基本的なルールを守り、10~30年続ければ、だれでもお金持ちになれる
長期で運用することは確実な手法です。そして、もっともメジャーな資産は株式です。株式を長期保有することで、資産を作ることが現代の資産運用の王道です。基本的なルールを守り、10~30年続ければ、だれでも成果を手に入れることができます。ここでは、新時代に求められる3つの視点をご提案したいと思います。安全に増やすための「分散」と「つみたて」
「長期投資は確実!」とはいっても、絶対ではありません。悪いものに投資すれば、どんなに長い間続けても成果はでません。それどころか、どんどん資産状況は悪くなります。タイミングもあります。たとえば日経平均株価に連動する金融商品をバブルの頂点で買えば、30年経った今でも赤字のままでしょう。そんなリスクを回避する方法が「分散」と「つみたて」なのです。長期投資をするなら、特定の商品や資産ではなくて、世界中の優良資産に分散することが、安全に行う秘訣です。日本株の全銘柄を持っていても、それは分散ではなくて、日本という国に集中投資をしていることになります。国境を超えて広く分散する国際分散投資をお勧めします。現実的には、投資信託を通して地球規模の株式投資を行うのです。
タイミングに関していえば、一回で全資金を投入するのは危険です。タイミングを分散するという意味で、積立投資が有効です。毎月の収入から投資をするなら、可能な投入月額で、できるだけ長期の投資を継続すべきです。すでに投入できる資金を持っているのなら、今から2~3年かけて分散投入する方が、手堅いといえます。
新しい国際分散
世界中に投資するといっても、その構成比はどう考えたらいいのでしょうか? 一般的には、世界GDP比に合わせるとか、株式市場の時価総額に応じてとかの平均的な分散方法があります。いずれにしても、米国株が国際分散のトップにきます。世界GDPでいえば全体の25%、あるいは株式市場の時価総額でいえば55%になります。間違いなく、国際分散投資の現在の主軸は米国株です。しかし、米国の圧倒的な優位性が、将来にも維持される保証はありません。現在の米中貿易摩擦にも見られる通り、米国を脅かすのは中国であり、中国を含めたアジアです。30年後の世界という視点に立てば、米国一強の国際分散よりも、中国を含めたアジア圏へのウェイトを高めた分散が有望、と私は想像しています。アジアは、世界の6割の人口が集積している有望な地域です。資産配分もアジアに6割という時代が来るでしょう。こうした戦略的資産配分は、個々人の世界観や情報が左右する領域ですので、ご自分が熟慮した結果を組み込んで挑戦してみたら良いと思います。
人間のサポートが必要
日本の金融庁は、「安定的な資産形成を行うためには、長期の積立・分散投資が有効(「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」報告書より)」として、つみたてNISAやイデコ(iDeCo、確定拠出年金個人型)による投資を推奨しています。しかし、始めてはみたものの3年も続けられない人が多いというのが実情です。その理由は、株安で撤退を余儀なくされる人が多いからです。株高で利益が出ているときは平気でも、株価が大きく調整して、自分のポートフォリオに含み損が発生すると、人は途端に疑心暗鬼になります。相場は循環ですから、下がり続ける相場はありません。待っていれば、いずれ回復して、次の上昇に向かうのですが、それを待てないのが、投資ビギナーなのです。
お金持ちになる前に襲ってくる株安の逆襲にどう立ち向かうか? これが実に大事なことで、これにはカリスマ投資家のテクニックもAIも助けになりません。相場を克服するには、血の通った人的なサポートや応援するサポーターが必要なのです。プロの専門家ではなくても、同好会やネット上のサークルなどでもいいので、お金持ちになりたい人たちの相互支援が必要です。投資を始めて襲ってくる最初の関門をクリアするために、ご自分に合った人間関係を、あらかじめ作っておきましょう。脱落しないための同伴者が必要です。
執筆/北川 邦弘
All About資産運用ガイド。ファイナンシャルドクターとして、誰にでもできる普遍的なお金の殖やし方と心豊かに生き抜く戦略を伝授します。主に個人の資産形成をサポートし、不動産業や海外ビジネスの経験を活かして、不動産から保険、外貨などを含めた横断的な資産ポートフォリオ設計を得意とし講演や執筆活動を行う。著書に、『なぜ貯金好きはお金持ちになれないのか?』『投資の一流、二流、三流』など。