THOM BROWNE. NEW YORK(トム ブラウン ニューヨーク)
しっかりした仕立てのスーツは紳士服のシンボル的な存在。だが、マスキュリンなたたずまいを逆手に取る手法も現れた。たとえば、ジャケットの着丈を過剰なまでに伸ばし、逆にパンツは伝統的なルールを踏み外すほどのクロップト丈に詰めるといった大胆な変形を試み、メンズとウィメンズの垣根を踏み破る。冒険心に富んだ表現者は服飾史すら気負いなく書き換えてみせる。厳格な紳士服の決まり事をほころびさせるたくらみが、性差さえも古臭いルールに見せる。端正なスーツ姿に見えて、実はあちこちにいたずらっぽい仕掛けが施され、フェミニンなディテールも落とし込まれる。当たり前の選択としてメンズ由来の装いをまとう。そんなリスクテイカーたちにふさわしいスタイリングは新たな様式美さえ立ちのぼらせる。
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