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『ちいかわ タロット』が大ヒット! 人気占い師・阿雅佐さんが語るキャラクター本作りの“裏側”

数々のキャラクターコラボ本を手掛けている占い師・阿雅佐さんにインタビュー。細部にまでこだわって生み出される作品は、なぜファンに愛され続けるのか? その秘密を伺いました。※写真:阿雅佐さん提供

All About 編集部

人気占い師・阿雅佐さんにキャラクター本作りの裏側をお聞きしました ※写真:阿雅佐さん提供

人気占い師・阿雅佐さんにキャラクター本作りの裏側をお聞きしました ※写真:阿雅佐さん提供

「ちいかわ」「すみっコぐらし」「おそ松さん」など、人気キャラクターとコラボした占い・心理テスト本を数多く手掛けている阿雅佐さん。

ファンを裏切らない作品づくりの裏側には、キャラクターへの深い愛情とリスペクトがあるのだそう。ご自身も「推し活」を楽しむ一人だからこそ語れる制作のこだわりについて、語っていただきました。

キャラクターコラボ本を手掛ける上で大事にしていること

これまでに阿雅佐さんが手掛けた書籍の一部。『ちいかわ タロット 22枚のオリジナルカード付き』(講談社/画像左上)は大ヒット! ※画像:All About編集部

これまでに阿雅佐さんが手掛けた書籍の一部。『ちいかわ タロット 22枚のオリジナルカード付き』(講談社/画像左上)は大ヒット! ※写真:All About編集部

──人気キャラクターとコラボレーションした占いや心理テスト本を制作する上で、大事にしていることは何でしょうか?

阿雅佐さん(以下、阿雅佐):一番大切にしているのは、まず私自身がそのキャラクターのファンになることです。好きにならないと見えてこない部分は絶対にあると思っていて。ファンの方が本を読んで、「この作者、ちゃんと分かってる!」と思っていただくためには、私自身がキャラクターの世界観を細部まで理解している必要があります。

なので、執筆前には原作を何度も読み返しますし、映像作品があれば隅々まで見るようにしています。キャラクターの性格や口癖、ちょっとしたしぐさはもちろん、ファンの間で暗黙の了解になっているような「ニュアンス」まですくい取れるのが一番の理想ですね。

例えば「こういうシーンなら、このキャラクターは絶対こんな反応するだろう」という「キャラクターらしさ」は、公式情報として明言されていなくても、ファンの皆さんの頭の中にはあるはずです。それを占いや心理テストの設問の中に自然に落とし込んだほうが、より読み応えのあるものになると思います。

「推し活」が、創作活動の活力に

──阿雅佐さんご自身も、「推し活」を楽しまれていると伺いました。

阿雅佐:はい。私自身もアニメや漫画、歌舞伎が大好きで、時間を見つけては推し活をしています。忙しくても「今日はこの公演があるから頑張ろう」と思えますし、原稿の締め切りに追われているときでも、推しを眺めているだけで不思議と力が湧いてくるんです。

だからこそ、私が手掛ける作品も、ファンの方にとっての活力になればと思っています。自分も一人のファンだからこそ、もしも推しのコンテンツで「なんだか雑だな」「キャラを理解していないな」と感じたら絶対にがっかりするはず。その思いがあるからこそ「私の作品では絶対にファンをがっかりさせないぞ」という気持ちで取り組めるんです。

やっぱり、キャラクターへのリスペクトがすべての出発点にはありますね。単に占いや心理テストの結果とキャラクターのイラストを並べればいいのではなく、そのキャラクターだからこそ成立する言葉やリアクションを入れる。そうやって初めて「このキャラの本だ」と感じてもらえるんだと思います。

──実際の制作では、どのように作り込みをしているのでしょう?

阿雅佐:例えば、心理テストは何百パターンも考えられますが、その中で「これはキャラクターらしいかどうか」を1つひとつ吟味していくようにしています。例えば「ちいかわ」なら、かわいらしさの中にも独特の世界観があるので、その空気感を崩さないようにすることがすごく大事です。

原稿が一度できても、「やっぱりこれは違うな」と感じたらゼロから書き直すこともあります。効率だけを見たら大変ですが、納得できるクオリティーに仕上げるには、遠回りも必要なプロセスだと思っています。

ファンの方がくすっと笑える小ネタを挟んだり、「あ、これはあのキャラっぽい」と思える一言をちょっと差し込んだり、そういう細部の積み重ねが、作品全体の完成度を決めると思っています。

また、「占い」や「心理テスト」というテーマは同じでも、大人向けと子ども向けでは表現の仕方が変わります。大人が対象読者の場合は、恋愛や仕事の要素を多めに盛り込んでみたり、子ども向けだと友達や家族との関係といった身近なテーマを中心にしたりします。

あとは、言葉遣いも大切ですね。小さなお子さんも目を通すものなので、誰かを傷つける内容であってはならないですし、特に気にかけています。

生みの苦しみも含めて、ものづくりは楽しい

──長く活躍されているからこそ、「生みの苦しみ」を感じることもあるのではないでしょうか?

阿雅佐:そうですね。特に心理テストの場合、「いかに面白い設定を思いつくか」というのも重要です。これまでものすごい数を作ってきているので、似たりよったりにならないように少しずつ切り口を変えていかないといけません。とはいえ、あまりにもニッチなテーマだと、編集さんに「もっと普通に作ってほしい」と言われてしまうし、生みの苦しみは常にありますね。

執筆しながら「これは前もやったような気がする」と思ったら、思い切ってボツにすることもあります。作っている最中は大変ですし、苦しいと思うことも正直ありますが、新しい表現や言葉が出てきた喜びも何ものにも代えがたいです。「生みの苦しみ」もひっくるめて、ものづくりは楽しいなと思います。

──今後の活動の展望を教えてください。

阿雅佐:ありがたいことに、『ちいかわ タロット 22枚のオリジナルカード付き』(講談社)はブームと重なったこともあり、たくさんの反響をいただきました。『ちいかわ』シリーズ1作目の『ちいかわ心理テスト』からテレビで取り上げていただいたり、番組に出演させていただいたり、ご縁が広がったことに本当に感謝しています。 占いというと、一昔前は「結婚」「お金」など、分かりやすい切り口が求められていましたが、今は少し物語性のある、抽象的なテーマも受け入れられるようになりました。「今の時代」だからこそ響く言葉があると思うので、その中で喜んでいただける作品を作り続けていきたいですね。

>>「迷いには“2種類”あると思っています」人気占い師・阿雅佐さんが語る「選択に迷ったときの考え方」

【お話を聞いた人:阿雅佐
西洋占星術師/フォーチュンナビゲーター。テレビ、雑誌・書籍、Web、アニメ・ゲーム、メディアイベント、CMなど1万以上の占い&心理テストを作成。西洋占星術、四柱推命、夢占い、タロットカードなど、古今東西の占いに精通する。今までに鑑定した人数はのべ1万人以上。『ちいかわタロット 22枚のオリジナルカード付き』(講談社)など、著書約40冊。一部海外でも翻訳出版されている。

X(旧Twitter):https://x.com/agatchy
Instagram:https://www.instagram.com/fortunenavigatoragatha/

【取材/文:奥山 はるか】
編集者・ライター。出版社で女性誌編集者として勤務したのち、フリーランスとして独立。女性向けのジャンルを中心に多数の記事を手掛け、占いや開運をテーマにした雑誌制作にも長年携わる。分かりやすい切り口で、幸運のヒントになる記事を執筆。
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