男のこだわりグッズ

「新サラサ」は細くて軽い3色ペン! 握って驚くスリムさの秘密は“常識破り”のスプリング位置にある

ゼブラの「サラサクリップ」は、ゲルインクボールペンの定番として累計10億本を超えた大ヒット商品です。その書き味や使い勝手はそのままに、よりスリムになった3色ペンが「サラサクリップ3C」です。その秘密をゼブラの開発担当者に聞いてきました。

納富 廉邦

執筆者:納富 廉邦

男のこだわりグッズガイド

サラサクリップ3C集合写真

ゼブラ「サラサクリップ3C」各440円(税込)。右上からボール径0.5mmで軸色が透明、紺、白、黒、ボール径0.4mmのモスグリーン、赤、ミストブルー、黒。替芯は、0.5mmがJK-0.5、0.4がJK-0.4mm(税込各66円)

ゼブラの「サラサクリップ3C」は、「サラサクリップ」と同じインクを使った黒、赤、青の3色ボールペンです。サラサシリーズにはすでに「サラサ3」という3色ボールペンがあり、そのリニューアル版とも言える製品になります。その最大の違いは、軸の直径が約1mm短くなり、重さが約1g軽くなったこと。
サラサ3とサラサクリップ3C太さ比較

上が今回発売の「サラサクリップ3C」、下が従来の「サラサ3」。太さの違いがわかるだろうか

こう書くと、ほとんど変わっていないように思われるかも知れませんが、もともとが細くて軽い製品ですから、数値自体の変化は小さいのですが、例えば、軸は約8%スリムになり、重さは約7%の軽量化に成功しています。そう聞くと、結構大きな変化であるということが分かっていただけるのではないでしょうか。

サラサクリップ3Cがすごいのは、これまでの多色ペンに使われていたリフィル(替芯)をそのまま使いながら、このスリム化を実現していることです。

今は、細軸の多色ペンもいろいろあるのですが、多くは金属製の4Cと呼ばれる規格の細いリフィルが使われています。しかしそうではなく、価格も安く、インク量も多い、一般的なペンで使われているリフィルで、この細さを実現したことが、このペンの決定的に新しい部分なのです。
 

筆記距離とスリムさを両立させるための新しい構造

従来品と同じリフィル使用

上が「サラサクリップ3C」、下が「サラサ3」。同じリフィルが使われているが、軸径は明らかに細くなっている

「とにかく、サラサの多色ペンの軸を細くしたいというのが企画のスタートでした。とはいえ、4Cなどの細いリフィルを使えば軸径は細くはなるのですが、それだと筆記距離がかなり短くなってしまいます。また、リフィルも高価になります。ゲルインクの宿命でもあるのですが、『インクがすぐになくなる』と言われることもあるので、現状よりインクを減らす方向には行きたくなかったんです」と、「サラサクリップ3C」の開発を担当したゼブラ株式会社研究本部の水鳥元嵩さん。

つまり、従来のリフィルを使いながら、いかに細くするかというのが、この製品の開発の課題だったということです。そしてその裏には、2023年に発売20周年を迎え、累計10億本を売り上げたサラサという人気ブランドの中にあるものの、“多色ペン”については、あまりユーザーへ浸透していないという状況がありました。

実際、「サラサクリップ」という製品のイメージが強く、定番のゲルインクボールペンとして、すっかり定着している分、他の製品に目が届きにくくなっているというところはあるかもしれません。実際、筆者もサラサの多色ペンは使っていませんでした。
従来の方式とサイドスプリング方式の違い

従来の方式(左)と新しいサイドスプリング方式(右)の違い

「もともとサラサの多色ペンは軸がやや太かったのですが、それでも、3本のリフィルが1本の軸の中に入っていて、それぞれのリフィルにスプリングが巻き付いていますから、それぞれのリフィルを近づけると、スプリング同士が干渉して誤動作の原因になってしまいます。そもそも、スプリングがリフィルに巻き付いているということ自体が、細くすることを邪魔しているわけです。

ですから、これ以上細くするためには、従来の方法では無理だということは分かっていました。それでも、いろいろな方法を検討していく中で、ついに『サイドスプリング』という方式にたどり着きました」と、もう1人の開発担当者、ゼブラ株式会社研究本部の佐野葵さん。

>次ページ:スリム化を実現した「サイドスプリング」機構の秘密
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