資産運用

香港のプライベートバンカーに聞いた!富裕層が海外で資産を増やす理由

プライベートバンクとは、富裕層に特化したサービスを提供する金融機関のこと。唐沢寿明さん主演のテレビドラマ「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)が話題になったことで興味を持った方も多いようです。もともとは、スイスの富裕層向けの個人銀行として発展したプライベートバンクですが、現在では国内の金融機関でもサービスを提供しています。今回は、香港に拠点を置き、主に日本人の富裕層向けにサービスを提供している「ウェルズグローバルアセットマネジメント」に取材しました。※サムネイル画像:PIXTA

All About 編集部

お金持ちの間で「プライベートバンク」の活用が増えている?(画像:PIXTA)

お金持ちの間で「プライベートバンク」の活用が増えている?(画像:PIXTA)

昨今、一部のお金持ちの間で「プライベートバンク」の活用が増えているようです。プライベートバンクとは、富裕層に特化したサービスを提供する金融機関のこと。

唐沢寿明さん主演のテレビドラマ「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)が話題になったことでプライベートバンクに興味を持った方も多いようです。もともとは、スイスの富裕層向けの個人銀行として発展したプライベートバンクですが、現在では国内の金融機関でもサービスを提供しています。

今回は、香港に拠点を置き、主に日本人の富裕層向けにサービスを提供している「ウェルズグローバルアセットマネジメント」に取材しました。

情報が出てきにくい海外プライベートバンク

プライベートバンクは、富裕層向けに特化したサービスを提供する金融機関のこと。資産運用や相続・事業承継、節税アドバイス、海外資産の運用や管理など、お金に関する相談に乗ってくれる「お金のかかりつけ医」のような存在です。代表的なところでは、スイスのUBSや米国のJPモルガンといった金融機関のプライベートバンク部門が有名です。ここでは、顧客ごとに担当のプライベートバンカーがつき、富裕層のさまざまなお金の相談に乗ってくれます。

香港に拠点を置く「ウェルズグローバルアセットマネジメント」は、主に日本人の富裕層向けにサービスを提供するプライベートバンク。CEO(最高経営責任者)の長谷川建一さんは、国内外の大手金融機関でプライベートバンカーとして活躍し、これまでに数千人の富裕層の相談に乗ってきました。

「今でこそ、プライベートバンクという言葉が浸透してきましたが、そのサービスや実態を把握している人はそれほど多くないのではないでしょうか。海外には、世界中の富裕層が活用するプライベートバンクがいくつもありますが、実は日本人のプライベートバンカーが圧倒的に少ないというのが実情です。

そのため、海外のプライベートバンクに連絡を取るには、一定の英語力が必要になります。さらに、日本居住者向けの営業活動は、金融商品取引法の制限があるため、禁止されています。そのため、海外のプライベートバンクについての情報は少なく、その実態は、いまだにベールに包まれているのです」(長谷川さん)

海外マーケットには魅力的な金融商品がいっぱい

今では、日本国内の金融機関もプライベートバンクサービスを提供していますが、海外のプライベートバンクとどのような違いがあるのでしょうか?

「まず、預け入れる資産の規模が異なります。日本国内のプライベートバンクですと、1億円以上の資産が最低預入金額となっているようですが、海外では10ミリオン(1000万ドル/約15億円)程度が一般的です。アジア系のプライベートバンクでも日本円で5億円くらいは必要になっています。昨今のインフレもあり、運用のバーが世界的に引き上がっているようです。

運用するアセット(資産)の幅も海外のほうが国内に比べて圧倒的に広いというメリットがあります。さらに、運用する資産を担保としてレバレッジがかけられるなど、投資家によっては、効率のよい運用を目指すこともできます。また、信用格付けの違いから、ソフトバンクグループや楽天グループといった日本企業の社債も海外市場のほうが高い利回りで取引されることもありますので、同じ社債でも有利に運用することができるのです」(長谷川さん)

長谷川氏がCEOを務めるウェルズグローバルアセットマネジメントは、富裕層に特化した金融資産運用・証券投資サービスの提供を行うプライベートバンク(香港証券先物委員会からライセンスを取得)。株式や債券、ファンド(投資信託)、ヘッジファンド、オルタナティブ投資などを扱っています。

マーケットが軟調な時も収益を狙うヘッジファンド

富裕層に人気のある投資商品とはどういったものなのでしょうか?

「富裕層の方々に特に人気があるのはヘッジファンドです。われわれは、20社程度のヘッジファンドと提携しており、投資家のニーズに合わせてチョイスすることができます。最近ですと、年率30%程度のリターンをたたき出しているヘッジファンドもあります。

このところ世界的に株式市場が上昇トレンドにありますので、30%というリターンでも驚かないという方もいるかもしれませんが、リスクの取り方が異なることに注目すべきです。ヘッジファンドはリスクを回避しながらリターンを求める運用手法。例えば、株式市場が下落している局面でも積極的に収益を追求していきます。一般的な株式投資とは異なり、買って上がるのを待つわけではありません。

富裕層にとって大切なのは、資産を守りながら安定してお金を増やすこと。例えば、毎年8%程度のリターンでも、コンスタントに複利運用し続ければ、9年間で資産を2倍にすることができるのです。株式ロングポジションの運用では、9年の間、安定したリターンを得ることは難しく、先行きは見通せません。株式と異なり、ヘッジファンドは、相場が下げトレンドに入っても、ある程度のリターンが期待できる金融商品です」(長谷川さん)

昨今では、外国為替市場の円安やインフレの高止まりで、日本円の価値は目減りしていく一方です。ある程度の資産があるのであれば、プライベートバンクなどを活用して海外資産への投資を検討してみてはいかがでしょうか。

教えてくれたのは……
長谷川建一さん

Wells Global Asset Management CEO(最高経営責任者)
国際金融ストラテジスト(在香港)

京都大学法学部卒業。シティバンク東京およびニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。2004年末に東京三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)に移籍し、リテール部門のマーケティング責任者、2009年からはアジアでウェルスマネジメント事業を率いて、2010年には香港で同事業を立ち上げた。現在は独立して、Wells Global Asset Managementを設立し、富裕層向けのサービスを提供している。

取材・文:三枝裕介(さえぐさゆうすけ)
個人投資家向けマネー雑誌『MONEY JAPAN』(現KADOKAWA)で副編集長、書籍編集長などを経て、独立。2011年には、財務省の広報誌『ファイナンス』で1年間特集記事を担当した。2018年、休刊していた『ネットマネー』(産経新聞出版)を株式会社ZUUにて復刊、編集長を務める。2020年にマネーライターに転身し、現在に至る。
 
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