Q:65歳で定年退職。来月から老齢年金をもらいますが、パート勤務が決まりました。月15万円程度の収入がありますが、厚生年金は入らなくていいの?
「今月65歳で定年退職しました。来月から老齢年金をもらいますが、来月からパート勤務が決まりました。月15万円程度の収入がありますが、厚生年金は入らなくていいのですか? また老齢年金は減額されますか?」(エミわかさん)
年金をもらいながらパートで働いたら厚生年金には加入するの?(画像出典:PIXTA)
A:厚生年金の被保険者数が51人以上の事業所で一定の条件のもとで働くパート労働者は厚生年金の加入義務があります。4つの要件を満たせば加入することになります
厚生年金とは、会社員や、一定の条件を満たして働くパート・アルバイトなどが加入する公的年金制度です。厚生年金の被保険者数が51人以上の事業所(特定適用事業所)で一定の条件のもとで働くパート・アルバイトは厚生年金に加入する義務があります。労使での合意があれば、50人以下の事業所でも適用されます。
パート・アルバイトが厚生年金に加入する要件とは、以下の全てに当てはまった場合です。
【1】週の所定労働時間が20時間以上であること
【2】雇用期間が2カ月以上、見込まれること
【3】賃金の月額が8万8000円以上であること
【4】学生でないこと
質問者「エミわか」さんは、現在65歳で月額が15万円の給与収入があるパートで働くとのこと。【3】と【4】の要件は満たしていますから、【1】週の所定労働時間が20時間以上で【2】雇用期間が2カ月以上見込まれるのであれば厚生年金に加入することになります。パート先の総務部などに確認してみるといいでしょう。
さらに、エミわかさんは65歳から老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)を受給した場合、厚生年金に加入して月額15万円の給与収入があると、老齢年金が減額されるかどうかが気になっているようです。
60歳以上の人が、厚生年金に加入しつつ給与収入を得て、かつ老齢厚生年金をもらっている場合、老齢厚生年金の基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分を12で割ったもの)と、総報酬月額相当額(月収などのこと※)を合算した金額が、支給停止基準額である51万円(令和7年)を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となることがあります(在職老齢年金制度)。
※総報酬月額相当額とは、毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額。
エミわかさんが厚生年金に加入して働き、月額15万円の収入があるとした場合に、年金が支給停止にならない老齢厚生年金の基本月額を計算してみます。
支給停止基準額51万円-月収15万円=36万円
エミわかさんの老齢厚生年金の基本月額(老齢厚生年金の報酬比例部分を12で割ったもの)の受給額が月額36万円を超えなければ、老齢厚生年金はカットされないことになります。また、老齢基礎年金は在職老齢年金制度の対象ではありませんので、全額受給できます。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)