年金・老後のお金クリニック

64歳から繰り上げ受給すれば、年金額が減るので「年金生活者支援給付金」の対象になりますか?

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、年金生活者支援給付金についての質問です。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。※サムネイル画像出典:PIXTA

All About 編集部

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。今回は、年金生活者支援給付金についての質問です。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

Q:64歳から繰り上げ受給すれば、年金額が減るので「年金生活者支援給付金」の対象になりますか?

「『年金生活者支援給付金』についての相談です。現在63歳で、特別支給の老齢厚生年金を受給しています。65歳から本格的に年金(老齢基礎年金など)を受給したいと考えていますが、年金生活者支援給付金の『年金収入が年間88万9300円以下』という条件を、1万円ほど超えてしまいそうです。そのため、支給対象から外れてしまうのではないかと心配しています。

そこで、受給開始を65歳ではなく64歳に1年繰り上げた場合、年金生活者支援給付金の支給対象になり、年間で約6万5000円ほど得になるのではないか?と考えています。このような場合、64歳から繰り上げ受給したほうがよいのか、また他によりよい方法があるのか、ご助言をいただけますと幸いです」(ふぅさん)
繰り上げすれば年金生活者支援給付金はもらえる?(画像出典:PIXTA)

繰り上げすれば年金生活者支援給付金はもらえる?(画像出典:PIXTA)

A:繰り上げ受給によって収入要件を満たせば、65歳以降に年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性はあります。ただし、繰り上げによる年金の減額の影響も考慮しましょう

年金生活者支援給付金とは、公的年金等の収入や、年金以外の所得が一定の基準額以下の人に対し、老齢基礎年金に上乗せして支給されるものです。消費税引き上げ分が活用されており、生活支援を目的とした制度です。

年金生活者支援給付金の支給要件は、以下の3点です。

①65歳以上の老齢基礎年金の受給者
②同一世帯の全員が市町村民税非課税
③前年の公的年金等の収入と、その他の所得の合計額が88万9300円以下

※昭和31年4月1日以前生まれの方は88万7700円以下
※障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません
※上記の要件を満たさない場合でも、年金収入等の合計が「78万9300円超~88万9300円以下(昭和31年4月2日以降生まれ)」または「78万7700円超~88万7700円以下(昭和31年4月1日以前生まれ)」であれば、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される可能性があります。

相談者の方は、③の収入要件を約1万円超えてしまうことで、給付金の支給対象外になる可能性が高いと心配されています。そこで、繰り上げ受給によって年金額を抑え、収入要件をクリアしようとお考えなのですね。

老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則65歳から受給開始となりますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間で繰り上げて受給することが可能です。これを「繰り上げ受給」と言います。

ただし、繰り上げた分だけ受給開始が早まる代わりに、年金額が生涯にわたって減額される点には注意が必要です。減額率は、1カ月繰り上げするごとに0.4%(昭和37年4月1日以前生まれの方の減額率は0.5%)で、例えば64歳から受給する場合は12カ月前倒しになるため、4.8%の減額となります。

確かに、繰り上げ受給によって年金収入が88万9300円以下(または88万7700円以下)となる場合は、65歳以降に年金生活者支援給付金が支給される可能性があります。例えば、年金保険料に未納期間や免除期間がない場合は、年間で令和7年度で6万5400円の支援給付金を受け取れます。

ただし、給付金は制度の変更が行われる可能性もあり、将来的に制度の条件や金額が変わる可能性もあります。

ご自身の収入見込みや年金見込額によって、給付金の支給対象になるかどうか、また繰り上げ受給による影響がどの程度かは異なります。年金事務所などで収入見込みや年金見込額を確認し、総合的に比較を行うといいでしょう。

※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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