ハーレーダビッドソン

ハーレーに映えるオフロードヘルメットという選択肢

アメリカンバイクの象徴であるハーレーダビッドソンでは選ばれるイメージがないオフロードヘルメットですが、スポーティにストリートを駆け抜けるライダーのあいだでハーレーとオフロードメットを組み合わせるのが流行っているのです。今旬のコーディネートとともに紹介します。

田中 宏亮

執筆者:田中 宏亮

バイクガイド

新たなムーブメント?ハーレーとオフロードヘルメット

ダートコースを走るオフロードバイク

ダートコースを走るオフロードバイク


その名のとおり、未舗装なダートロードを走ることを目的とするオフロードバイク乗りのために進化したヘルメット、オフロードヘルメット。

左からジェットヘルメット、フルフェイスヘルメット、オフロードヘルメット。一般的に街中で見かけるのはジェットとフルフェイスで、オフロードヘルメットを被っている人は少数派

左からジェットヘルメット、フルフェイスヘルメット、オフロードヘルメット。一般的に街中で見かけるのはジェットとフルフェイスで、オフロードヘルメットを被っている人は少数派


ヘルメットの種類を大きく分けると、「ハーフ/スリークオーターヘルメット(半キャップなど)」「ジェットヘルメット」「フルフェイスヘルメット」の3種類に分けられます。その中でオフロードヘルメットは「オフロード仕様」という用途でカテゴライズされ、フルフェイスのひとつに含まれるのです。

ジェットヘルメットに始まるバイク用ヘルメットはレースシーンでの着用に向けたフルフェイスへと進化し、そしてロードレースと性質も楽しみ方も異なるオフロードシーンに最適なヘルメットとして、この「オフロードヘルメット」というカテゴリーが生まれました。

ロード用ヘルメットにはない独自の機能を有するオフロードヘルメット

ロード用ヘルメットにはない独自の機能を有するオフロードヘルメット


日常的なバイクライフとは異なる世界観をもつオフロード、飛んでくる泥の影響を最小限に抑える独特のベンチレーション(通気)やつば(ひさし)など、独自性の強いデザインへと進化していったのです。

一見ハーレーとは何の親和性もないオフロードの世界のヘルメットが、「ストリート」というシーンに映えるアイテムとして今注目を集めています。

ハーレーとオフロードヘルメットの奇妙な関係

新たなムーブメントとなっているハーレーとオフロードヘルメットという組み合わせ

新たなムーブメントとなっているハーレーとオフロードヘルメットという組み合わせ


昨今のアウトドアブームの影響から、アウトドアファッションでスポーツライドを楽しむライダーが増えてきていて、ダートを走るスタイルのカスタム「スクランブラー」が流行しているのもその延長線です。

そして、ハーレー乗りのあいだでも静かなブームとなっているのです。ゴリゴリのライダースファッションと違い、アウトドアギアは機能性をデザインとして取り入れたものが多く、ライディング向けなのはもちろん そのまま街に繰り出しても映えるという面を持ち合わせています。ベースがアウトドアシーンですから、オフロードヘルメットが選ばれるのも当然の流れですね。

日本での発売は未定ながら、ライダーのあいだでは話題となっているSHOEI EUROPA発の80'sテイストヘルメット[EX-ZERO]

日本での発売は未定ながら、ライダーのあいだでは話題となっているSHOEI EUROPA発の80'sテイストヘルメット[EX-ZERO]


また、海外でブームを巻き起こしているクラシカルなカスタムバイクの世界観をイメージしたビンテージテイストのヘルメットも近年多く登場しているのです。こちらは2018年7月よりヨーロッパで販売開始となるヘルメットメーカー「SHOEI」(ショウエイ)ヨーロッパ支社発のヘルメット「EX-ZERO」。日本での発売は未定ですが、SNSで今話題沸騰中のクラシックテイストのオフロードヘルメットです。


タイプ別オフロードヘルメット

ひとくちにオフロードヘルメットと言っても、そのなかでいくつかのタイプに分かれます。

■ゴーグルタイプ
別体の専用ゴーグルと組み合わせて使うタイプのオフロードヘルメット

別体の専用ゴーグルと組み合わせて使うタイプのオフロードヘルメット


このように、視界部分を覆うものがなく、別売のゴーグルと組み合わせて使われるタイプのヘルメットです。ひとえにオフロードレースシーンから進化したタイプで、公道使用というよりはレースでの使用を想定した本格派モデルとも言えます。

