あの名店で腕を磨いたジェラート職人が独立!「アリエッタ・デル・ジェラート」
2018年3月、神奈川県秦野市にジェラート専門店「アリエッタ・デル・ジェラート」がオープンしました。オーナーシェフの肥田野雄紀(ひだのゆうき)氏は、イタリアのミラノ郊外にあるジェラテリア「Pallini パッリーニ」で本場のジェラート作りを学んだ方で、日本国内の「シンチェリータ」(阿佐ヶ谷)、「GLACIEL グラッシェル」(表参道)といった氷菓の人気店でも経験を積み、腕を磨いてきました。小田急線・秦野駅から徒歩7~8分程にある店の場所は、実は以前、イタリア人オーナーがジェラテリアをやっていた所。その方が帰国することになり、独立オープンの地として選んだそう。その前もジェラートショップだったそうで、実は、肥田野シェフで三代目なのだとか。
町の方達にとっても、ジェラート専門店のある憩いの場となっていたところでスタートできたのも、ジェラートによって繋がったご縁ですね。
店名の「ARIETTA」とは、イタリア語で「そよ風」の意味。これは、肥田野シェフがイタリアの師匠から、「お前の作るジェラートを食べたら、そよ風が吹き抜けたよ。」と褒めてもらって嬉しかったという思い出に由来します。そんな、爽やかなそよ風の感じられるような店にしたいという肥田野シェフの思いと、師への感謝の込められた、とても素敵な店名です。
「アリエッタ・デル・ジェラート」の特徴の一つは、地元・秦野や近隣エリアで採れる素材を積極的に採り入れた品揃えです。この他、熊本県産すいか、和歌山県産レモン、愛知県産いちじく、沖縄県産パイナップルなど、日本各地から届く、旬の素材を使用したジェラートが並びます。
素材の扱いも、パイナップルならば逆さに保管して全体に甘みを行きわたらせるなど、ジェラートに加工した時に最高のポテンシャルを引き出せるよう、神経を配っています。
さらに、シチリア産の良質なアーモンドやピスタチオ、ヘーゼルナッツといったナッツ類を使ったものや、オリーブオイルやゴルゴンゾーラチーズ、「アマレッティ」という伝統的な焼き菓子を練り込んだものなど、イタリア産素材にこだわったフレーバーも多数。
ほぼシェフお1人で製造しているとは思えないほど豊富な品揃えに、ジェラート職人としての技術の高さと誇りとが感じられます。
「アリエッタ・デル・ジェラート」で食べるべき、この組み合わせ!
苺、キウイ、甘夏のジェラート盛り合わせ
なお、ジェラートの価格は、紙カップ1種盛り税込380円、2種盛り税込440円、3種盛り税込500円で、コーンは+30円、特にこだわった素材を使ったプレミアムメニューは別途プラス料金となります。
5月の取材時には、春限定フレーバーの「さくら」もまだありました。秦野市の南西にある頭高山(ずっこうやま)周辺の千村(ちむら)地区は、八重桜の名産地。桜の塩漬けなど、食用としての生産量が全国一位を誇ります。
肥田野シェフは、この桜の塩漬けを、シチリア産アーモンドのジェラートにブレンド。実は、アーモンドというのは桜と同じバラ科の樹木。そこはかとなく共通の香りを持つ素材同士を合わせるセンスに、さすが!と納得です。甘さの中にほんのりと塩気が効いたバランスが、どこか桜餅のような風情を思わせ、まさに日本とイタリア文化の融合! こちらはぜひ、春の時期に味わってください。
夏と言えばスイカ!熊本県産スイカのジェラートに、アーモンドとオリーブオイルを合わせるというのは、ちょっと意外な組み合わせかもしれませんが、肥田野シェフにも、「最高ですね!」と同意していただきました。アーモンドのジェラートは、皮付きをやや粗めに挽いた粒々食感が少し残っていて、ほんのりピンクブラウンがかった色合い。香ばしさとまろやかな甘さが味わえます。
スイカは、イタリアでもよく食べられる果物ですが、さっぱりした甘さでみずみずしく、シャリッとした食感も喉越しよく、夏にぴったりのジェラートです。そんなスイカの爽やかさとアーモンドのコクを、イタリア産オリーブオイルが青々しく香るミルクベースのジェラートが繋いでくれます。
