Q:妻が扶養に入っていると、夫が将来もらえる年金受給額は変わる?
「50代の専業主婦です。パートで仕事をしようと思っております。そこで質問したいことがあります。妻が扶養範囲内で働いている場合と妻が扶養範囲外で働く場合は、夫が将来もらう老齢年金受給額や夫が亡くなった時に受け取る遺族年金受給額は変わるのでしょうか? 遺族年金はいくらになるのでしょうか?」(夫は60歳会社員、妻50代、子どもは成人しています)妻を扶養しているかどうかで、夫の年金受給額は変わるの?
A:妻を扶養しているかどうかで、夫の年金受給額や夫が亡くなった時の遺族年金受給額が変わることはありません
相談者は扶養に入ることができるとのことですので、配偶者(夫)は、厚生年金加入者と思います。厚生年金に加入していた人は、老齢基礎年金に上乗せして、老齢厚生年金を受給できます。また、亡くなると、亡くなった時点で生計を維持されていた遺族には遺族年金が支給されます。老齢基礎年金の受給額は、保険料納付済期間、合算対象期間、保険料免除期間によって計算され、老齢厚生年金の受給額は、現役世代の給与(標準報酬月額)と、厚生年金の加入期間によって計算されます。妻を扶養しているかどうかは年金額に関係ありません。遺族年金についても、夫が死亡時に、妻を扶養に入れているかどうかで受給額が変わることはありません。
相談者が受け取れる遺族年金についてですが、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
遺族基礎年金を受け取れる人は、死亡した人によって生計を維持されていた18歳になった年度の3月31日までの子、障害等級1級または2級の障害の状態にある20歳未満の子がいる配偶者と、その子が受け取れます。相談者のお子さんは成人しているとのことなので、遺族基礎年金は受給できないということになります。
しかし相談者の夫は、厚生年金の加入者だったので、生計を維持されていた相談者は遺族厚生年金を受け取れます。遺族厚生年金の受給額は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分(現役世代の収入と加入期間で計算される部分)の3/4となります。
なお、相談者が過去に厚生年金の加入期間がある場合は、65歳から自分の老齢厚生年金を受け取ることになり、夫の遺族厚生年金が、相談者の老齢厚生年金額より多い場合には、その差額を受け取ることになります。
また、夫が亡くなった時、相談者が40歳以上65歳未満であれば、40歳から65歳になるまでの間、中高齢寡婦加算として61万2000円(令和6年度の年額)が遺族厚生年金に加算されることを知っておきましょう。
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監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)