年収300万円の場合、1カ月あたりの手取りの目安は「約20万円」
工夫してほしいポイントを説明する前に、年収300万円の人は1カ月どれくらいで生活していかなければいけないのでしょうか。まず1カ月の手取りを算出してみたいと思います。年収300万円を12カ月で割ると、1カ月分の総支給額は25万円です。この金額から、健康保険(※)や厚生年金などの社会保険、所得税・住民税などを控除すると手取りが計算できます。
●年収300万円の1カ月あたりの手取り例(東京都の40歳未満の単身世帯の場合)
図表より、年収300万円であれば、1カ月当たりの支給額は25万円、手取りは約20万円となります。年間の控除される社会保険料や税金は約64万円、総支給に対する割合は約80%となり、手取りの年収は約236万円になります。
※健康保険は東京都の協会けんぽ
1カ月あたりの手取り「約20万円」での生活を工夫するポイントとは
年収300万円の1カ月あたりの手取り約20万円とわかったところで、「手取り20万円」でやりくりするためのポイントや、貯金をはじめとする項目にいくらずつ振り分けるかの目安を解説していきます。今回は、貯金、家賃以外の支出の相場は、総務省統計局が実施している2022(令和4)年の「家計調査(家計収支編)」の単身世帯の場合の平均値を参考にします。
●貯金
貯金は、住居費の有・無で、毎月どのくらいの貯金ができるか目安が異なります。たとえば、家賃や住宅ローンがある場合は、手取りの1~2割となる2万~4万円を目指しましょう。実家暮らしや社宅のように、住居費があまりかからない場合は、手取りの4~5割となる8万~10万円を目標にしましょう。
貯金を確実なものにするため、給料が振り込まれたらすぐに貯金分を振り分け、残ったお金で生活する「先取り貯蓄」という仕組みを取り入れましょう。
●家賃(共益費や管理費を含む)
家賃は共益費や管理費も含めて考えましょう。手取り額の2~3割ほどとなる4万~6万円以内を目安にするとよいでしょう。
●食費
単身世帯における1カ月の食費の平均は3万7694円、そのうち外食費は5123円です。目安の参考にした「家計調査」のデータでは、コロナ禍の影響もあり、外食費は5000円ほどに抑えられています。今後も、このくらいを維持するようにするとよいでしょう。
しかし、最近は食品の値上がりが続いています。自炊を心掛けたとしても、お酒や清涼飲料水、ハム・ソーセージなどの加工食品、冷凍食品、調味料、お菓子など幅広い食品が値上がりしています。そのため、なんとなく買い物をしていると、いつもと同じなのに、1~2割は予算オーバーになってしまうでしょう。そうならないためには、予算、買い物方法を細かくルール化することをおすすめします。
たとえば、買い物は週に1~2回。その際、冷蔵庫をチェックして不足しているものや必要なものをリストにしておきましょう。買い物は、リストに載っているものだけと決めれば、スーパーで衝動買いすることがありません。
また、お菓子やジュースなどの嗜好品は、1カ月3000~4000円以内と予算を設定しましょう。主食はパンや麺類の価格よりも、お米の価格が安定しています。旬の野菜は栄養価が高く、安いものが多いです。季節ごとの彩を楽しみながら、節約レシピで自炊を楽しみましょう。
●水道光熱費
単身世帯における1カ月の光熱費の平均は、電気代が7382円、ガス代が3702円、上下水道料が2439円、それ以外が1123円となり、合計額は1万4646円になります。
電気代・ガス代が高騰しており、以前と比べると負担が増えているケースがほとんどです。減らすことが難しい場合は、少なくとも現状維持を心掛けましょう。
家電は、使っていなくてもコンセントに電源プラグを挿したままだと、メモリや時計、モニターなどの液晶表示などで待機電力がかかります。待機電力は微量かもしれませんが、使わない家電の電源プラグをコンセントから抜くだけでできる節約できます。
資源エネルギー庁によると、待機電力が多いのは、ガス温水器、テレビ、冷暖房兼用エアコン、電話機、BD・HDD・DVDレコーダーなどです。これらの家電のうち、シーズンオフ、長期間留守にするときなど、電源プラグを抜いても構わないものは極力抜くようにしましょう。
ただし、テレビやBD・HDD・DVDレコーダーの電源プラグを抜いてしまうと、録画予約などは使えなくなるため、注意が必要です。
●交通費
単身世帯における1カ月の交通費の平均は1万2106円です。内訳を見ると、自動車関係費、維持費が約9000円あり、75%を占めています。
自動車はとても便利ですが、あるだけで、駐車場代、タイヤ代、車検代、保険料、ガソリン代など、いろんな費用がかかります。自動車が生活する上で欠かせない場合は仕方がないですが、1カ月のうち、利用するのが1週間ぐらいと利用頻度が少ない場合は、レンタカーを利用すると、大きく負担を減らせます。
●教養娯楽費
単身世帯における1カ月の教養娯楽費の平均は1万6442円です。内訳では教養娯楽サービスが6166円となっています。
たとえば、デジタルコンテンツの継続課金、レジャーでの支出などでなんとなくの支出が膨れている可能性があります。推しや、好きなことにはつい財布が緩みますが、2~3カ月だけやめてみると「特に必要なかった……」となる場合があります。メリハリをつけましょう。
●交際費
交際費は、友人とのランチや飲み会などにかかる費用です。単身世帯の1カ月の交際費の平均は1万6513円です。
人とのお付き合いは、人生を豊かにする要素です。しかし、お付き合いそのものを漫然としていると、お金と時間をムダに消費します。1カ月あたりの予算は、1万円以内にとどめるなど予算を決めましょう。そうすることで、優先順位がつき、ムダなお付き合いが減ります。
●その他消費支出
その他消費支出は、身の回りの用品、美容品などにまつわる細々した費用です。単身世帯の1カ月のその他消費支出の平均は3万1524円です。
ドラックストアなどをよく利用する場合、なんとなく膨らみがちな項目です。生活に欠かせない、トイレットペーパーや洗剤、歯ブラシなどの細々したものを、「安いから、まとめて買っておこう」「どうせ使うものだから、買っておこう」などと、まとめて買い、ストックしておかないようにしましょう。どんなものも、今、使う分があれば困りません。必要になったときに調達するようにしましょう。
細かな支出は、コレといった目的のないものに、使っていることがあります。1週間に1回ぐらいは、買ったものをチェックして、余計なものを買わない習慣にしましょう。