身長を伸ばす方法は?「栄養・睡眠・運動」は成長の三本柱
成長のためには体の成長に必要な栄養素の摂取が欠かせません。しかし、成長に必要なものは栄養だけではありません。健全な生活こそが健全な成長に大切です。
よく食べて、よく眠り、よく運動する。
これが何よりも大切です。
とはいえ一言で「栄養バランスの良い食事」と言われても、具体的にはなかなかイメージしにくいかもしれません。「成長を促すための栄養バランスが良い食事」は、「質と量がちょうどよい食事」とも言い換えられそうです。以下で、詳しく解説します。
身長を伸ばす食事……「質と量がちょうどよい食事」の考え方
まず、食事の質について考えてみましょう。「質がよい食事」と聞くと、食材の鮮度の良さや無農薬などのこだわりがある食事をイメージされるかもしれませんが、健康的な成長を促す食事の質とは、さまざまな種類の栄養素が含まれていることを指します。栄養素の種類が多ければ多いほうが良いので、食材の数が多いほうが栄養素の種類も増えると言えます。そう考えると、ラーメン、どんぶり物、というような単品料理よりも、定食スタイルのほうが食材の数が増やせそうですね。食材の数を増やす際の注意点としては、米やパン、肉類など、子どもが好みやすい食材だけで数を稼いではいけないということ。野菜や果物などもしっかり加えて、栄養素が体内でエネルギー源や、体を作る成分としても利用されやすいように工夫しましょう。
食事の量については、育ち盛りの子には、食べられるだけたくさん食べさせた方がよいと考えてしまう方もいるかもしれません。しかし成長期とはいえ、際限なくいくらでも食べた方がよいというわけではありません。食べすぎは子どもであれ健康を損なう小児肥満の原因になることもあります。
逆に、量が足りなければ、健全な成長ができません。その子どもの体格や食欲にみあった「適量」を食べさせることが大切です。
「背を伸ばすためにたくさん食べる」は間違い? 食事の適量とは
大人の場合、食事の適量を考え方はシンプルです。身体的には成長期が終了していますので、体の大きさや体重も一定で、変わらないと仮定して考えることができます。そのため成人の場合は、「体重を減らさず増やさず、一定に保つ量の栄養素を補給できる量」が食事の適量です。一方で、これから身長が伸びる子どもの場合は、成長するための栄養素が追加で必要になります。健康的に成長するための栄養素は、性別や年齢などを指標として考えます。
目安として便利なのが、「成長曲線」と呼ばれるグラフです。成長曲線は、性別・年齢別に身長や体重がどのくらいになるかの目安を示したものです。このことをお話しすると、「ウチの子どもは、成長曲線から外れている」と心配する保護者の方も散見されますが、成長は個々人によって大きく異なります。成長曲線からの逸脱が著しい場合には医師に相談する必要があるときもありますが、少しくらい逸脱している程度であれば問題ないことがほとんどです。
このように、成長曲線の年齢区分はあくまで目安ですが、身長と体重のバランスがよいかどうかを確認するには良い指標になります。身長と体重がそれぞれ記載されていますので、調べるのが少し面倒ではありますが、まず、子どもの今の身長がグラフで何歳にあたるかを調べ、調べた年齢の時に体重が何キロであれば平均的であるのか、といった見方をして、食べる分量を考える目安にするのがよいでしょう。「どのような体形の子も、成長期なら身長を伸ばすためにたくさん食べた方がよい」というものではありません。肥満を防ぎながら成長を最大限に促すことが大切です。
小児期の「成長」は保護者にとって、重要な関心事のひとつだと思いますが、子ども本人に無理をさせない範囲で、おいしく食べさせながら、成長を見守っていただけたらと思います。
■参考
- 成長評価用チャート・体格指数計算ファイル ダウンロードサイト(日本小児内分泌学会)