男のこだわりグッズ

よりかろやか、でも確かに「ジェットストリーム」 発売から18年、油性ボールペンの革命児が新たな進化(3ページ目)

発売から18年、今や低粘度油性ボールペンのスタンダードになった三菱鉛筆の「ジェットストリーム」。そのジェットストリームに新しいインク「ジェットストリーム ライトタッチインク」が登場。これまでの歴史と新製品の威力について、開発スタッフに聞きました。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

ジェットストリームらしい「軽さ」の追求

ライトタッチインクリフィル

リフィルは、従来のものと互換性があるので、ジェットストリーム シングル(税込132円)は既存品のジェットストリーム スタンダードに、多色多機能タイプ(税込132円)も従来の「ジェットストリーム多機能ペン 4&1」の軸に入れることができる

「今回のインクは、何よりまず『ジェットストリームらしい書き心地を失わずに、どれだけかろやかにできるか』という点を大事にして開発しました。

極端な話をすると、ただ粘度が低いものを作るというのは、実はそんなに難しくないんです。それは最初のジェットストリームのインク開発時からの考え方で、最初の『クセになる、なめらかな書き味』というキャッチフレーズに表れている思想なんです。

ただシャバシャバした粘度が低いだけのインクを作ろうと思ったら、それはそれでできたと思います。しかし、やはり独自の筆記感を感じられるものにしたいという考えはあり、その書き味に向けて試作も重ねてきました。同じように、今回のライトタッチインクを考えるにあたっても、ジェットストリームらしいかろやかさとは何か、というのを追求しました」と百田さん。

とにかく、社内でも筆記具マニアと言えるスタッフにたくさん書いてもらい、また、ユーザーにもテストに参加してもらいながら、『ジェットストリームだけれど軽い』という書き心地を目指したといいます。

面白いのは、試し書きを行っているスタッフと百田さんがコミュニケーションを取っていく中で、「これであればジェットストリームの選択肢としてお客様に提示して勝負ができる」と感じるポイントが不思議と一致したことです。

人間なので感覚を共有することはできません。言葉で共通認識を作っていても、それは感覚にまでは届きません。それでいて、「ここ」というポイントは一致するというのが、とても面白いと思いました。

「ここがジェットストリームらしさのポイントだなというところが一致したんです。錯覚かもしれませんが、『これがジェットストリームだ』という部分については、不思議と一致するんです」と百田さん。

長く、ジェットストリームというブランドに関わっているからこそ感じられる「ジェットストリームらしさ」についての共通認識があるというのは、もしかしたら、無意識に私たちユーザーにもあるのかも知れません。

だからこそ、今回、筆者が「ライトタッチインク」を搭載した「ジェットストリーム シングル」を初めて使ったとき、確かにかろやかになっているけれど、これはこれで正しく「ジェットストリーム」だと思ったのでしょう。このあたりは錯覚や気のせいを含めて、言葉にはできない、指先の感覚や記憶の領域での話なのかもしれません。
 

水性ともゲルとも違う、低粘度油性ならではの書き味とは

筆記例

書いてみると、油性ボールペンっぽいなめらかさを感じつつも、従来のタイプよりさらに筆圧がいらなくなっていると感じた。右手の中指が腱鞘炎で痛い筆者でも、スムーズにクッキリした文字が書けるのがありがたかった

筆者が書いてみた感じでは、従来のジェットストリームと比べて、なめらかさは変わらずに、弱い筆圧でもキレイにインクが紙に乗るという印象です。それは書き味が「かろやか」とも表現できると思いました。

水性ボールペンのような、サラサラした書き味ではなく、ゲルインクボールペンに近いと言えば近いのですが、もう少しヌルリとした感触が微(かす)かに指に伝わります。

もしかすると、この感じが「ジェットストリームらしさ」なのかもしれません。油性ボールペンであるという主張をしながら、スイスイと書き続けられる感触とでも言いましょうか。

このあたりの感覚は、言葉にするとかえって分かりにくくなるような気がします。確かなのは、水性ボールペンやゲルインクボールペンとは違う形で、なめらかで軽いということです。

また、筆圧を強めにすると、感触はかなり従来のジェットストリームの書き味に近づきます。個人的には、「ライトタッチインク」の軽さが、とても指先に心地いいのですが、より「筆記感」を求める人には、従来のタイプが良さそうです。

三菱鉛筆としても、あくまでスタンダードは従来のジェットストリームで、そのもう1つの選択肢としての「ライトタッチインク」という位置づけのようです。

「日常で使えるボールペンという意味では、既存品のスタンダードも新しく発売したシングルも同じです。ただ、アップグレードではないと言っても、ベーシックな製品がある上での新しい製品というところでの価格付けもありますし、実際、筆記具としてはいろいろと変えて、新しくしています。

思想的に言えば、すごく普通に使っていただきたいペンなんです。何も特別なことはないような顔をしていて、誰もが見たことのあるペンだなと思って違和感なく使っていただけるように作っています。使っていくうちに、これしかないと思ってもらえるような、それくらいのこだわりやアイデアを込めるというのが、このシングルタイプに関してはコンセプトになっています」と百田さん。

>次ページ:インクと機能とデザインが融合して生まれる未来のスタンダード
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