Q:60歳以降もパートとして働けるようです。厚生年金保険料は自分で支払うのですか?
「うちの会社は、60歳以降もパートとして働けるようです。厚生年金保険料は自分で払うんでしょうか?」(50代・会社員)
60歳以降パートになったら、厚生年金保険料は払う?(画像:PIXTA)
A:勤務先で厚生年金の加入要件を満たしていれば、60歳以降も厚生年金に加入し厚生年金保険料を支払うことになります
厚生年金保険料を支払うというのは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入するということです。社会保険に加入する必要があるのは、次のような働き方をしている従業員です。- 正社員
- 正社員でなくても、1カ月の所定労働日数・労働時間が正社員の4分の3以上の従業員
- パート労働者で、以下の①~⑤の要件を全て満たす人
②週の所定労働時間が20時間以上
③月収8万8000円(年収106万円)以上
④雇用期間が2カ月を超えて使用されることが見込まれる
⑤学生でない
※従業員数51人以下の会社でも、労使合意があれば加入可能です。
したがって、相談者が60歳以降にパートとして働く際に上記条件を満たせば、社会保険に加入し、健康保険料や厚生年金保険料を支払うことになります。
今後の制度改正にも注意を
ただし今後の制度改正についても注意が必要です。2025年6月に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律」が公布されました。<参考>令和7年度年金制度改正法が6月20日に公布されました。
この改正のポイントは以下の3つ。
①週20時間以上働くパート労働者は、企業規模にかかわらず加入対象となる
②月額賃金8万8000円以上という要件が廃止される
③個人事業所については、従来の「法定17業種※」に限らず、常時5人以上を雇用する全ての業種が適用対象になる
※法定17業種:製造業、建設業、鉱業、電気業、運送業、貨物積卸業、清掃業、販売業、金融・保険業、保管・賃貸業、媒介周旋業、集金業、教育・研究業、医療業、通信・報道業、社会福祉事業、弁護士・税理士・社労士などの士業。
今回の改正により、企業規模の要件が公布日(※2025年6月)から10年をかけて段階的に縮小・撤廃され、賃金要件が法律の公布日から3年以内に撤廃されることで、労働時間だけが短時間労働者の被用者保険の加入要件になります。
つまり、現時点で要件に当てはまらなくても、将来的に制度改正により社会保険の加入対象となる可能性があるのです。社会保険に加入すると、保険料の負担は増えますが、傷病手当金を受けられたり、将来もらえる老齢厚生年金が増額したりすることになります。
毎月の保険料負担が生活を圧迫しない範囲であれば、加入によるメリットは大きいので、前向きに検討するとよいでしょう。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)