二穴パンチの小型化は難しい
二穴パンチは、頻繁に使うならともかく、たまに使うくらいだと、その大きさがちょっと邪魔になる文房具の一つです。とはいえ、現在でも最も多く使われているファイリング方法は二穴のバインダーですから、手元に無いと困る道具ではあります。そのため、これまでもさまざまな形でコンパクト化が試みられてきました。デザインフィルの「XS コンパクトパンチ」は、その一連のコンパクト化の製品の中で、現在、もっともスマートにコンパクト化に成功した製品だと言えそうです。
ワンアクションで直方体が二穴パンチに変形
デザインフィルの「XSシリーズ」は、コンパクトな文房具をいろいろ出していて、中でも、ホッチキスやハサミは、コンパクト文具の中でも名作と呼んで良い出来だと思っています。しかし、それらと比べても、この「XSコンパクトパンチ」は突出してよくできていると思うのです。何よりまず、そのコンパクトさ。スチール製だということもあり、折りたたんだ状態での見た目は、昔の小型ライターを思わせる手のひらサイズの直方体です。まず、この凹凸のない見事な直方体のフォルムに惹かれます。そして、そこから、ワンアクションで二穴パンチへと変形するのです。 通常、折りたたんでコンパクトになっている文房具は、折りたたむ時、展開する時、何らかのロックを外してから開くというパターンがほとんどなのですが、このパンチは、ただ左右に開くだけで即使える二穴パンチになるのです。
畳む際も、パンチのハンドル部分を押さえながら腕の部分を畳むだけ。このスムーズさと手軽さで、あの、どうしても場所をとる二穴パンチがポケットに入れても邪魔にならないサイズになるのは、ちょっと衝撃的です。
機能的にも妥協せずに小型化を実現
さらに、このパンチは、機能的にも一般的な二穴パンチと同じなのです。二穴パンチは、二つの穴の間の長さが80mm、穴の直径が6mm(どちらも±0.5mm)と決められています。また、紙の同じ位置に穴を開けなければ意味がないので、位置を決める機能も必要です。そういう事情もあって、なかなか小型化が難しい道具なのです。その点を、まず、パンチ部分を開くことで、二つの穴を開ける部分の距離を確保し、金属製にすることで、穴を開けるための強度を出し、さらに、中央部に紙の中心位置に合わせるマーカーを設置。このマーカーに沿って紙をセットすれば、自動的に紙はパンチに対してまっすぐにセットされる仕組みになっているのです。なので、紙の中央をパンチのマーカーに合わせてセットするだけで、正しい位置に二つの穴が開きます。
パンチ部分の強度も十分なので、一度に5枚の紙に穴を開けることができるのです(故障の原因になるので、一度に6枚以上の使用はしないでください)。従来の小型パンチは、この強度が足りなかったり、パンチ自体は一つで、紙を二つ折りにして穴を開けるタイプだったりで、あれば助かるけどちょっと使いにくい、というものが多かったのです。この製品のように、このサイズで普通のパンチとして使えるものはほとんどなかったのです。 このサイズなら、引き出しの中どころかペンケースに入れておくことさえ可能ですから、とりあえず持っておいても邪魔になりません。そして、この変形ギミックの楽しさは、小学生の頃の文房具へのあこがれを思い出させるものがあります。なんだか、持っているだけで楽しいのです。つい、ガチャガチャと意味もなく開いたり畳んだりしてしまうほどです。なんというか、畳んだ時のサイズ感が絶妙なのです。価格も税込で1056円と手ごろなので、ぜひ、手元に置いてみてください。