奈良美智さんの「Peace Head」も! 展示作品60点超
神戸市の北に位置する六甲山は、標高931メートル。六甲ケーブルで登ることができ、登山やピクニックなどのアウトドアが楽しめるほか、「1000万ドルの夜景」と評される山上からの市街地や港の夜景も有名です。市街地より5度ほど涼しく、夏は避暑地としても知られます。「神戸六甲ミーツ・アート 2025 beyond」は、六甲山の自然とアートが楽しめる芸術祭。夏は緑があふれる空間で、10月半ばから約1カ月は紅葉も見ごろを迎えます。2025年は63作品が、山内の「風の教会エリア」「ミュージアムエリア(ROKKO森の音ミュージアム・新池・六甲高山植物園)」「みよし観音エリア」など9エリアにそれぞれ展示され、徒歩やバス、車などで巡ることができます。

奈良美智さんの作品「Peace Head」は世界中に5体あるうちの1つ
作品名の由来は、うしろに点で刻まれた「PEACE」の文字とピースマーク。奈良さんが造形した手跡の残る粘土を拡大した作品には、平和や平穏、安らかな心などの願いが込められています。神戸市が大きな被害を受けた阪神淡路大震災から30年、また、世界で絶え間なく起こる対立や災害にどう向き合うべきかを考えさせられる作品です。
絶景のロケーションで「写真映え」する作品をピックアップ
神戸六甲ミーツ・アートは、自然豊かな山中に作品が展示されています。そんなロケーションの中には、写真映えする「絶景スポット」も点在しています。
「六甲の浮き橋とテラス Extend 沈下橋2025」は2023年の初展示から年々変化する
当初はテラスと浮き橋のみでしたが、昨年(2024年)には水中に沈んだ橋が加わり、今年は沈下橋がさらに延長されてテラスを取り囲むような形になりました。誰でも渡ることができる橋は、イベントの中でも特に映えるスポットの1つです。

建築家・遠山之寛さんの作品「(semi)sphere」は晴れると絶景になる
特に晴れた日中は、空、森、池、そして球体それぞれの色が美しさを際立たせます。球体がこの空間に溶け込み、人と自然が調和する様子が垣間見えます。

六甲山随一の絶景スポットに展示されている作品「山の精霊たち」
「山の精霊たち」は、愛知県のアトリエを拠点とする彫刻家・白水ロコさんが手掛けた作品。ペガサス、青い鹿、白い鹿の3体がそれぞれ展示され、目の前に広がる絶景と共に多様な生き物と人間が混じり合った造形美は必見です。
森の中にじいちゃんの頭!? 非日常空間のアート鑑賞
また、「作品との距離の近さ」も、神戸六甲ミーツ・アートの魅力のひとつです。作品との間に柵や仕切りがなく、間近でアートをじっくり鑑賞できます。
「じいちゃんの鼻の穴に宇宙があった。」は毎年展示が変わることで知られる
毎年展示場所が変わるうえ、今年は森の中で横たわっているのも特徴です。鼻の穴の中をのぞくと「何か」が見えるとのこと。一緒に写真を撮れば、インパクト抜群です。

「シラス、山に昇る」は光と風で、山そして海を身体で体感する展示

水中写真家による俳優・木村文乃さんがモデルの作品もある
六甲山という「山」と「海」の情景、そして「人」がシームレスに重なり合い、共生の難しさやはかなさ、永遠と刹那(せつな)の間で揺らめく美しさなどが表現された作品。森の中を散策しつつ、静かな空間でじっくり鑑賞するのがおすすめです。
天気が悪い日も楽しめる! 屋内展示もレベル高い
展示作品は野外に加え、屋内もあります。天気があまりよくない日でも、屋内展示を楽しむことができます。
六甲スカイヴィラの迎賓館だった建物は現在、六甲山芸術センターとなっている

大阪が拠点のアーティスト、イケミチコさんの作品はとてもエネルギッシュ
どの部屋も、イケミチコさんによる「生きること」への強いメッセージとエネルギーが感じられる空間です。特に、21世紀初めに作者自身が生み出した「未来人間ホワイトマン」には、人種、性別、貧富の差、宗教の違い、戦争など、あらゆる格差や悲劇からの解放を願う人々のピュアな姿が表現されており、独特の世界観が体感できます。

「神戸ワーラー」を手掛けたアーティストのナウィン・ラワンチャイクンさん(左)と作品
ワーラーとは、ヒンディー語で「~する人」という意味。インド人、ネパール人、ベトナム人、そして日本人など多くの人々が作品に登場し、六甲山のある神戸が昔から国際都市であり、今もの伝統が続いていることが、鮮やかな色彩のアートで表現されています。

お笑いコンビ「天竺鼠」の川原克己さんが手掛けるアート作品
今回は、六甲ガーデンテラスエリアで、「展」という作品を通じて絵画やグッズなどを展示しています。活動ジャンルの幅広さが伝わるこれらの作品は、どれも見ごたえ十分です。
アート鑑賞後は限定コラボグルメ!「六甲山」の名物も
六甲山は、実は「グルメ」の宝庫でもあります。山内のレストランやカフェをはじめ、山上からの絶景とともに味わうジンギスカンなどが名物です。
「山小屋カフェ エーデルワイス」の期間限定メニュー「百日鶏のてりやきのっけごはん」
100日間肥育された兵庫県産の「播州百日鶏」を使った照り焼きチキンはごはんとの相性も抜群で、生卵やシーザーサラダとともに味わえます。森の中にある心地よいテラス席もおすすめです。

「六甲ビューパレス」の「厚切りさんだポークかつ重」はボリュームたっぷり
そのほか、神戸牛のボロネーゼパスタや、神戸のご当地グルメ「ぼっかけ」「そばめし」をサンドしたパン、標高760メートルの養蜂場で採取された生はちみつ使用したレモネードなども楽しめます。アート鑑賞とあわせて、限定グルメやスイーツも味わってみてはいかがでしょうか。

「神戸六甲ミーツ・アート 2025 beyond」では奈良美智さんはじめ国内外で活躍するアーティスト60組以上の作品を展示する
■神戸六甲ミーツ・アート 2025 beyond
開催期間:2025年8月23日(土)~11月30日(日) ※六甲サイレンスリゾートは8~10月の毎週月曜(月曜祝日の場合は翌火曜)および11月4日(火)は休業
開場時間:10時~17時 ※会場により一部異なる
料金:【WEB割】大人(中学生以上):昼夜パス3900円、昼パス 2900円、夜パス1850円 【山上窓口】大人/小人(4歳~小学生):昼夜パス4000円/1700円、昼パス3000円/1200円、夜パス1900円/950円
公式Webサイト:https://rokkomeetsart.jp/