古民家/古民家探訪

田の字型プランの古民家「旧田中家住宅」(2ページ目)

東京・板橋区に保存されている旧田中家住宅を見学してきました。どっしりとした江戸後期に建築された住まいは日本の古民家の典型的な間取りでした。どんな住宅なのか、紹介しましょう。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

便利な現代の生活を実感

農家では雨の日や夜間の作業をするためのスペースとして広い土間が設けられているのが一般的で、田中家も出入り口を入ると土間が広がっています。
出入り口を入るとすぐに土間があります。農作業や機織りなど、さまざまなことに活用されました

出入り口を入るとに土間があります。農作業や機織りなど、さまざまなことに活用されました。壁は漆喰です

説明によると、この土間では機織りや餅つきなども行われたそうですが、後に浴槽を据えて入浴する場としても利用していた時期があると言います。そう聞くと、便利な現代の生活との大きな違いや、時間の流れを感じますね。

時代とともに変化した間取り

田中家は、江戸時代の後期に建築されてから時代とともに増改築をし、間取りが変化しています。建築当初は、土間とデイ(表座敷)との間にある大黒柱(下の写真参照)が家の中心です。

その後、土間とデイ(表座敷)だけだった空間に、ヘヤ(納戸)とザシキ(奥座敷)が増築されました。さらに、デイ(表座敷)は半分だけ板張りのオカッテ(お勝手)に作り替えられたようです。このオカッテ(お勝手)はカマドなど炊事場が近く、囲炉裏があるので、食事が家族が集まる団らんの場として重宝されたことでしょう。
写真の中央に見えるのが大黒柱。写真の奥が土間になっています

写真の中央に見えるのが大黒柱。写真の奥が土間になっています

住宅性能については、この住宅が建築された江戸後期と現代では比較になりませんが、漆喰の壁や太い大黒柱などは、手入れをしていけば、古くなっても風合いを感じさせるアイテムです。家を建てるときは、時間が経っても美しいと思える素材やデザインを選び、長く愛せる家づくりを目指してください。

旧田中家住宅(板橋区立郷土資料館内)
住所:東京都板橋区赤塚5-35-25
交通案内:都営三田線 西高島平駅より徒歩約13分、
東武東上線・成増駅北口より 高島平操車場行き美術館経由バス「区立美術館」下車 徒歩約1分
電話:03-5998-0081
休館日:毎週月曜(月曜が祝日にあたるときは翌日)、年末・年始
開館時間:9時30分~17時
入館料:無料(特別展開催中は有料の場合もあり)
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