画家だった私の祖母は自宅で絵画教室を営み、画廊で個展を開いたりしていたためか、いただきものが多く、幼い頃から私はその恩恵にあずかっていました。グルメだった祖母の元に届く頂きものはどれもおいしいものばかりでしたが、大人になった今でも忘れられないのが、桜井甘精堂の「純栗かの子」です。
今回は、アラフォーのみなさんが親や祖父母へ贈り物をする際にこの商品が適している理由について、介護の専門家の立場からお話しします。
飲み込みが難しくなったお年寄りにも優しいスイーツ
人は年を重ねると「摂食・嚥下(せっしょく・えんげ)障害」になる可能性が高くなります。摂食・嚥下障害とは、食べ物を認識して「口に運ぶ→噛む→飲み込む」という一連の動作が困難になることです。お正月になると高齢者がお餅を喉に詰まらせる事故が起きたというニュースを目にすることがあるかと思います。この事故の背景には加齢による飲み込みの機能の低下があるのです。ただし、飲み込むの機能が低下しても食の形態を工夫することでスムーズに食べられることがあります。
飲み込みやすい形態としては、「やわらかいもの」「ある程度滑りやすいもの」「まとまりやすいもの」などが挙げられます。プリンやババロアのような形態のものや、とろみのあるものです。ちなみに、我が家では祖母の在宅介護をしていた時、むせることがないよう、クリームシチューや茶碗蒸しなど、献立にも配慮していました。
飲み込みの機能が低下している祖父母に「純栗かの子」がイチオシなのは、「きんとん」の部分。この「きんとん」は栗と砂糖だけで作った栗あんに、栗の粒を練り合わせた贅沢な代物です。ペースト状のため、お年寄りでも簡単に食べられます。
栗本来の味わいと生かすための製法
ちなみに、一般的にお正月に食べる「栗きんとん」は、まわりの餡が芋でできた「芋あん」です。一方、「純栗かの子」は餡も栗でできている、栗尽くしの一品。栗本来の自然のおいしさを生かすことを一番に考え、職人たちが作っています。1892年、桜井甘精堂の5代目桜井佐七氏により創製されました。同社の担当者によると、「栗の本来の風味はとても淡いので、余計なものを加えてしまうと栗の味が負けてしまう」とのこと。そのため、どの商品も最低限の原料で、栗の味わいを邪魔せず、生かすように作り上げているのだそうです。「純栗かの子」はその筆頭で、原材料は「栗」と「砂糖」のみ。高齢者も子どもも安心して食べることができる贅沢なおやつといえます。
飲み込みの機能が低下している祖父母には「きんとん」の部分を、栗の粒の部分は孫に譲ってもらう(!)というように、家族みんなで分け合う、なんて食べ方も楽しめそうです。
DATA
桜井甘精堂|純栗かの子
内容量:270g