同じファットボーイでもマイナーチェンジで異なるキャラクターに
1990年のデビューから現在までのファットボーイの歴史をたどると、三度のマイナーチェンジが行われているのが分かります。2000年にはエンジンが新型化し、2001年には足まわりをはじめとする変更が、そして2007年にはエンジンのボアアップと全体的なマイナーチェンジが行われました。同じファットボーイという名ながら、それぞれ異なるキャラクターになっているので、ここを解説していきましょう。
大きな違いを生むエンジンを知る
まずエンジンですが、1990年から1999年までが『エボリューション』で、2000年から2006年までが『ツインカム88B』、2007年から現在までが『ツインカム96B』になります。ツインカムの後ろにある数字はキュービックインチ(ci)というアメリカ特有の排気量値で、ccに換算すると、88ci=1,449cc、96ci=1,584ccとなります。エボリューションエンジンは1,340ccですので、年々パワーがあがっているということ。
さらに、ツインカムには「B」というアルファベットが付属しています。これは『バランサー』を意味しており、Vツインエンジンが生み出す不快な振動をやわらげるソフテイル特有のシステムを指します。ここも好みの分かれどころで、Vツイン特有の鼓動やトルクを味わいたい人にとってはバランサーは“小さな親切、大きなお世話”といったところ。しかしながら、速度域が増しつつある現代のロードシーンで安定した高速巡航をしたいとなると、振動の大きいエボリューションだと体が疲れてしまいます。
なので、「ハーレーらしいトルクを味わうことが目的!」という人はエボリューションを、「いやいや、やっぱり長い距離でも気持ちよく走れなきゃ」という人はツインカムを軸に選ばれるのが良いでしょう。2001年以降はコンピューターがセッティングを管理するフューエルインジェクション仕様で(2001年~2006年はキャブレターモデルも合わせて販売した)、プロのチューナーに依頼してきっちりとセッティングすれば、パワフルな乗り味にしてやることも可能です。
足まわりの違いも選ぶ際の大きなポイント
1990年から1996年までが130mm、1997年から2006年までが150mm、そして2007年から現行モデルまでが200mmと、リアのタイヤ幅は太くなっています。それぞれ一長一短があり、細ければスポーツライディングがさせやすく、太ければ路面との接地面の多さから直進安定性がアップするというメリットがあります。このタイヤ幅次第で乗り方が変わってくるので、このファットボーイでどう遊びたいか、それ次第で選ぶ年式が変わるでしょう。
乗り味はもちろん、スタイルそのものに変化を加えたホイール径。2007年、従来の16インチより1インチ大きい17インチホイールへと変更されました。111年の伝統において“FLは前後16インチ”とされてきたので、昔を知る人にとってこの17インチ化は違和感を覚えるものですが、インパクトあるディッシュホイールが大きくなって足元の印象が強まるという効果を生んでいます。乗りやすさを優先するなら16インチ、見た目で勝負するなら17インチというところでしょうか。
それぞれの違い別にまとめると、このようになります。
1990~1996年式
・排気量1,340cc エボリューションエンジン
・キャブレターモデル
・前後16インチ ディッシュホイール
・リアタイヤ幅 130mm
1997~1999年式
・排気量1,340cc エボリューションエンジン
・キャブレターモデル
・前後16インチ ディッシュホイール
・リアタイヤ幅 150mm
2000年
・排気量1,449cc ツインカム88Bエンジン
・キャブレターモデル
・前後16インチ ディッシュホイール
・リアタイヤ幅 150mm
2001~2006年式
・排気量1,449cc ツインカム88Bエンジン
・キャブレター & インジェクションモデル
・前後16インチ ディッシュホイール
・リアタイヤ幅 150mm
2007~現代
・排気量1,584cc ツインカム96Bエンジン
・インジェクションモデルに統一
・前後17インチ ディッシュホイール
・リアタイヤ幅 200mm
同じモデルながら、年式によってまるで違うバイクになっているファットボーイ。新車または中古車購入時には、この情報をぜひ参考にしてください。
>> FLSTF ファットボーイのサウンドチェックはこちら
[取材協力]
リグニス東京