Q:昭和39年3月生まれの61歳女性。今すぐ特別支給の老齢厚生年金を受け取ったほうがよいのでしょうか?
「昭和39年3月生まれの61歳女性です。パートで月10万円ほどの収入があります。特別支給の老齢厚生年金は今から請求したほうがよいのか、65歳を過ぎてからのほうがよいのか迷っています。『年金は今しかもらえない』と聞いたこともあり不安です」(ばにばにさん)
特別支給の老齢厚生は今すぐ受け取ったほうがいい?(画像:PIXTA)
A:今はまだ特別支給の老齢厚生を受け取れません。昭和39年3月生まれの女性は、63歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れます
特別支給の老齢厚生年金とは、老齢年金の支給開始年齢が65歳に引き上げられる過程で設けられた経過措置の年金です。厚生年金に1年以上加入し、生年月日や性別などの要件を満たす人は、65歳になる前から受け取れます。昭和39年(1964年)3月生まれの女性は、法律で63歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れると定められています。
現在61歳のばにばにさんは、まだ受給開始年齢に達していないため、今すぐは請求できません。
65歳になると、特別支給の老齢厚生年金は終了し、代わって老齢基礎年金と老齢厚生年金(本来の年金)が支給されるようになります。
なお、特別支給の老齢厚生年金には繰り下げ制度がありません。63歳以降に請求を遅らせることはできません。受給権発生日から5年を過ぎると時効で受け取れなくなってしまうので注意が必要です。
63歳の誕生日の約3カ月前に日本年金機構から「年金請求書(緑の封筒)」が届きます。届いたら速やかに請求手続きを行いましょう。65歳の誕生日の約10日前には、老齢基礎年金と老齢厚生年金の請求案内が届きます。
60歳以降に厚生年金に加入しながら働く場合、給与などと老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の報酬比例部分の月額の合計が一定額を超えると減額される「在職老齢年金制度」があります。令和7年度からは月51万円を超えると年金が一部または全額停止されます。
ばにばにさんのように月収が10万円程度の場合、例え特別支給の老齢厚生年金を20万円程度受け取っても合計は30万円前後にとどまります。この合計額であれば51万円を下回るため、在職老齢年金制度による支給停止の心配はほとんどありません。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)