテーマを変えた展覧会が開催されている
こちらは鳥取県境港市出身の写真家・植田正治の写真美術館。生地を離れることなく、山陰の空や地平線、砂丘を背景に、被写体をまるでオブジェのごとく配した緻密な演出の利いた作品は、フランスでもUEDA-CHO(植田調)として紹介されています。世界的にも注目されていた植田正治の70年近くに及ぶ活動の軌跡を見ることができます。昭和初期の作品でさえ、古さを感じさせることなく、斬新さをもって見る者に迫ってきます。山陰の美しい風景も、作品を魅力的に見せるエッセンスのひとつになっているといえるでしょう。

来年1/21まで「UEDA-CHO:写真するよろこびの軌跡」展を開催中。初期から晩年にかけての70年に撮影された代表作を一堂に集めたもの。常に新しさを追い求めてきた姿勢を作品に垣間見ることができます。


秀峰大山を写真作品のように楽しむ

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効果的に配された窓からは、四季折々に表情を変える大山と周囲の風景が望めます
美術館の魅力は写真作品だけではありません。目の前に立ちはだかる大山を望む絶景スポットが、館内のあちこちに用意されています。大山は伯耆富士の異名をもつ日本百名山のひとつ。手前に水面を配し、逆さ大山を望める場所も。私が訪れた時期は手前の田園が黄色く色づき、その向こうに広がる木々の紅葉、そしてうっすらと雪を抱いた大山の三段紅葉が望めました。

作品を鑑賞するうちにいつしか夕暮れどきに。帰るころには空が薄いラベンダー色に変わり、美術館の建物は幻想的な雰囲気に包まれていました。


自然さえも作品のひとつにしてしまう山陰のアートスポット、いかがでしたか? 電車の本数が少ないので、うまく乗り継ぐことが何よりも大切。予め時刻表で調べてから訪れることをおすすめします。地方の美術館には東京の美術館にはない魅力がたくさんあるのだと、改めて実感した旅となりました。

植田正治写真美術館
・住所:鳥取県西伯郡伯耆町須村353-3
・地図:Yahoo!地図情報
・TEL:0859-39-8000
・営業時間:9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
・定休日:火曜(祝日の場合は翌日)、12/29~1/1
・入館料:大人800円
・交通(電車):JR伯備線岸本駅からタクシーで約5分
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