かつて日本にもチップの習慣があったのかも知れない
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古川ロッパさん(昭和はじめに活躍したコメディアン・エッセイスト)の食エッセイを読んでいると、結構頻繁にレストランでチップを渡す話が出てきます。どうも戦前の東京には、美味しい料理を出してくれた店に対して、チップをはずむことで評価し、お礼する文化があったようなのです。現在、ホテルなどの料金にサービス料が含まれているのも、かつてチップの習慣があった事の名残かも知れません。 実際、ネットに評判を書き込むより、チップを渡す方が「自分が」その店の料理が好きで、その店のサービスが好きだということを伝えるには、手っ取り早いし、確実に伝わると思うのです。また、もらった方も、より励みになると思います。金額は、とても正直な評価として受け取れるからです。
星幾つ、といった評価は、数値化されている感じがするので、何となく信用ができそうな気がするのですが、基準のない採点は遊びであり、文章で的確に伝えることが難しいから便宜的に設けられたもの、程度に考えておく方が良いようなものです。
ただ、「チップ」という習慣がない状況で、チップを渡すのは何とも照れ臭いし、相手に失礼ではとも思うし、相場もないわけで金額を決めるのも難しく、実際に渡すことは中々できません。チップの習慣がある国に観光に行ってさえ、チップを渡すと言う行為自体に照れを感じてしまうのが、戦後の日本人だったりします(ガイド納富も同じです)。
だから、せめて、おいしいと感じていたら、帰り際に「ごちそうさまでした、おいしかったです」とか、そういう一言は添えたいと思って、そのくらいは実行しています。
気持ちを形にして“美味しかった”と伝える「KIMO TIP」
ハイモジモジの「KIMO TIP」(50枚綴り、367円)は、そういったチップをめぐる様々な思いや逡巡を解決してくれるかもしれない、そして、もしかしたら日本人に新しい習慣をもたらしてくれるかもしれない、そういう可能性を持った製品だと思うのです。作業時のちょっとした問題を解決するのが文房具ですが、「KIMO TIP」は文房具のような形をした気持ちのちょっとした問題を解決するツールと言えるのではないかとガイド納富は考えています。アイディアはとてもシンプルです。小さな紙片が綴じられた付箋のような紙面には、日付欄とメモ欄、そして、一言欄が用意されています。一言欄には、それぞれ「美味しゅうございました」「ご馳走様でした」「有難うございました」という言葉が印刷されているものと、そこが空欄になっているタイプがあり、好きな言葉が書かれた製品を選べます。
デザインは、チップ=現金を意識してか、小切手風になっていて、綴じられた製品全体が小さな小切手帳のように見えます。ほとんど子供銀行の紙幣みたいなものですが、その軽さが、この製品を使いやすくしていると思います。
使い方はさらにシンプル。日付と一言が書かれた「KIMO TIP」を帰り際に、カップの下にでも置いたり、伝票と一緒に渡したり、とにかく、チップを渡したいと思ったら、この「KIMO TIP」をチップの代わりに置いて帰るだけです。その名の通り、気持ちをチップの代わりにするわけですね。
多分、最初はこういうところから始めるのが良いのだと思います。それを、きちんと形にしたハイモジモジは大したものです。単純なアイディアですが、これは、新しい習慣を提案しようという試みな訳で、それが、製品の形になって分かりやすく提示されています。
ガイド納富の「こだわりチェック」
お金ではないとは言っても、メッセージをお店に残していくという行為は、結構勇気がいります。それでも、お金を残すよりも心理的な抵抗は少ないはず。迷惑だと思う店もあるかも知れませんが、まあ、紙一枚のことなので、そこは華麗にスルーしてもらえればと思います。ちょっとでも嬉しいと思ってもらえれば、それで良いですし、その「ちょっと」を伝えるツールとして、当たり前に普及すれば、そのうち、お金を添えるのも平気になるかも知れません。チップは渡すものと決められてしまうのも、何となく馴染みませんし、サービス料としてチップを制度化してしまうのも味気ないものです。ただ、サービスは無料ではないという常識はあっても良いと思いますし、日本がチップを渡しても構わない、というムードが覆う国になるのは悪くないような気がします。そういう日本になる最初の一歩が、洒落のような、オモチャのような形で出てきたというのも、さりげなくて良いなあとガイド納富は思ったのでした。
<関連リンク>
・ハイモジモジ「KIMO TIP」は、ハイモジモジのオンラインショップで購入できます。
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