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FP深野さんが語る!GW以降に気をつけたい資金運用と家計防衛のコツ

アベノミクスが牽引してきた日本の景気ですが、最近「雲行きが怪しくなってきた」という声があちこちで聞かれます。そこで、資金運用から家計防衛まで、大型連休中に認識しておきたいこと、実践しておきたいことを、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんに聞きました。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アベノミクスが牽引してきた日本の景気ですが、最近「雲行きが怪しくなってきた」という声があちこちで聞かれます。そこで、資金運用から家計防衛まで、大型連休を前に認識しておきたいこと、実践しておきたいことを、マネープランクリニックの回答者としておなじみのファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんに聞きました。

 
これからの景気はどうなる?

これからの景気はどうなる?

 

日本の景気は今が「分岐点」

日本の景気は今、分岐点に差し掛かっていると言えるでしょう。ゆるやかな減速傾向にとどまるのか、それとも後退局面、いわゆるリセッションに向かうのか。今後の景気の行方は、そのどちらかになると予想されます。

もちろん、上昇に転じる可能性もゼロではありませんが、少なくともすぐに回復することは考えにくい。その根拠として、ここ最近の経済指標にいい材料が見当たらないということがあります。
 
3月に内閣府が発表した今年1月の景気動向指数は、3カ月連続で悪化しました。対して、同じく直近の経済財政諮問会議では、景気は拡大傾向が持続しているという見解を出しています。どちらが正しいかと言えば、私情が入らず、あくまでデータのみを客観的に分析した結果という点で、景気動向指数により信ぴょう性があると考えます。

そして、今年の春闘の集中回答日では、トヨタをはじめベア前年割れの企業が相次ぎました。いろんな要因はありますが、そもそも企業経営者が先行きに対して自信を持てないから給与を上げられない、そのことの表れだとも言えます。
 

公的年金の制度改正があるかもしれない

では、今後、注意したい動きはあるでしょうか。ひとつはやはり今年10月に予定されている消費税のアップ。この時期と景気後退局面が重なってしまうと、後退傾向に勢いがつくかもしれません。しかも、そうなれば今年より来年、再来年に影響してくる可能性が高いでしょう。

これに加えて、給与所得控除の上限が1000万円超から850万円超に引き下げられる上、一律10万円引き下げられます(基礎控除は10万円増額)。つまり、給与が850万円超の人は、給与が現状維持ならば実質、減収となるわけです。
 
もうひとつ、あまり注目はされませんが、今年は5年に一度、厚生年金と国民年金の「財政検証」が実施される年に当たります。公的年金の財政の現状と今後の見通しが報告されますが、注目すべきはそれを基に検討事項が示され、結果的に年金制度改正が行われる可能性があるという点。

具体的には、すでに一部報道もされましたが、老齢基礎年金の繰下げ受給について、その年齢幅を「75歳まで」に変更(現行は「70歳まで」)するという案。ただし、これは受給者側が選択できることで、影響は間接的です。しかし、国民年金保険料の支払いを65歳までに延ばす、あるいは支給開始年齢を67歳とか68歳からにするといった改正が行われれば、生活に直結するだけに、家計やマネープランへの影響は相当なものとなりますし、それが検討事項に上がっても決して不思議ではありません。
 

「早めの現金化」がひとつの防衛策になる

では、そういった事態に我々はどう備えていけばいいでしょうか。
 
投資については、すでに利益が出ているものは、利益確定してキャッシュポジションを上げておく。iDeCoを利用している人は、これまでの株価上昇によってすでに利益が出ている人も少なくないはず。それを一部、元本保証の商品にスイッチングしておくのも防衛手段のひとつです。
判断が難しいのは債券。セオリーどおりなら、景気後退となれば債券にフォローの風が吹きますが、それも含めて不透明な状態。ただ、円高が進む可能性は高いので、外国債は売却してもいいのでは。
 
家計で言えば、収入アップがきびしい中、消費増税が追い打ちを掛けます。さらに、マネープランクリニックでも最近、完済が70歳を超える住宅ローンを組んでいる人が少なくありません。そういう場合、資金的に余裕があるなら、投資よりも繰上返済を実施した方がはるかに有効。しかも、期間短縮型ではなく、返済額軽減型を選択した方が家計的には効果的という世帯も増えるかもしれません。支払利息の軽減率だけを見れば期間短縮型の方が有利ですが、実質減収によって家計が苦しくなった世帯であれば、毎月の家計負担を抑えることが家計防衛にとっては先決となります。
 
景気が減速するにしろ、後退するにしろ、自身の資産をどうするか。GWはそれを考える時期にしたいところです。しかも、その間、アメリカや中国の経済指標で悪い数字が出て、景気の冷え込みが加速する可能性も否定できません。

今年は10連休ですから、売りたくても売れない状況が長く続きます。それを回避する意味で、GW前から早めに「現金化」に動くことも、ひとつの防衛策でしょう。

また、日経平均が1000円近く下げたり、今年1月の1ドル=104円台など、株価も為替も振り幅が以前では考えられないくらい大きくなる傾向にあります。それにも注意をしてください。ともあれ、いろいろな経済の動きには今まで以上にアンテナを張っておくことをお勧めします。


教えてくれたのは……
深野 康彦さん
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など


取材・文/清水京武
 
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