古民家/古民家探訪

田の字型プランの古民家「旧田中家住宅」

東京・板橋区に保存されている旧田中家住宅を見学してきました。どっしりとした江戸後期に建築された住まいは日本の古民家の典型的な間取りでした。どんな住宅なのか、紹介しましょう。

江戸後期の古民家移築

旧田中家住宅はもともと板橋区徳丸にあったものを東京都板橋区立の郷土資料館の敷地内に移築したもので、現在、一般公開されています。

はっきりした年代は不明なものの江戸時代後期に建築されたと推定されるそうです。以前、建っていた場所は、前谷津川という川を南に見下ろす傾斜地。日当たりがよく、川に近い場所なので、農作業に便利なうえ、住環境としても適した地域でした。現在、前谷津川は緑道になっています。
2010年1月、約3カ月をかけて屋根の茅の葺き替え工事をしたそうです

2010年1月、約3カ月をかけて屋根の茅の葺き替え工事をしたそうです

田中家の間取りは、デイと言われる表座敷、ザシキと呼ばれた奥座敷、ヘヤと呼ばれたナンド(納戸)、板張りのオカッテ(お勝手)が田の字型に配置され、広い土間が設けられています。寄棟の茅葺き屋根に田の字型の間取りというのは、古民家によく見られる代表的な形です。
写真の奥が10畳のザシキ(奥座敷)、手前が12畳半のデイ(表座敷)。見学当日は、端午の節句にちなんで人形が飾ってありました

写真の奥が10畳のザシキ(奥座敷)、手前が12畳半のデイ(表座敷)。見学当日は、端午の節句にちなんで人形が飾ってありました

この古民家は昭和46年に田中氏によって寄贈されたものですが、昭和の初期まではランプに火鉢で生活していたそうです。畳もザシキだけに敷くものだったようですから、質素な生活だったことが伺えます。

次のページでは、もっと細部について見ていきましょう。

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