国際博覧会(万博)の定義について
「国際博覧会」を名乗ることができるのは、フランス・パリに本部を置く博覧会国際事務局によって承認された、複数の国が参加する博覧会です。万国博覧会(ばんこくはくらんかい)とも呼ばれることから、万博(ばんぱく)という略称で呼ばれます。「EXPO(エクスポ、エキスポ)」は英語での略称です。この「国際博覧会」には登録博覧会(登録博)と認定博覧会(認定博)があります。登録博は、2025年の大阪・関西万博や2005年の愛知万博のような大規模なもの、認定博は1985年のつくば科学博のようにテーマを絞ったものとなります。
2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027、以下、園芸博)は博覧会国際事務局によって承認された認定博です。「万博」を名乗れるため、「次の万博」というキャッチフレーズがついています。
日本での国際園芸博覧会開催は37年ぶり
園芸博の始まりは19世紀に欧州で発展した園芸展示会。1948年に欧州を中心とした民間の園芸関係団体により国際園芸家協会が設立され、1960年にオランダ・ロッテルダムにて初の国際園芸博覧会が開催されました。1990年にアジア初の開催地として日本が選ばれ、大阪で「国際花と緑の博覧会(花の万博)」が開催。日本での開催はそれ以来、37年ぶりとなります。
会場は横浜市の旧上瀬谷通信施設
園芸博の会場となるのは、横浜市の瀬谷区と旭区にまたがる旧上瀬谷通信施設です。2015年に米軍から返還された約242haの広大な土地のうち、約100haが博覧会区域となります。長年にわたり土地利用が制限されてきたことから、農地や緩やかな起伏の草地など豊かな自然環境が広がり、南北に流れる相沢川、和泉川の源流部、谷戸地形などの貴重な自然が残っています。
会場建設費は約417億円となる見込み(2025年3月時点)で国・自治体・民間で3分の1ずつ負担することとなっています。 会場へのアクセスは、最寄り駅(相鉄 瀬谷駅・三ツ境駅、JR 十日市場駅、東急 南町田グランベリーパーク駅)からシャトルバスの運行が計画されています。また、羽田空港や横浜駅などからの直行バスも検討されています。
世界各国から集まった1000万株の花や緑が会場を彩る
大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」でしたが、園芸博のテーマは「幸せを創る明日の風景」です。開催概要には「植物の自然資本財としての多様な価値を再認識し、持続可能な未来と誰もが取り残されない社会の形成に活用するとともに、自然との共生や幸福感を、新たな明日の風景として可視化していくことを目指す」とあります。
パビリオンによる展示がメインの大阪・関西万博と異なり、園芸博は広大な会場の起伏のある地形や川の源流などを活かしたものとなりそうです。
会場はテーマを設定した5つの「Village(ビレッジ)」で構成
会場はテーマを設定した5つの「Village(ビレッジ)」で構成される予定です。・Urban GX Village(アーバンジーエックスビレッジ)……グリーン社会を実現する最新のテクノロジーと出会う場
・Craft Village(クラフトビレッジ)……日本伝統のものづくりが一堂に集まる場
・Kids Village(キッズビレッジ)……子どもたちが自然と世界を楽しく学ぶ場
・SATOYAMA Village(サトヤマビレッジ)……自然と人が共存する心地よい暮らしを再発見する場
・Farm&Food Village(ファームアンドフードビレッジ)……「農」と「食」を通じたウェルビーイングの追求できる場
世界各国から最高峰の庭園や花々が集結し、会場には1000万株の花や緑が広がります。さらに40種類600本の桜が会場を彩ります。
このほか、三菱グループは「自然と人、社会との共生」を考える展示、NTT東日本は「産業・自然・文化」が調和し、幸せがめぐる“Well-beingな社会“を体験できる展示を計画しています。
2025年11月時点では、次の出展(内定者)が発表されています。
■ Village出展<内定者>(五十音順)
NTT東日本株式会社
株式会社大林組
鹿島建設株式会社
株式会社KTグループ
清水建設株式会社
住友林業株式会社
相鉄ホールディングス株式会社
大和ハウスグループ
竹中グループ
東急グループ
東邦レオ株式会社
三菱国際園芸博覧会総合委員会
■ テーマ営業出店<内定者>(五十音順)
JAグループ
株式会社丸兆
明治グループ
山崎製パン株式会社
大阪・関西万博の「大屋根リング」が60mのタワーに!?
園芸博では大阪・関西万博のレガシーが生かされます。鹿島が木造タワー「(仮称)KAJIMA TREE」の資材として大阪・関西万博の大屋根リングで使用された木材を再利用。「Urban GX Village」内の3000平方メートルの敷地に、高さ約60mのタワーを出展します。
先端技術により新たな命を吹き込まれ、「未来の都市づくりに向けた新たな風景」のシンボルとして、会場のランドマークとなる予定です。
東邦レオはパナソニックグループのパビリオン「ノモの国」で使われたフレームや設備を利用し、「STUDIO」として再生させることが発表されています。
公式マスコットキャラクターはトゥンクトゥンク
大阪・関西万博では公式キャラクターのミャクミャクが大人気となりました。園芸博の公式マスコットキャラクターはトゥンクトゥンクです。
はるか宇宙のかなたから、地球に憧れてやってきた、好奇心いっぱいの精霊です。名前は人といろんな命が共鳴して、つながっている状態を表しています。
このマスコットを通して、人間が万物への想像力や調和の心を取り戻すことの大切さが広がってほしい、という思いを込めて「トゥンクトゥンク」と名付けられました。
横濱ハーバーでおなじみの「ありあけ」は開催500日前の2025年11月4日に、2025年大阪・関西万博と、園芸博の公式ライセンス商品である「ミャクミャク トゥンクトゥンク 横濱ハーバーダブルマロン」(5個入、税込1188円)を発売しました。パッケージにはミャクミャクとトゥンクトゥンクが描かれています。
また、「サンリオ」とのコラボも発表され、今後、いろいろなシーンで「トゥンクトゥンク」を見かけることとなるでしょう。
ボランティアの募集もスタート
2025年11月17日からは「花・緑ガイドボランティア」の募集がスタート。魅力ある会場づくりのため、来場者への案内や花壇のメンテナンスなどのサポートをするボランティアとなります。募集期間は2025年12月22日まで。くわしくは、「GREEN×EXPO 2027 ボランティア」のページをご覧ください。
今後、植物管理ボランティア、運営ボランティアの募集も2026年1月ごろから開始するとのことです。
大阪・関西万博は、終盤にかけて大きな盛り上がりを見せました。園芸博はスタートから盛り上がることを期待します。
公式Webサイト:https://expo2027yokohama.or.jp/















