Q:1958年4月生まれの女性で年金を受給中。2024年10月から厚生年金に加入していますが、受け取れる年金は増えるのでしょうか?
「1958年4月生まれの女性です。これまで国民年金を全額免除で納めており、すでに年金を受給中です。2024年10月から厚生年金に加入しています。この場合、受け取れる年金は増えるのでしょうか?」(フラワーさん)
65歳以降に厚生年金に加入したら、年金は増える?(画像:PIXTA)
A:65歳以降、厚生年金に加入して働いた期間の年金が上乗せされます
老齢年金は「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の二階建ての仕組みになっています。まず、老齢基礎年金(国民年金)は、20歳から60歳までの40年間にわたり保険料を納めることで満額を受け取れます。未納や免除期間がなければ、老齢基礎年金の満額83万1700円(令和7年度)が支給されます。相談者は全額免除の申請をしていたため、加入期間としてはカウントされますが、免除期間は年金額には反映されません。
老齢厚生年金は、会社員や公務員としての加入期間と、加入時の「標準報酬月額」や「標準賞与額」に基づく平均標準報酬額によって計算されます。相談者は2024年10月から厚生年金に加入しているため、その加入実績に応じた老齢厚生年金が新たに加算されます。すでに年金を受給していても、65歳以降に新たに厚生年金に加入した期間は「在職定時改定」によって毎年10月に反映され、年金額は増えていきます。
相談者の場合、2024年10月~2025年8月分の加入実績が2025年10月に反映され、同年12月支給分から年金が増額されます。
この改定は在職中であっても毎年行われるため、加入が続けば年金は少しずつ増えていきます。
■増額される年金額の目安
増額分は厚生年金の加入月数と給与水準により決まります。計算式は次のとおりです。
標準報酬月額×加入月数×0.005481
例:標準報酬月額15万円で3年間(36カ月)加入した場合
15万円×36カ月×0.005481≒年額約2万9600円の増額
→年間で約2万9600円、月当たり約2470円程度が上乗せされます。
ただし「在職老齢年金制度」にも注意が必要です。給与など(総報酬月額相当額)と老齢厚生年金の報酬比例部分の月額の合計が月51万円(2025年度の場合。2026年度は62万円)を超えると、老齢厚生年金が支給停止される仕組みです。働き方や収入の水準によって影響が出るため、確認しておくことをおすすめします。詳細は最寄りの年金事務所で確認するのが安心ですよ。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)