介護や病気、失業など、さまざまな事情から住民税非課税世帯となる人がいます。実際の暮らしはどのようなものなのでしょうか。All Aboutが実施している「住民税非課税世帯のお金と暮らし」に関するアンケートから、2026年3月25日に回答のあった、中部地方在住、54歳男性の状況を見ていきます。
投稿者プロフィール

ペンネーム:信州のケン
年齢・性別:54歳・男性
同居家族構成:本人、母(82歳)
居住地域:中部地方
雇用形態:パート・アルバイト
世帯の月の収入:本人の労働収入5万円、母親の年金9万円
現預金:320万円
リスク資産:40万円
「母に認知症の兆候が現れたのを機に50歳で早期退職」
住民税非課税世帯となったきっかけについて、「1人暮らしをしていた母に認知症の兆候が現れたことが転機」だと語った信州のケンさん。「当時は専門商社で課長職を務めていましたが、兄弟がいないため、50歳を機に早期退職して実家へ戻りました。現在は母のデイケアの時間や、夜間の寝静まった時間帯にできる短時間の仕事を選んでおり、以前のようなフルタイム勤務は物理的に不可能な状況」だと言います。
ひと月当たりの収入は、「自身のパート代5万円、母が受給する遺族年金と老齢年金9万円の、合計月14万円」。一方、支出は「固定資産税など住居費の月割1万円、食費3万5000円、光熱費2万5000円、通信費5000円、医療・介護費用2万5000円、交通費1万円、日用品代とその他費用1万5000円で、合計12万5000円」ほど。毎月の収支は「少しだけ黒字」ではあるものの、余裕はない様子です。
現在の暮らしの中で「特に負担が大きい」と感じているのは、「冬場の光熱費、具体的には灯油代と電気代。併せて母の介護関連の支出です。また地方なので車がないと生活できず、ガソリン代や車検費用も大きな負担です。自分自身の将来のための蓄えを切り崩しながら生活している感覚があり、急な出費があると非常に焦ります」とのこと。
こうした状況の中では「家庭菜園で野菜を自給自足し、食費を浮かせています。また、以前着用していたスーツなどは全て処分し、普段着は、リサイクルショップやワークマンなどで安価で丈夫なものを選ぶようにしています。趣味だったゴルフや飲み歩きも一切やめ、今は母と静かに過ごすことを優先しています」と、工夫しながら日々を送っている様子です。
「納税者として社会を支えてきた人間が、事情があってこの枠組みに助けられている」
住民税非課税世帯になったことで、住民税が非課税となるだけでなく、「高額療養費の上限が下がったこと、給付金・支援制度を受けたこと」も大きな支えになっているそう。
「母が急病で入院した際、高額療養費制度の自己負担上限額が低く設定されていたおかげで、家計が破綻せずに済みました。もし現役時代の区分のままだったら、退職金を一気に使い果たしていたかもしれません。非課税世帯向けの給付金は、物価高騰が続く中での灯油代に消えてしまいますが、あるのとないのとでは安心感が全く違います」と、制度に支えられている様子がうかがえます。
住民税非課税世帯について、「世間では『働けるのにサボっている』とか『国からお金をもらって楽をしている』という見方をされることもありますが、実態として『働きたくても介護等の事情で働けない』ケースも多いです。私のように、かつては納税者として社会を支えてきた人間が、事情があってこの枠組みに助けられているという現実を知ってほしい」と信州のケンさん。
「都内で働いていた頃は、給与明細を見るたびに税金や保険料の高さにため息をついていました。今は逆に、引かれるものが少ない代わりに、公共サービスや制度のありがたみを肌で感じています。生活水準は下がりましたが、社会のセーフティーネットの中にいるのだという実感を強く持つようになりました」と振り返ります。
最後に、今の暮らしの中で大切にしていることを伺うと、「『足るを知る』精神です。以前のようなぜいたくはできませんが、庭に咲く花を眺めたり、母と穏やかに食事をしたりする時間に、価値を感じるようになりました。お金で買える豊かさよりも、心穏やかに一日を終えられることの大切さを実感しています」と語られていました。
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