ハーレーと同じ出自のエンジンを持つメガスポーツ
2016年3月25日(金)から27日(日)まで、東京ビッグサイトで開催された「東京モーターサイクルショー2016」。例年どおり国内外の大手バイクメーカーを中心に最新モデルが展示され、大盛況だったこのビッグショーのなかで、フランスの小さなモーターサイクルメーカー「AVINTON」(アヴィントン)のバイクがお披露目されました。2台のうちの一台は特別仕様モデルで、世界限定10台だけの生産とされ、その価格は867万円という驚くべきものでした。
何よりそのスタイルにご注目いただきたい。形は完全にハーレーダビッドソンと同じ、空冷45°Vツインエンジンが搭載されているのです。これはアメリカの「S&S社」というメーカーが製造しているもので、ハーレーのエンジンもこのS&S社が手掛けているなど、出自もハーレーと同じ。つまり、ハーレーダビッドソン仕様のアメリカ製Vツインエンジンというものなのです。
見た目こそハーレーと同じながら、アヴィントン用エンジンは特注仕様となった排気量1,647ccのモンスターモデルで、スタイルそのものはヨーロピアンな薫り漂うメガスポーツバイク。カスタムバイクとカテゴライズしても差し支えないプレミアムなモーターサイクルは、どういった狙いで、どのような仕組みでの販売となっているのでしょうか。アヴィントンの販売を取り扱っている神奈川・厚木の「モトコルセ」で話を伺ってきました。
伝説のスポーツカーをバイクで再現
アメリカ製モーターエンジンを搭載したヨーロッパ仕様のスーパーバイク、アヴィントン。この開発コンセプトの源流は、1960年代に製造された伝説のスーパーカー「ACコブラ」にあります。米フォード社製エンジン搭載のイギリス製スーパーカーは今なおファンの間で語り継がれる存在で、そんなスーパーカーをバイクで再現したのがアヴィントンなのです。
アヴィントンには「コレクターGT」「コレクターRace」「コレクターRoadster」の3タイプが用意されており、その違いはハンドルタイプとされています(GT:セパレート/ミドルポジション、Race:セパレート/ローポジション、Roadster:バーハンドル/ハイポジション)。いずれも価格は558万円からという設定で、ここをスタートラインとし、好みのカラーリングやカスタムメニュー(オプションフィニッシュパック)を取り入れて、この世で一台だけのスペシャルなバイクを作ろうというもの。
ハーレーダビッドソンと比較してみましょう。ラインナップのなかでもっともプレミアムで高価なモデルがCVO FLHTKSE リミテッドで、その価格は512万円。これに対してアヴィントンは、スターターモデルのひとつコレクターGTが558万円から。見た目の豪華さではハーレーに高級感を感じてしまうところですが、量産車ではない至高のスーパーカーだと思ってみると、価格の違いが理解できるかと思います。特注仕様のエンジンに専用設計のフレーム、数々のハイグレードな装備から成る高い走行性能と、バイクに精通している方が見れば納得の装備群。まさに最高級のハイパーバイクですね。
それでは、どんなバリエーションのモデルができるのか、具体的なモデルをご紹介しましょう。
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