そして、それらが私たちの家計にどう影響するのかは、とても気になるところです。そこで今回、今後の経済状況を踏まえ、収入と支出、貯蓄、資産運用の面において、どう対処していけばよいのかを考えてみました。
新型コロナウイルスで今後の家計はどうなる?
収入面:収入減に備えてピンチをチャンスに変える思考を!
フリーランスや自営業、パートの人はすでに影響を受けている人が多いと思います。外食産業や観光業、イベント関係、セミナー講師など、フリーランスや自営業に限らず、多くの関係者が携わることで成り立つ業種は少なくありません。また、中国をはじめとした輸出入の関係で製造業や建設業など、仕事が滞り始めた業種も出てきています。会社員の場合も、今回のことで売上が減れば、まずは夏のボーナスカット、次に減給、リストラ、倒産といったことも想定できるので、油断はできません。
最低限の衣食住といった、生きるうえで必要な生活必需品を扱う業種は、いつの時代もなくなる可能性は低いですが、観光や美容など贅沢品を扱う業種はどうしても景気に影響されがちです。
しかし、どんな状況でも一定の人は旅行するし、美容にもお金をかけます。そのような人にどう喜んでもらえるか?どう役に立つか?とピンチをチャンスに変える発想を持つか否かで、収入面をプラスにすることは可能ではないでしょうか。
今後、新型コロナウイルスの蔓延がいつまで続くのか? そして、オリンピックの有無で日本経済は大きく左右されます。これまでとは全く違う状況になる可能性も少なくありません。まずは、今の混乱期と回復期の3年くらいの収入の目処を立て、難しいようなら思い切った転職や方向転換も考える必要があるでしょう。
支出面:滞納に気をつけよう
まずは贅沢品の購買意欲が下がり、さらに外出が減ることで交通費・レジャー費・交際費が減り、全体的に家計はスリムになるでしょう。反対に自宅にいる時間が増えるため、水道光熱費が増えるのは仕方ありません。教育費は休校分を家庭で補うためのオンライン学習や教材、本などの支出は増えるかもしれません。またその他、支出面では以下のようなことに気をつけ、対策を立てましょう。
■収入減による残高不足に気をつけよう
住宅ローンや車のローン、教育ローン、奨学金返済、クレジットカードの返済といった支払いがある場合、収入減による残高不足にならないように、こまめに通帳の記帳や残高チェックをしておきましょう。
■ローン返済が難しい時は金融機関に相談を
ローン返済は絶対に滞納させてはいけません。滞納させブラックリストに載れば、信用にキズが付き、今後借入れが難しくなります。
住宅ローン・車のローン・教育ローンの返済が難しくなったら、滞納する前に必ず借入先の金融機関に相談しましょう。状況に応じて返済期間の延長など、なんらかの対応策が取れる可能性もあります。
過去の自然災害の時は柔軟に対応しているので、今回も何かしらの措置が取られることは想定できます。奨学金の場合は、日本学生支援機構に連絡して、減額返還・返還期限猶予の手続きをしましょう。
■納税が苦しい時は税務課に相談を
自営業やフリーランスの場合、国民年金・国民健康保険料の負担が、労使折半のうえ源泉徴収される会社員と比べると大きいものです。他にも住民税や固定資産税、自動車税など、6月頃まで次から次へと納付書が送られてきます。
納税は大切ですが、どうしても苦しい場合は役場の納税課に相談し、分納などの手立てを打つようにしましょう。税金も滞納すると、延滞税が付くので注意が必要です。
■優先順位を話し合おう
大幅な収入減の場合、住居費や車、教育費、保険料などの負担を重く感じるようになります。自分と家族にとってそれらの支出がどのくらい大切なのか?その決断が未来にどう影響するのか?を話し合い、優先順位を決めていきましょう。
子どもや家族にはありのままの家計状況を伝え、それぞれができることを考えて歩み寄り、今は苦しくても未来に希望が持てるように決断していけば、家族の絆も家計も強くなります。
貯蓄:緊急予備資金を活用しよう
収入が減った分を貯蓄で補うため、貯蓄が減る家庭は増えるでしょう。貯蓄はもしもの時のためのお金でもあるので、あまり不安にならずに使ってほしいと思います。しかし、あまり目先の貯蓄が減ると不安になるので、支出面を見直し無駄を省き、できるだけ貯蓄を取り崩さずに済む方法も考えていきましょう。
■場合によっては確定拠出年金への拠出も検討を
確定拠出年金は60歳以降にしか使えないお金なので、緊急予備資金にはなりません。万が一、大幅な収入減があり生活費すら賄えない時は、確定拠出年金への拠出は一時的にストップしましょう。収支が安定してきたら再開させてください。
資産運用:勉強の時期! 落ち着いて長期目線で捉えよう
「iDeCo」と「つみたてNISA」がスタートしたのは、日本やアメリカの株価が上昇トレンドの時なので、運用成績も比較的良かったはず。しかし、今後しばらくは下降トレンドになることで運用成績は悪くなるでしょう。しかし、iDeCoやつみたてNISAは、投資信託等を毎月一定額買い付ける「ドルコスト平均法」で運用していくため、投資信託等の価格が下がれば多く買うことができます。これこそが、ドルコスト平均法や長期投資のメリットなので、長期の目線で捉え、続けても生活に影響がなければ積立を続けていきましょう。
■自分なりの経済予測を立ててみよう
今は株価の乱降下が激しい混乱期です。安く買って高く売るといった手法で儲けようと、素人が手を出すと火傷をしますので、マーケットが落ち着くまで様子を見ましょう。このような相場は10年に1度くらいしかありませんので、とても勉強になります。
先のことは誰にも分かりませんので、どんなに偉い経済学者であろうと経済予測は当たりません。大波小波と動く相場で、自分なりに売買しながら利益を出したいならば、偉い経済学者の言うことを鵜呑みにするのではなく、過去の相場を調べ、自分なりの経済予測を立てて売買しなければ、成功も失敗も身に付きません。
今は勉強を兼ねて客観的にマーケットを見ながら、自分なりの経済予測を立ててみるのも面白いのではないでしょうか。
家計に影響がない程度にお金を使うことも「善」
混乱期には精神的にお金を使うことを躊躇してしまいますが、景気に影響されない業種や、反対に儲かる業種もあります。全ての人が収入減になるわけではありません。財布の紐が固くなりがちな時期ですが、日本や世界経済のためにも、家計に影響がない程度に「お金を使う」ことも「善」ではないでしょうか。
家族で力を合わせれば乗り越えられる
このような困難な時期こそ、家族の存在が大切になります。色んな情報に惑わされそうになっても家族に相談し話し合えば、冷静になり客観的に物事を捉えられるようになります。辛い状況になっても家族の癒しや愛情があれば勇気づけられます。家計も家族で力を合わせることで、試練を乗り越えられます。人生で一番大切なものは「家族」です。混乱がいつまで続くかまだわかりませんが、休校やテレワークで得た時間を家族と有意義に使い、今と未来について家族と話し合ってもらえたらと思います。
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