アライのゴーグルタイプ・オフロードヘルメット[V-クロス4]

アライのゴーグルタイプ・オフロードヘルメット[V-クロス4]


アライのゴーグルタイプがこちら[V-クロス4]。グラフィックも単色ものから派手なグラフィックまで多数揃えられています。フルフェイスヘルメットにも見られるこの派手なグラフィックは、プロのレーサー用にデザインされたヘルメットの派生モデルで、レーサー自身のアピールはもちろん、ごちゃっと入り乱れるレースのなかで見分けてもらうことなどを目的としています。

ショウエイのゴーグルタイプ・オフロードヘルメット[VFX-WR]

ショウエイのゴーグルタイプ・オフロードヘルメット[VFX-WR]


こちらはアライと双璧を成す日本の代表的メーカー「SHOEI(ショウエイ)」のゴーグルタイプ[VFX-WR]。同じく単色モデルとグラフィックモデルでそれぞれ揃えられています。こちらのグラフィックモデルは2018年7月から9月にかけて段階的に発売されていくそうです、実物を見るのが楽しみですね!

■スクリーンタイプ
視野をプラスチック製スクリーンでカバーするタイプのオフロードヘルメット

視野をプラスチック製スクリーンでカバーするタイプのオフロードヘルメット


ゴーグルタイプと異なり、視界部分をスライド型クリアスクリーンで覆ったタイプのヘルメットです。バイザー(つば)もやや短めになって よりロードシーン寄りとしつつ、ちょっとしたダートや林道なら難なく走れるアドベンチャーバイクのライダー向けとも言えますね。

アライのスクリーンタイプ・オフロードヘルメット[ツアークロス3]

アライのスクリーンタイプ・オフロードヘルメット[ツアークロス3]


こちらがアライのスクリーンタイプ。ゴーグルタイプと同様、単色モデルとグラフィックモデルが用意されています。ロードシーンを意識してか、グラフィックモデルはスピード感が滲み出るデザインになっています。

ショウエイのスクリーンタイプ・オフロードヘルメット[ホーネットADV]

ショウエイのスクリーンタイプ・オフロードヘルメット[ホーネットADV]


ショウエイのスクリーンタイプも同じく単色とグラフィックの2モデルが並びます。

■ビンテージタイプ
日本での発売はまだ未定だが、ヨーロッパでの発表以降日本のライダーのあいだでも待ち焦がれられているショウエイ[EX-ZERO]

日本での発売はまだ未定だが、ヨーロッパでの発表以降日本のライダーのあいだでも待ち焦がれられているショウエイ[EX-ZERO]


「ビンテージ」という表現を用いていますが、何十年も前に人気を博したモデルの復刻版として現代に蘇った 古き良き時代の雰囲気をまとったモデルです。前述のショウエイ[EX-ZERO](日本での発売は未定)もここにカテゴライズされるモデルで、1980年代にショウエイが生み出したオフロードヘルメット[EX]シリーズのシルエットはそのままに、最先端の機能を搭載したネオレトロ・ヘルメット。実物を見るのが今から楽しみです。

1970年代のオフロードシーンをイメージしたTT&カンパニーの[トゥーカッター]

1970年代のオフロードシーンをイメージしたTT&カンパニーの[トゥーカッター]


こちらはビンテージデザインをインスパイアした現代版ヘルメットを排出する国産メーカー「TT & カンパニー」の[トゥーカッター]。イメージした世界観は1970年代アメリカで流行したオフロードヘルメット[BELl MOTOSTAR]。当時ものと見比べると、見事な再現性に驚かされます。

クラシックテイストなハーレーとビンテージルックなファッションに[トゥーカッター]はよく似合う

クラシックテイストなハーレーとビンテージルックなファッションに[トゥーカッター]はよく似合う


クラシカルなデザインを今なお踏襲するハーレーダビッドソンに、ビンテージテイストのトゥーカッターは実によく似合います。1970年代テイストということからカラーは単色のみですが、バリエーションが豊富なので愛車にぴったり合うヘルメットが必ずあるはず!