ジェラートはカップに詰めてもらって持ち帰りも可能なので、家で食べるならば、この組み合わせにほんの少し、ミネラル分豊富な天然塩などを振っていただくのもお勧めです。
ちなみに、こちらのジェラートケースは、温度管理を徹底し、香りや風味を逃がさないため、イタリアでは一般的な、蓋のあるタイプを採用しています。
そのため、いかにもぱっと目を引く、カラフルで華やかなジェラートが並ぶ光景というのには出会えませんが、その分、フレッシュなジェラートを最高の保存状態で提供してもらえるのが嬉しいですね。
ショーケースの上には、お客様に見ていただけるよう、こだわりのシチリア産のナッツ類や、自家製塩キャラメルのジェラート「カラメッロ サラート」に使っているイギリス・マルドンの塩などの素材を展示しています。
締め括りに、オーガニックレーズンと長期熟成ラム酒を使った「マラガ」と、シチリア産ピスタチオを使ったプレミアムフレーバーの「ピスタッキオ」と、ゴルゴンゾーラに白いちじくの白ワインコンポートを合わせた同じくプレミアムメニューの「ピカンテドルチェ」を盛り合わせでいただきました。フルーツのさっぱり感とは異なる、とろけるような芳醇さと濃厚さ。ラム酒のキレやブルーチーズの塩味が奥深さを醸し出す、かなり大人向けの組み合わせです。
提供していただく際、「回し立てなので、まだちょっとやわらかいのですが……」と仰った肥田野シェフ。黒板に「準備中」という札が貼ってあるフレーバーは、入店時にはまだでも、他のフレーバーを食べているうちに出来上がったりするので、ついつい、追加注文したくなってしまいます。マシンから出したばかりのジェラートというのは、かなりふんわりと空気を含んだ状態です。私がいただいた「ピスタッキオ」や「ピカンテドルチェ」も、ソフトクリームを思わせるような軽い食感でした。
ただ、回し立てであれば何でも美味しいというものではなく、逆に、ふわふわすぎて、濃厚な味わいが感じられにくい一面もあるので、通常は、少し寝かせて安定させてから、店頭に出すそうです。
ところで、「アリエッタ・デル・ジェラート」の外観は、山小屋のような三角屋根が目印の建物。ひさしに書いてある「GELATERIA ARTIGIANAL」は、イタリア語で、職人の手による手作りのジェラート専門店を意味します。
店内にはテーブルとカウンター席があるほか、外にベンチ席もあります。お子様連れでちょっと立ち寄っていくという雰囲気の地元のお客様が沢山いらっしゃる一方、遠方から車で訪れるファンまで、じわじわと支持層が増えているようです。
思えば、私が肥田野シェフと最初に出会ったのは、2018年には第12回が開催された「氷菓(グラス)を使ったアシェットデセール・コンテスト」の、2011年・第5回大会の時でした。私はこのコンテストで初回から解説を務めていますが、この時、優勝されたのが肥田野シェフ。当時は「シンチェリータ」にいらしたのですが、それまでこのコンテストには、ホテルやレストランに勤務されているパティシエの方が多く参加されていて、ジェラート職人の方が参加されるのは初めてでした。
その時の作品「Tira Vento(ティーラ・ヴェント)」は、フレッシュの白桃と木苺から作られたジェラートを使った皿盛りのデザートでしたが、素材の味が活かされたみずみずしさが圧倒的だったことを、今でも覚えています。これが、加工されたピューレなどでは出せない、素材を重視するイタリアならではの、本場流のジェラートの世界観なのだな、と鮮烈な印象を受けました。そして、この「Tira Vento」というタイトルも又、イタリア語で「風が吹く」という意味だったのです。
食べればまさに、そよ風が吹くような心地よさに包まれる、肥田野シェフのジェラート。これから、夏には桃、秋には栗……と、季節ごとに新たなフレーバーが登場するのも楽しみ。さらにそれらを様々な組み合わせで選んで味わえるのが、何とも楽しみです!
<ショップデータ>
「アリエッタ・デル・ジェラート」ARIETTA del gelato
神奈川県秦野市西大竹3-8
電話 0463-45-4592
営業時間 11:00-18:00
定休日 不定休