画期的発明だった1977年の大ヒット商品「シャーボ」
ゼブラの「シャーボ」は発売当時画期的だった、一本でボールペンとシャープペンシルの二役をこなす筆記具として、1977年に発売されました。当時、赤と青と黒のボールペンが一本にまとまっているといった、いわゆる多色ボールペンはあったのですが、ボールペンとシャープペンシルのような機能が違う筆記具を一本にした多機能ペンは、まだ見当たらなかったこともあり、爆発的な大ヒットとなりました。現在の神楽坂にあるゼブラ本社は、シャーボのヒットで建てたものだともいわれています。今でこそ、多機能ペンは一般的になり、安価で買えるようになりました。TBS『モニタリング』で小泉孝太郎さんと木村佳乃さんにボールペンの名品を紹介した私も、一本で多くのシチュエーションを賄えるので、取材用には三菱鉛筆の「ジェットストリーム4+1」という製品を愛用しています。しかし、シャーボを含む、多機能ペンには大きな欠点がありました。それはシャープペンシルの芯を入れるのが面倒くさいこと。通常のシャープペンシルならば、尻軸のノックボタンを外して、中の消しゴムを引っ張り出せば、その穴に芯を入れるだけです。穴も大きく芯も入れやすいので、そこがストレスになることはありませんでした。
多機能ペンの弱点はシャープペンの芯が入れにくいこと
しかし、多機能ペンの場合、尻軸の穴はシャープペンシルのメカニズムとは繋がっていません。なので、前軸を外して、中にある何本かの芯からシャープペンシルのユニットを探して、それを引っ張って外して、ユニットの小さな穴から芯を入れる、またはノックボタンを押しながら、ペン先から芯を押し入れるしかありませんでした。多機能という構造上、仕方のないことでしたが、かなり面倒だったことは確かです。 ゼブラの新しいシャーボである「シャーボNu」は、ついにその問題を解決しました。なんと、普通のシャープペンシルのように、尻軸から芯を入れることができるのです。多機能ペンが発売されて43年にして、遂に、多機能ペンは、本当に普通のシャープペンシルのようにも、ボールペンのようにも使えるようになりました。それを開発したのが、多機能ペンを流行させたゼブラだというところも、なんだか泣けてしまいます。TPOを選ばない普段使いに最適な「シャーボNu」
元々、シャーボは多機能ペンの中でも高級感がありTPOを選ばずに使える上に、ボールペン機能としても滑らかに書けるエマルジョンインクやゲルインク、油性インクなどから好きなタイプを選べるし、ボール径も0.5から1.0まで幅広く用意されていて、使う人の用途に合わせてフレキシブルにセッティングできるのが魅力。その上、この「シャーボNu」は1980円と買いやすい価格です。ボールペン機能はデフォルトでは黒と赤のボールペンがセットされ、ボール径は0.5mmか0.7mmを選べます。シャープペンシは0.5mm芯のタイプがセットされています。本体を回すと今、どの芯が選ばれているのか分かるインジケーターが、内部の芯によって実現されていたり、尻軸から芯が入れられるようにするメカニズムのおかげで、ペン先の反りが少なくなって筆記が安定したなど、メカニズム的にも面白く、持っているだけで楽しくなります。これだけで「書く」作業はほとんどこなせるので、日々持ち歩く一本として、私は「シャーボNu」を選びました。