知っておきたいヘルメット選びのポイント

■フィッティングはマスト!
頭の形は人それぞれ。自分に合うヘルメットを選ぶうえでフィッティングはマストだ

頭の形は人それぞれ。自分に合うヘルメットを選ぶうえでフィッティングはマストだ


近年はECサイトからヘルメットを購入する方も少なくないと思います。実際のところ大変便利なのですが、一方「ヘルメット」「グローブ」はライディング時に万が一が起こったときにライダーを守ってくれる重要なアイテム。

メーカーによって微妙に形が異なるので、同じく形が異なる個々人の頭に「合わなかった」ときに違和感が残ってしまうことも。安くない買い物なので、手間を惜しまず最寄りの量販店などでフィッティングチェックをされることをオススメします。

「量販店には置かれていないヘルメットが欲しい」ときの購入手段はもちろん通販になりますが、「合わなかった場合の返品もしくは交換が可能かどうか」は必ず確認するようにしましょう。送料がユーザー持ちになることもありますが、勉強代と思って受け入れた方が懸命です。

万が一のバイク転倒時、とっさに出る手が素手だと大変なことに。

万が一のバイク転倒時、とっさに出る手が素手だと大変なことに。


ヘルメットではありませんが、街中を走っているとグローブ未着用(素手)でバイクに乗っていらっしゃる方を 割と高い頻度でお見かけします。ヘルメットと違って義務ではないため着用の是非は問われませんが、万が一転倒した際、体を防御するため真っ先に手を出してしまう人間の習性から、素手だと手が大変なことになってしまうのです。ええ、着用義務はないのですが、「グローブはしておいた方がいいですよ」とお伝えしたい次第です。

■カラーリングに整合性を持たせよう
バイク乗車時の必須アイテム、ヘルメット。バイクのカラーリングと合わせるとコーディネートに統一感が出る。

バイク乗車時の必須アイテム、ヘルメット。バイクのカラーリングと合わせるとコーディネートに統一感が出る。


今回のオフロードヘルメットが最たる例ですが、かなり派手なグラフィックが揃っています。もちろん好みのグラフィックを選べばいいのですが、「似合っている」ことを意識するのであれば、所有するバイクのカラーリングとの整合性を持たせた方がGOODです。真っ赤なバイクに乗っているのに真っ黄色いヘルメットをかぶったら、それだけで浮いちゃいますからね。

例えば「イエロー x ブラック」のカラーが特徴的なこのバイクには、こんな感じで同系色のヘルメットを合わせてみます。また、このヘルメットのデザインはアメリカ生まれのヘルメットから引用したもので、「ハーレーとアメリカ」で親和性を持たせるという仕込みをしています。こんな合わせ技でコーディネートして自己欲求を満たしつつ、ごく稀に「おっ、なかなかツウな組み合わせだね」と気づいてもらえたときに大きな歓びを抱けるという側面も。

バイクに乗ることはどこまで行っても自己満足なので(笑)、こういう歓びを追求するのもまた楽しみのひとつと言えます。

■オリジナルグラフィックで彩るのも◯
ラインや文字などオーナーの希望するピンストライプで彩るのも面白い

ラインや文字などオーナーの希望するピンストライプで彩るのも面白い


「フルペイント」と「ピンストライプ」という2つの方法があります。前者は読んで字のごとく、デザインをオリジナルでおこして自分色に塗り替えてしまうもの。バイクのグラフィックに合わせれば、まさにこの世でひとつだけのヘルメットが誕生します。

フリーハンドで美しく描いてくれる職人ピンストライパーの手にかかればオリジナルのグラフィックを手に入れることも可能

フリーハンドで美しく描いてくれる職人ピンストライパーの手にかかればオリジナルのグラフィックを手に入れることも可能


ピンストライパーによるフリーハンドで描かれるピンストライプで、一見無垢なプレーンタイプのヘルメットに彩りが加えていきます。フルペイントほど手間もお金もかけずに、アメリカンな雰囲気が漂うヘルメットを生み出すことができるのです。ピンストライパーの方々はそれぞれ拠点をお持ちで、それ以外だとバイク量販店のイベントや試乗会イベント、バイクカスタムショーなどに来られることが多いので、気になる方は彼らが出店するイベントをチェックしてみてください。

まとめ:センスが際立つハーレーとオフロードヘルメット

マッシブなハーレーにスポーティなエッセンスを加えるオフロードヘルメットというチョイス、ぜひチャレンジを!

マッシブなハーレーにスポーティなエッセンスを加えるオフロードヘルメットというチョイス、ぜひチャレンジを!


「ハーレー」と「オフロード」と聞くと親和性ゼロに思えますが、こんなアウトドアファッションとの組み合わせでこれだけスタイリッシュに見せられるのが このコーディネートの面白さ。ナイトランやロードシーンに走る楽しみを見出しているハーレーライダー諸兄、ぜひ自身のコーデに取り入れてみてください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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