Q:夫が60歳以降も再雇用で働き続ければ、専業主婦の妻の国民年金は満額(480カ月)まで自動的にカウントされますか?
「私は現在58歳の会社員で、妻は55歳の専業主婦です。60歳で定年を迎えた後も、学生時代に未納にした年金分を補うため、再雇用で65歳まで働く予定です。私が60歳以降も厚生年金に加入して働き続ければ、妻の国民年金は満額(480カ月)まで自動的に加入期間としてカウントされるのでしょうか?」(定年が不安なサラリーマンさん)
夫が再雇用で65歳まで働く予定です(画像:PIXTA)
A:妻は60歳になるまでは第3号被保険者としてカウントされますが、60歳以降は自動的に増えません。満額に届かない場合は「任意加入」で補えます
専業主婦の妻は、夫が厚生年金に加入している間、国民年金の第3号被保険者として国民年金保険料を払わずに保険料納付済み期間としてカウントされます。しかし、この第3号被保険者の資格は妻が60歳になった時点で終了します。国民年金の老齢基礎年金を満額もらうには、20歳から60歳まで(40年=480カ月)の40年間の加入が必要です。妻が現在55歳であれば、夫が60歳以降も厚生年金に加入している間は妻が60歳になるまで第3号被保険者としてカウントされますが、それ以降は自動的には延びません。
例えば妻に過去に国民年金保険料の未納が2年分ある場合でも、夫が60歳から65歳まで厚生年金に加入して働けば、妻が57~60歳の3年間が第3号被保険者としてカウントされるので、その時点で老齢基礎年金の満額(480カ月)に届きます。しかし、もし国民年金保険料の未納が3年や4年などさらに多い場合は、60歳を過ぎた後の期間は自動的にカウントされません。
妻が60歳以降も国民年金の加入期間を増やしたい場合は、60~65歳の間に「任意加入制度」を使って自分で国民年金保険料を納められます。
ただし、妻が厚生年金に加入してしまうと任意加入はできません。任意加入で支払った保険料分は老齢基礎年金の受給額を増やせますが、保険料負担が大きく、増える年金額を取り戻すまでに時間がかかる場合もあります。
どのくらい増えるかは、年金事務所で試算を受けてから判断すると安心です。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)