Q:2025年4月に64歳になります。老齢厚生年金を来年請求するか、今請求するかで、65歳になってからの受け取り金額に差がありますか?
「私は自営業の男性。27年間、国民年金を納めて、その後、厚生年金を5年納めてます。2025年4月に64歳になります。老齢厚生年金を来年請求するか、今請求するかで、65歳になってからの受け取り金額に差がありますか、教えてください」(オヤジさん)
今請求するのと来年請求するのとでは年金額が違う?
A:昭和36年4月2日以降生まれの場合、今請求すると来年請求する場合に比べて、老齢厚生年金が減額されてしまうことになり、同時に老齢基礎年金も減額されます
老齢年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)は原則として65歳からもらえますが、生まれ年や性別などの要件を満たすと60代前半で特別支給の老齢厚生年金をもらえます。男性の場合は、昭和36年4月1日生まれまでの人が要件を満たすことで特別支給の老齢厚生年金を受給できます。オヤジさんは、2025年4月で64歳になられるとのことですので、昭和36年4月生まれかと思います。昭和36年4月1月生まれか、4月2日以降の生まれかで、「特別支給の老齢厚生年金」をもらえるかどうかが異なります。
オヤジさんが、昭和36年4月1日生まれの場合、厚生年金に5年間加入していますから、今、年金の請求をすれば64歳から65歳になるまで「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れます。65歳になると「特別支給の老齢厚生年金」は支給停止になり、本来支給の老齢厚生年金と、老齢基礎年金が支給されます。もしオヤジさんが、今、特別支給の老齢厚生年金を請求せずに、来年65歳になってから年金を請求すると、受け取っていない「特別支給の老齢厚生年金」は一括でもらえ、さらに65歳からもらえる「老齢厚生年金」が受け取れます。
特別支給の老齢厚生年金は65歳から受け取れる老齢厚生年金(報酬比例部分)と同額となります。昭和36年4月1日生まれの場合、今請求しても来年請求しても老齢厚生年金の受取額に差はありません。
オヤジさんが、もし昭和36年4月2日以降生まれの場合は、64歳から特別支給の老齢厚生年金はもらえません。来年、年金の請求をして65歳から年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)を受け取ることになります。
それでも64歳の今、老齢厚生年金を受給したい場合は年金を繰上げ受給することになります。繰上げ受給をすると、繰り上げした月数に応じて、ひと月当たり0.4%減額されてしまい、減額率は一生涯変わりません。また、繰上げ受給は老齢基礎年金と老齢厚生年金を両方繰り上げすることになります。片方のみの繰上げ受給はできませんし、繰上げの取り消しはできません。他にも繰上げ受給には多くのデメリットがあります。
昭和36年4月2日以降生まれの場合、今請求すると、来年65歳になってから請求する場合と比べて老齢厚生年金が減額されてしまうことになります。老齢基礎年金も同時に減額されます。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)